2025年01月06日

2024年 ドキュメンタリー映画ベストテン(1位から3位あり、他は順位なし)

1位(408本中でクランプリ❗️)『どうすればよかったか?』藤野知明監督/102分

1983年、当時24歳の姉に統合失調症の症状が現れた。両親はそれを認めず、精神科を受診させることなく、姉は家に引き籠ってしまう。

そのうちに両親は玄関に南京錠をかけて、姉の外出を阻止するようになった。両親の態度を疑問に思った弟(監督)は、その責任を問うためにキャメラを回し始め、20年以上にわたる4人家族の葛藤を克明に映像に残していく。

これは去年の山形ドキュメンタリー映画祭で最も忘れ難い作品。上映が終わると大きな拍手が起こった。だがミッキーは拍手も出来なかったし、登壇された監督さんのお顔すらまともに見ることが出来なかった。

驚きとよくこの家族に20年もの間、カメラを向けて来たなという軌跡に打ちのめされていたからだ。

皆、エリートの家族でお金には不自由ではない。お姉さんは医学部で解剖の授業がきっかけとなってしまうのだが、外聞を気にする母親、自分の意見を強調しない父親……の中で監督さんは逃げるように遠地の大学に入り、家を出る。

監督自身、逃げ出した悔いを背負って生きてこられ、また自分も発病するにではないかという恐怖の中で、カメラを回し続けたドキュメンタリーだ。

★2024年グランプリ❗️


2位『うんこと死体の復権』関野吉晴監督

アフリカで誕生した人類が、南米の最南端まで拡散した5万キロを、動力を使わずに逆ルートで旅する「グレートジャーニー」を約10年ほどかけて踏破したことで注目を集めた探検家・関野吉晴。

彼はアマゾンの奥地で自然と共に生きる狩猟採集民族マチゲンガ族と半世紀以上にわたって交流(暮らしていた時もある)した関野は、現代人が自然とどのように共存していくべきかを、常に考えていた。

そして2015年、どの星よりも循環に優れた地球で人類が生き続けるためにどうしたらいいかを考える「地球永住計画」というプロジェクトをスタートさせる。

そのプロジェクトを通して関野は、野外排泄にこだわり続け、自ら「糞土師」(ふんどし)と名乗る写真家の伊沢正名、排泄物から生き物と自然のリンクを考察する生態学者の高槻成紀、そして死体を食べる生き物たちを観察する絵本作家の舘野鴻と知り合う。

彼らとの活動を通して、現代社会において不潔なものとして扱わる生き物の排泄物や死体を見つめる関野は、無数の生き物たちが命をつなぎ、循環の輪をつないでいることを知る。

関野氏は自宅近くの山林を買って、自前の野糞場を作っている。林には尻を拭く柔らかい葉っぱが数種類あった。そんなこんなを「クソ真面目」に丁寧に教えてくれた。

野糞がすんだ後は棒を刺して日付を書いて(山林のそこら中に棒が立っていた)時々見回ってどんな様子になっているか調べている。

関野氏は「探検家のままならよかったのに……」と言って離れて行った奥様のことを『残念だったが、どっちを取るとなって、やっぱりうんこだった」と笑っていた。

★監督賞

3位
『大きな家』竹林亮

現在、日本には親と離れて児童養護施設で暮らす子どもたちが約4万2000人いることをご存知だろうか。事情は、死別・病気・唐待・経済的事情などさまざま。ここで暮らす子どもたちの日常生活に焦点をあてたドキュメンタリー。

監督は、中学2年生1クラス全員に密着した青春映画『14歳の栞』の竹林亮。企画・プロデュースは、『シン・ウルトラマン』『零落』の主演俳優・齊藤工。彼が約4年前に訪れた東京のとある児童養護施設が舞台。

監督と齋藤の2人は施設の訪問を重ね、家族ではないつながりの中で生活しながら、自分の運命と向き合い、未来に目を向けて成長していく姿をカメラが追っている。

小学校低学年から19歳までの生活を映し、年齢を考慮しながらインタビューしている。「ここはあなたにとってどんなところ?」「将来の希望は?」から「ここにくる前のこと、教えて」まで、じっくりと話を聞いている。子どもたちは口ごもりながらも「本音」で答えている。

子どもたちの生活のあらゆる面で手助けをする職員の細かい配慮も見逃せない。女の子たちの髪の毛がみんな長く「短い方が手間がかからないのに」と思ったが、一人ひとりの髪を束ねたり、三つ編みにしたりして「触れ合って」いるシーンは温かみに溢れていた。

本作は出演者のプライバシー保護のため、劇場上映のみの公開。

★作品賞


🎬『94歳のゲイ』吉川元基監督

長谷忠さん、94歳。押しぐるまで行動する忠さんの動きを見ていると確かに90代のお年寄りだ。だが目の光は教養を伺わせて、言葉は洞察力と知性に富んだものだった。

ご自分の好みも男性写真を切り抜いて「もし、この人と暮らしたら……」など空想していたと語っていた。一度もセックスも恋愛経験がないと聞いた時、どんな人生を歩んできたかと思うと、やるせない気持ちになった。

大阪西成の地区がこんなに穏やかな顔を持っている男の方がいらっしゃるとは思わなかった。



🎬『劇場版 再会長江』竹内亮監督/中国

中国大陸を横断するアジア最大の大河・長江。竹内監督は10年前にNHKの番組で長江を撮影した際に、チベット高原にある「長江源流の最初の一滴」を撮影できなかったことを後悔していた。

その後、日本から中国南京市に移住した竹内監督は、2021年から2年をかけて長江6300キロをたどる旅に出る。その旅の途中で10年前に撮影した友人たちと再会しながら、中国の10年の変化を見つめ、長江「最初の一滴」の源流を目指す。

このところ、TBSドキュメンタリーもあってかなりドキュメンタリーを見ている。そんな中で観たこの長江流域を旅する111分は「旅心を騒つかせたり、目を見張る風景に感動したり」の連続だった。

監督さんご自身の経験話の合間に、道案内ナレーションの女声がいいタイミングで入っていたので、迷子に?ならずに長江を旅することができた。

★監督さんや10年ぶりに会った方々の感動が直に伝わってきて、思わず一緒に泣いてしまった。
 

🎬『映画の朝ごはん』志子田勇監督、企画、撮影、編集

映画やドラマの撮影現場で長年愛されてきた東京都練馬区のお弁当屋さん「ポパイ」に焦点をあてたドキュメンタリー。
早速、ネットで調べて見た。

いっぱい出てきた。名古屋では見たことがないお弁当屋さんだ。このシンプルなおにぎり弁当がなぜ人気なのかを、多くの支持者の話や、おにぎり弁当の作っている現場、ポパイが撮影現場のお弁当として有名になった経緯などが語られている特異なドキュメンタリーだった。

今、大活躍している黒沢清、樋口真嗣、瀬々敬久、山下敦弘、沖田修一監督さんらが、ポパイについての思い出を語り、時代と共に変わっていく映画ロケ現場の姿や、突然のコロナ禍による撮影スタッフたちの「食べること」へのこだわりなどを語ってくれた。

ナレーションは小泉今日子さん


🎬『カラフルな魔女 角野栄子の物語が生まれる暮らし』宮川麻里奈監督

「魔女の宅急便」の作者として知られ、88歳の児童文学作家として精力的に執筆に励む角野栄子。その個性的な想像力で260冊を超える作品を世に送り出し、近年では、彼女のライフスタイルや人生観にも注目が集まっている。

「自分にとって気持ちがいいもの」を最優先に毎日を心地よく暮らす。そんな彼女を4年間にわたって撮影したドキュメンタリー。

この方、お若い!カラフルさは好きじゃないし、じゃらじゃらのアクセサリーも好みじゃないが この方にはピッタリ。お若い時は地味目だったのにどこで変換したのだろう。

お若い!と感じたのはバターライス。ミッキーは食べる気もしないが胃も丈夫なのだろう。

今は有名無名問わず80代90代で自分なりのポリシーを持って暮らしていらっしゃる方は珍しくない時代だが、こういうドキュメンタリーを見ると、見習いたいと思う部分もあって観てよかったと思った。

ナレーションはあまり印象になく、後から宮崎あおいと気づいた。

★女性監督賞

🎬『COUNT ME IN 魂のリズム』マーク・ロー監督、製作、脚本/イギリス

レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス、クイーンのロジャー・テイラー、アイアン・メイデンのニコ・マクブレイン、ポリスのスチュワート・コープランドといった大物や、ロイヤル・ブラッドのベン・サッチャー、ザ・ダークネスのエミリー・ドーラン・デイビスとそうそうたる顔ぶれのドラマーたちが、ドラムの歴史や自分のドラムとの関わり、演奏方法を生き生きと語っている。

ロック界を代表するドラマーたち(にスポットをあてたドキュメンタリー。


ドラムはバンドの中でも一番の要ということは知っているが、ドラム演奏がこんなに個性的なものとは知らなかった。

ビートルズのリンゴスターが他の三人より一段高い場所で楽しそうにドラムを叩いているシーン、有名ドラマーの子ども時代に鍋やフライパンを並べて叩いているシーン、お誕生日にドラムを送られて気が狂いそうに大喜びする場面など、ドラムのことを知らない方も充分楽しめるドキュメンタリー。


🎬『ビヨンド・ユートピア 脱北』マドレーヌ・ギャビン監督、編集/アメリカ

これまでに1000人以上の脱北者を支援してきた韓国のキム・ソンウン牧師は、幼児2人と老婆を含む5人家族の脱北を手伝うことにした。

キム牧師の指揮下で各地に身を潜める50人以上のブローカーが連携し、中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国を目指す。移動距離は1万2000キロ。決死の脱出が展開される。

撮影は制作陣のほか地下ネットワークの人々によって映され、世界に北朝鮮の実態と祖国への思いを伝え続ける脱北者の人権活動家イ・ヒョンソをはじめ、数多くの脱北者やその支援者たちも登場。

脱北のドキュメンタリーもドラマも見ているので迷ったが評価がいいので観た。ほとんどが実写で見つかれは「死」も覚悟の上だ。

ここまで人のために命懸けでできるのは宗教(キリスト教)の信仰の深さか……。


監督は2023年サンダンス映画祭にてシークレット作品として上映され、USドキュメンタリー部門の観客賞を受賞。


🎬『おらが村のツチノコ騒動記』今井友樹監督、編集、ナレーション

長さは短いがビール瓶を飲み込んだような太い蛇のような姿をしていたと言われているツチノコ。
様々な目撃情報があるものの、いまだ発見も捕獲もされていない謎の生物。

今井監督の故郷・岐阜県東白川村は、1988年(昭和63年)にツチノコ目撃談が村の広報誌に掲載されたことがきっかけになって、ツチノコの情報や目撃者が相次ぎ、やがて村をあげて捜索が行われるようになった。

毎年5月3日に開催されるツチノコの捜索イベントは30年以上続いている。地域おこしにもなっている。

ツチノコという名だけは効いていたミッキー。どんな形か、どこにいたかなどは全然知らなかった。このドキュメンタリーを見て北白川村以外にもツチノコは全国にあって愛知にもいたとわかった。

あんなにたくさんの方々が「見た」と言っているにで、日本のどこかに少しでも生息していて欲しいと思う。ツチノコがすめる自然を長い年月をかけて作ったいこうとする監督の熱い想いも伝わって来た。

最後に流れたクラリネットの音色が良かった。
posted by ミッキー at 09:38| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月02日

2024年 洋画ベストテン(1位から3位あり、他は順位なし)

1位『異人たち』アンドリュー・ヘイ監督、脚本/イギリス

ロンドンの新築マンションで暮らすアダム(アンドリュー・スコット)は40歳。中堅の脚本家で、今は彼が12歳に交通事故で亡くなった両親のことを書こうとしているが、うまく筆が進まない。


そんな彼は、両親と暮らしていた郊外の家を訪ねると、そこには死んだはずの父(ジェイミー・ベル)と母(クレア・フォイ)が、その当時のまま、暮らしていた。
両親は大層喜んでくれた。自分たちが死んだこともわかっていて……。

『荒野にて』『さざなみ』のアンドリュー・ヘイ監督の新作。山田太一の長編小説「異人たちとの夏」を基に作られているそうだがミッキーは「別物」と感じた。

ファンタジーミステリーの佳品。大きな新築マンションにたった2部屋だけ入居している舞台設定が良い。あの世とこの世を行き来する電車(地下鉄?)も気に入った。

死んだはずの両親に会っても、アダムには「驚き」はない……、同じマンションのもう1人の男ハリー(ポール・メスカル)との遭遇もあって、死んだ人と今生きている人が絡んでくる。

と、思わせていて、意外な幕引きになって……楽しませてくれた。余韻のある作品でアダムの孤独と優しさががヒシヒシと伝わってきた。

★主演男優賞


2位『ヒットマン』リチャード・リンクレイター監督、製作、脚本

ニューオーリンズで猫と静かに暮らすゲイリー・ジョンソンは、大学で心理学と哲学を教えていたが、地元警察で技術スタッフとして協力していた。

そんなある日、おとり捜査で「殺し屋役」となるはずのベテラン警官が問題を起こして職務停止となった。そのとばっちりが経験のないゲイリーに回ってきた。

仲間もこいつには無理と思っていたが、驚くことに、さまざまな姿に変装したり、殺人請負人になりきり、思いがけず成果をあげたゲイリーだった。

その後も偽の殺し屋を演じて警察の捜査に協力する。そんな時、マディソンという女性が夫の殺害を依頼して来て……。

面白い❗️大学の先生なのに、警察でも働いていて「殺し屋」になって潜入して「殺人」をくい止めるという二足のわらじをはく男が主役。きっと大学は非常勤講師かな。

授業は大雑把だが学生にはウケがいい。でも囮捜査の化け方は天才的。警察の方もあまりに見事さに前任者を他の部署に追いやってしまう。

ところが美人の若妻からの依頼から、おかしくなって…‥とんでもない展開になって。

ここまでしか書けないが、スリルと笑いがミックスされている。

★エンタメ賞


3位『システム・クラッシャー 』ノラ・フィングシャイト監督、脚本/ドイツ

父親から受けた暴力のトラウマを抱える9歳の少女ベニー(ヘレナ・ゼンゲル)は手のつけようがないほど攻撃的で、里親やグループホーム、特別支援学級などで問題を起こしていた。ベニー本人は母親のもとへ帰ることを強く望んでいるが、母親はベニーに愛情を持ちながらも、どう接して良いかわからず、施設に預け続けている。

そんな中、非暴力トレーナーのミヒャ(アルブレヒト・シュッフ)は3週間の隔離療法を提案。ベニーと2人きりで森の山小屋で過ごすことにした。はじめのうちは文句を言い続けていたベニーだったが、徐々にミヒャに対して心を開き始めて……。

色白で金髪の9歳の少女ベニーを当分忘れそうにない。悪夢に出てくるかもしれないほどだ。一度怒りに火がつくと手がつけられなくて、警察が身体を拘束するほど凄まじいのだ。

この役を演じることができる子役など世界中をさがしてもそういるもんじゃない。声も、怒声や狂気の声を難なく出している。

ベニーの周りにいる実母、施設の人がどんなに親切に心を砕いてもベニーに押し寄せる激情にはなすすべもない……。とても疲れる映画だが、是非とも観ていただきたい。

★子役賞

🎬『オッペンハイマー』クリストファー・ノーラン監督、脚本/アメリカ

第2次世界大戦真っ只中。優秀な物理学者ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)は、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画で、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。

だが実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下される恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受け、戦後、さらに破壊力のある水素爆弾の開発に反対するようになったが……。

第96回アカデミー賞で同年度最多となる13部門にノミネートされて、作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門で受賞。

初日初回に行った。観客は約100人。お一人様が多かった。

硬い作品。当然、笑うところ一切なし。物理学者、科学者、政治家たちの話に置いてきぼりされないように、気を張って観ていたので、疲れた。今年になって一番疲れた映画。

広島、長崎の地名は何度となく出てきたが、実際の映像はなし。でもその場面を想像できる日本人にとって、その方が見やすかったにではないかと思う。

★Netflix『アインシュタインと原爆』(現在 配信中)を見ていたのでオッペンハイマーとアインシュタインのシーンには興味があった。その時、どんな話をしたか、解き明かされている。

★監督賞

🎬『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』ヘティ・マクドナルド監督/イギリス

定年退職し老妻モーリーン(ペネロープ・ウィルトン)と退屈だが平穏な日々を過ごしていたハロルド・フライ(ジム・ブロードベント)に、北の果てから思いがけない手紙が届いた。

差出人はかつてビール工場で一緒に働いていた同僚女性クイーニー(リンダ・バセット)で、ホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ尽きると書いてあった。

ハロルドは近所のポストに返事を出そうと家を出たが、ふいに考えを変え、800キロ離れた場所にいるクイーニーのもとに、そのまま手ぶらで歩き始める……。

近所のポストに行く格好で、そのまま北の果てに、なんて無謀すぎる。女ならこうはいかない。男だからできたと感じた。

ハロルドが窮地に陥った時に助けてくれる人が現れるが、もし映画でなかったら野垂れ死だ。

これはハロルドの冒険?がメインではなく、ご夫婦の歩み寄りの心優しい作品。

お二人の経験した深い悲しみ、後悔が徐々にわかってきて、初めハラハラ、後からほのぼの……という大人の作品。

★ベストカップル賞


🎬『メイ・ディセンバー ゆれる真実』トッド・ヘインズ監督/アメリカ

今から20年前、当時36歳の女性グレイシー{ジュリアン・ムーア)は、23歳年下の13歳の少年ジョー{チャールズ・メルトン)と運命的な恋に落ちる。

2人の関係は大きなスキャンダルとなった。グレイシーは未成年と関係をもったことで罪に問われ服役。獄中でジョーとの間にできた子どもを出産。出所後に晴れて2人は結婚。

それから20年以上の月日が流れ、いまだに嫌がらせを受けることはあったが、幸せに過ごすグレイシーとジョー。

そんな2人を題材にした映画が製作されることになり、グレイシー役を演じるハリウッド女優のエリザベス{ナタリー・ポートマン)が、役作りのリサーチのために彼らの家にやってくる。

ジュリアン・ムーアとナタリー・ポートマンのお二人の役作り、演技に満足。これだけでも見る価値は十分だが、もっと驚いたのはジョーの扮するチャールズ・メルトン。映画の中盤までは、いい夫、物分かりの良い父親で「やっぱり運命の人だったのね」と思いながら見ていたが……意外や内面は複雑で……おっとこれ以上は是保とも劇場で。

★メイ・ディセンバー”とは、直訳すると「5月-12月」だが、親子ほど歳が離れたカップルを意味する言葉でもある。
★2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。第81回ゴールデングローブ賞では作品賞、主演女優賞、助演女優賞、助演男優賞に、第96回アカデミー賞では脚本賞にノミネートされた。

★助演男優賞、助演女優賞


🎬『アーネストに恋して』デビッド・ホーン監督/アメリカ

ある夜のこと、仕事と育児の両立に苦しむシングルマザーのキャット(ヴァレリー・ヴィゴーダ)のもとに、突然、 20 世紀を代表する冒険家である南極探検家のサー・アーネスト・シャクルトン(ウェイド・マッカラム)から返信が❗️

南極で船が難破し流氷の上で身動きが取れなくなったシャクルトンは、時空を超えてキャットに助けを求め、そして壮大な冒険の旅へと誘う。

思いがけないことに、二人は興味や趣味があって、互いに「深い縁」を感じ合うのだった。

出会い系サイトという最近の流行りの通信から、100年前の有名な探検家と遭遇、そして恋に……なんてロマンチックな物語だろう。

愛し合うカップル誕生は、各々の違った人生や生活(時空が違う)から、思いがけなく生まれてくることが多い。2人が歩み寄っていく様子を、ほのぼのとした雰囲気の中で描かれていた。

★デート映画賞


🎬『クラブゼロ』ジェシカ・ハウスナー監督、脚本/オーストリア、イギリス、ドイツ、フランス、デンマーク、カタール

名門校に赴任してきた栄養学の教師ノヴァク(ミア・ワシコウスカ)は、「意識的な食事」と呼ばれる最新の健康法を生徒たちに教える。

それは「少食は健康的であり、社会の束縛から自分を解放することができる」というもので、純真無垢な生徒たちは早速実践を開始する。

ノヴァクの教えに生徒たちは「食べないこと」にあらゆる面で高揚感を抱くようになり、その言動は次第にエスカレートしていく。

生徒の親たちが異変に気づいた時には、既に手遅れで……。

最高に面白かった!主演の ミア・ワシコウスカさんはシドニーの映画館で村上龍原作の『ピアッシング』の時に実際にお会いした(3メートル離れていたが)が、日本と違って国際的に有名な女優さんなのに、ライトもまともに当てない地味な扱いだった。

その時の役柄より今日見た作品の役がぴったり。お顔や態度にはいわゆる狂信的なところはなくておとなしい雰囲気。でも生徒と個別に話したり、一緒に行動したりすると「相手」に刺さる言葉を使うなど知能犯だ。

生徒たちもそれぞれ家庭に問題があって、先生に惹かれていくのもわかるような気がした。

★主演女優賞、脚本賞

🎬『時々、私は考える』レイチェル・ランバート監督/アメリカ

オレゴン州アストリアの静かな港町。人付き合いが苦手な女性フラン(デイジー・リドリー)は、職場と自宅を往復するだけの平穏な日々を過ごしていた。

友人も恋人もいない彼女にとって唯一の楽しみは、幻想的な「死」を空想することだった。

そんな彼女の日常が、フレンドリーな新しい同僚ロバート(デイブ・メルヘジ)とのささやかな交流がきっかけになって、ゆっくりと動き始めるが……。

こじんまりした町の雰囲気がとても良かった。 町の情景を写すカメラアングルが新鮮に感じた。派手が名所もないが、人間らしく暮らせる建物、映画館、レストランなどが点在していて、ここで暮らせたらいいな……と思ったミッキー。

フランの人生がどんなふうに変化していこうとも、町の佇まいに守られて過ごせるように感じた。

人と人の距離がベタベタしていないのもいい感じだった。

★女性監督賞

🎬『山逢いのホテルで』マキシム・ラッパズ監督、脚本/スイス、フランス、ベルギー

スイスアルプス山脈をのぞむ小さな町で、注文服の仕立をしている中年女性クローディーヌ(ジャンヌ・バリバール)は、障がいのある息子をひとりで育てている。

毎週火曜日になると彼女は自分でデザインした洋服を着て、山の上のリゾートホテルを訪れ、一人旅の男性客を選んで、その場限りの関係を楽しんでいた。

真剣に恋をすることなどないと思っていたクローディーヌだったが、ダムの責任者である男性の出会いによって、彼女の人生は大きく揺らぎ始める。

主人公は40代の女性クローディーヌ。障害を持つ男の子(16、7歳かな)のお母さん。時々お年寄りの方が男の子の見守りをしにやってくる。夫とは離婚していて時々手紙が来るぐらい。贅沢はできないが持ち家もあって細々と洋服を作って生計を立てている。

そんな中で彼女の楽しみ?は、スイスに訪れる旅行者との後腐れのないセックス……決してお金を貰わず「ありがとう」と言って別れている。

そのままいけば問題はなかったが、離れ難い男性(知性があって独身)に巡り合って、家を売って息子を施設に預けて……と決断するが……ああ、書きすぎてしまった。

アルプス山脈を背景に綺麗事では済まされない女の一生の断片を静かに描かれていた。

目に焼きついたシーンがあった。彼女が家を売ろうと庭の縦横を自分の足幅で測るシーン。大股で息を切らして測っていた。その場面で「まだ私は若いんだ、新しい人生を進もう」という意欲を見せてくれたように感じた。

★ファッションデザイナーとして活躍してきたスイス出身のマキシム・ラッパズが長編初メガホンをとった。

★撮影賞




posted by ミッキー at 23:15| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月01日

あけましておめでとうございます 2024年日本映画ベストテン(1位から3位あり、他は順位なし)

あけましておめでとうございます。本年もブログ頑張ります。

去年は体調が悪く良い年とは言えませんでした。体調は波がありましたが、そんな中で408本(最後はペパーミントソーダ)の作品を見ることができました。

今までどおり、いつまで映画を見続けられるかわかりませんが、どうかよろしくお付き合いくださいませ。


1位『カラオケに行こ!』山下敦弘監督

変声期に悩む合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた作品。

中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの成田狂児から歌のレッスンをしてほしいと頼まれる。

組長が主催するカラオケ大会で最下位になった者に罰ゲームとして奇妙な入れ墨を入れられるため、どうしても歌がうまくならなければならないのだという。

嫌々ながらも歌唱指導を引き受ける羽目になった聡実は、カラオケを通じて少しずつ狂児と親しくなっていくが……。

綾野が狂児を演じ、聡実役にはオーディションで選ばれた新星・齋藤潤を抜てき。

面白くて2回も見てしまった。不思議な縁で仲良くなる2人。

山下監督は『ばかのハコ船』からのファン。

★ 新星・齋藤潤に新人男優賞


2位『地球星人(エイリアン)は空想する』松本佳樹監督、脚本、編集、美術、撮影

正義感が強く、嘘を書いたり、大仰に膨らませて書くことが大嫌いな雑誌記者の宇藤(田中祐吉)は、編集長から「UFOのまち」石川県羽咋市で起きた「大学生エイリアンアブダクション事件」の取材を命じられた。

気乗りはしなかったが、嘘を暴こうと現地に向かうが……。

……。

新鮮な魅力でいっぱい。カメラのブレ?は演出だと思うがミッキーお婆にはちょっと辛かった。だが、物語の展開は◎

宇宙人としては無理がなく、反対に地球人としてみると、なんと思い込みが偏っているところに、私たちは住んでいるのか……と考えさせられた。

★不思議な少女を演じた山田なつきさんに助演女優賞。


3位『まる』荻上直子監督、脚本/117分

美大を卒業した沢田(堂本剛)は人気現代美術家のアシスタントとして浮かばれない毎日を送っていた。
そんなある日、彼は自転車事故で右腕にケガをしたために職を失ってしまう。

部屋に帰ると、床には1匹の蟻がいて、その蟻に導かれるように○(まる)をかき、知り合いの古物商に売りに行くが、馬鹿にされてしまうが長年のよしみで置いてもらった。ところがそれが思いがけなくSNSで拡散され、彼は正体不明のアーティスト「さわだ」として一躍有名人になって……

いやー、驚いた。荻上監督作品の作風の変容と堂本剛の演技力、つぶやくような歌声にしびれてしまった。ストーリー展開もオチも抜群。

出てくる方々も、売れない漫画家の綾野剛、コンビニ店員の森崎ウィン、ギャラリーオーナーの小林聡美らが個性豊かに演じていた。

★女性監督賞


🎬『ルート29』森井勇佑監督、脚本

他人と必要以上のコミュニケーションを取れない女性・のり子(綾瀬はるか)は、鳥取で清掃員として働いている。

ある日、彼女は仕事で訪れた病院の入院患者・理映子から「娘のハルを連れてきてほしい」と頼まれ、何かに突き動かされるように車で姫路へと向かう。

ハルは風変わりな女の子で、初対面ののり子に「トンボ」というあだ名をつける。のり子とハルは姫路と鳥取を結ぶ国道29号線を行く途中で、さまざまな人たちと出会い、のり子の心はいろんな感情で満たされていく。

正直、面白い映画でも見応えのある映画でもない。出てくる方々は「普通」ではない。内容は書けないが、こんなこと頼まれたらほとんどの人は断ることもなぜか引き受けてしまったり、きっとこんなの見たら警察に届ける状態でも、自分でなんとかしたりするので、共感する部分がなかった。

ところがそのうちに「普通じゃない」が伝染して「ま、こういう人たちもいるんだろうなぁ」に無理なく納得できた不思議な映画だった。

『こちらあみ子』で長編デビューして第27回新藤兼人賞金賞を受賞した森井勇佑監督。今作は綾瀬はるかを主演に、詩人・中尾太一の詩集「ルート29、解放」にインスピレーションを受けた独創的なストーリーのロードムービー。『こちらあみ子』で主演した大沢一菜がハルを演じている。

★脚本賞


🎬『身代わり忠臣蔵』河合勇人監督

嫌われ者の吉良上野介(ムロツヨシ)から陰湿ないじめを受けて、耐えかねた赤穂藩主が、江戸城内で吉良に斬りかかった。赤穂藩主は当然切腹となったが、実は斬られた吉良も逃げ傷で瀕死の状態になっていた。死んだとなれば、お家取り潰しも免れない。

そこで吉良家の厄介者で、上野介にそっくりな弟・孝証(ムロツヨシ)を身代わりにして幕府の目を騙し抜こうという作戦が実行されることになった。

一方、切腹した赤穂藩主の部下・大石内蔵助(永山瑛太)は、仇討ちのチャンスをうかがっているように見えたが……。


「忠臣蔵」を基に「身代わり」という設定を加えてコミカルに描いた土橋章宏の同名小説。ムロツヨシが主演。

忠臣蔵の基本的なことの起こり、江戸城のしきたりなどあらためて教えてくれた。

それにしてもムロツヨシを主演とは、それもお顔は似ていても性格は正反対の兄弟。上手い役者と思った。

家来の「身代わり主」の扱いも、敵の大石との仲も展開スピードが良い頃合いで満足した。これ、時期が12月中頃の公開ならお正月映画バッチリなのに……

★主演男優賞


🎬『夜明けのすべて』三宅唱監督、脚本



PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さん(上白石萌音)は、会社に入ったばかりの同僚・山添くん(松村北斗)の行動がきっかけで、怒りを爆発させてしまう。

炭酸水ばかり飲んでやる気がなさそうな山添くんだったが、彼もまたパニック障害を抱えていて気力も失っていたことがわかった。

職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。

もっと早く観るべきだった。ミッキーの身体や気持ちにフィットして、時間が離れてなかったら繰り返してもう一度観たいほどだった。
人が寄るところで揉め事がないところなんてないと思っていたが、こういう会社もあるんだな……(それが映画内だけのことでも)と優しい気持ちになった。若い2人も期待を裏切って(笑)何もなく終わるが、それも良かった。三宅監督、ありがとう。

★監督賞


🎬『愛に乱暴』森ガキ侑大監督、脚本/105分

初瀬桃子(江口のり子)は夫・真守(小泉孝太郎)とともに、真守の実家の離れで暮らしている。義母・照子(風吹ジュン)とは表向きは上手く付き合っていたが、夫は自分に無関心なことが悩みだった。悩んでいることは隠して明るく振る舞っていた。

彼女は週2回ほど石鹸教室の講師をしていたが、手の込んだ料理を作って、日々を充実させていた。

そんな頃、近隣のゴミ捨て場で不審火が続いたり、可愛がっていた仔猫が不明になったり、匿名の人物から不倫アカウントが表示されるようになって、桃子は少しずつ不安定になってしまう。

吉田修一の同名小説の映画化。監督は『おじいちゃん、死んじゃったって。』『さんかく窓の外側は夜』の森ガキ侑大。

江口のり子さん、出ずっぱり! 痛み、イライラ、が、バンバン伝わってきた。

掴みどころのない浮気夫の小泉孝太郎も、優しげな義母の風吹ジュンも憎いくらい良い!

★主演女優賞


🎬『すべての夜を思いだす」清原惟監督、脚本

高度経済成長期の入居開始から50年がたった多摩ニュータウン。公園と団地と一軒家がどこまでも続く広々とした街には、静かでのんびりとした時間が流れている。

そんな風景も中、誕生日を迎えた知珠(兵藤公美)は、友人から届いた引っ越し通知のハガキを頼りに、ニュータウンの中を歩いている。

団地内のガス検針員をしている早苗(大場みなみ)は行方不明になった老人と出会う。

大学生の夏(見上愛)は、亡き友人が撮った写真の引換券を持って、友人の母に会いに行く。

それぞれの理由で街の中を移動する3人の女性たちは、人気のない街で、出逢うべき人の面影を追っている。


取り残された「ニュータウン」の「今」を3人の女性を通して的確に描いている。女性たちも見ようによっては「取り残され」感がある。でも各々にふりかかる「思うようにはならない」を深刻にならず受け止めている。

セリフの間合いの取り方、風景のすみっこに映る人影などが、観ている者の気持ちに「ちょっと引っかかったり」して面白い作りになっていた。

🎬『もしも徳川家康が総理大臣になったら』武内英樹監督

コロナ禍の2020年。首相官邸でクラスターが発生して総理大臣が急死。大きな危機に直面した政府は最後の手段として、歴史上の偉人たちを「AIホログラム」で復活させ最強の内閣をつくることにした。

江戸幕府を作った徳川家康(野村萬斎)を総理大臣、織田信長(GACKT)や豊臣秀吉(竹中直人)といった偉人たちが集結した夢のような内閣が誕生する。

その圧倒的なカリスマ性と実行力で日本中が熱狂する中、新人テレビ局員・西村理沙(浜辺美波)は新内閣のスクープをしようと、政府の官房長官を務める坂本龍馬(赤楚衛ニ〕に接近しようとするが……。

期待せずに試写に行ったが、ツボにハマった❗️野村萬斎の力強い声、経済産業大臣の織田信長、財務大臣の豊臣秀吉らが適材適所になっているのも納得。

『翔んで埼玉』の武内監督のコメディ調で本領発揮。ガハッと笑って、うんうんとうなづいて、いっとき暑さを忘れた。

★エンタメ賞

🎬『夏目アラタの結婚』堤幸彦監督

日本中を震撼させた連続バラバラ殺人事件の犯人で、逮捕時にピエロのメイクをしていたことから「品川ピエロ」と呼ばれてでいる死刑囚・品川真珠(黒島結菜)。

児童相談所職員の夏目アラタ(柳楽優弥)は、その事件の被害者の子どもに頼まれ、まだ発見されていない被害者の首を探すため、いろいろ手を尽くして、真珠に会うことにした。

だがアラタの前に現れた真珠は、残虐な事件を起こした凶悪犯とは思えない風貌だった。アラタは真珠から情報を引き出すため、大胆にも彼女に結婚を申し込む。毎日1回20分だけ許される面会の中で、会うたびに変わる真珠の言動に翻弄されるアラタ。やがて真珠はアラタに対し、自分は誰も殺していないと告白した。

主演は柳楽優弥。原作は乃木坂太郎の同名ベストセラーコミック。

奇異な縁で死刑囚の女と獄中結婚かする柳楽優弥。死刑囚の女に黒島結菜。脇には佐藤二朗、中川大志、丸山礼、立川志らく、市村正親が共演。

サスペンス度は上々❗️最後まで席をお立ちにならないで。






posted by ミッキー at 15:58| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする