2025年11月04日

東京国際映画祭2025(5) Nippon Cinema Now 部門より『名もなき鳥たち 』

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🎬『名もなき鳥たち』楊礼平監督、脚本/日本/157分

マナー会社で働く高橋凛(大須みづほ)は、毎日のストレスから逃れるようにロックシンガー・佐々木翠(たむらもとこ)のライブに行った、

そこで高揚した気分になって「結婚したーい❗️」と大声で叫んでしまった。

その叫びを聞いた中国人画家・趙不亮(チャン・ニンハ)から、初対面にもかかわらず、凛はいきなり不亮に結婚を申し込まれる。

意気投合してお酒を飲みで酔ってしまい倒れた凛が目を覚ますと、そこは翠と不亮が共同生活を送る家だった。

不思議な出会いをきっかけに、三人の人生は徐々に変化していく。



見る前は157分は長いと思ったが、最後まで気が抜けなかった。シェアする家は翠の持ち物で、気に入った趙不亮と凛を一定の決まりを作って生活を始めた。三人三様の行く道がここから「旅立つ」という形でストーリーが進んでいく。

そこには理解しあったり愛し合ったりするが「束縛」は一切なくて、一時期いなくなっても、将来はきっとここに戻ってくるのだろうな……と思わせる終わり方だった。

三人ともとても幸せそうで、今頃どうしているのかなと、ふと思ってしまった。


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2025年11月02日

東京国際映画祭2025(4)コンペティション部門より『飛行家』『死のキッチン』

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🎬『飛行家』ポンフェイ監督、脚本/中国/118分

中国東北地方に暮らす平凡な労働者リー・ミンチーは、自作の飛行装置で空を飛ぶという夢を追いかけているが、実験はことごとく失敗する。

やがて改革開放政策となってミンチーと妻は廃工場を改装してダンスホールを開業するが、ミンチーは空を飛ぶ夢を捨てきれない。

いつも賑わっているように見える店も赤字続き、息子の病気治療などで困っている彼の耳に「もう一度、空を飛んで見よう」と思うテレビ企画を見つけて……。


2023年東京国際映画祭で上映された432分(全6話)『平原のモーセ』の原作者シュアン・シュエタオの小説をポンフェイ監督が映画化。

中国社会の変化とそれに伴う国情を背景に、ひとりの男の半生がエネルギーたっぷりに描かれていた。

映画祭で暗い、悲しい作品が続いたので、勢いがあってとてもウキウキした気分で楽しめた。

見終わって、ちょっと「描き方が大袈裟」と思う部分もあったが、大空を飛ぶ爽快感をお裾分けしてくれたにで良しとしよう。



🎬『死のキッチン』ペンエーグ・ラッタナルアーン監督、脚本/タイ/96分

タイの田舎のムスリム社会から追放され、ひとりで都会に出てきたサオは、得意な調理の腕前でバンコクの高級レストランのシェフとなった。

そんなサオの前に、過去に故郷でサオを強姦した男ローンが現れる。彼はサオのことを忘れていたので、復讐することを決意した。


題名とあらすじでいち早く見たくなった作品。

しかしコンペティション作品として、またホラー映画としても満足できなかった。

美味しそうな料理がたくさん出て来ても不穏な音楽で、いつも見ている料理映画は心地よい音楽によって美味しそうに見せてくれていたのか、と(当たり前のことだが)再確認できたのが唯一の収穫だった。

posted by ミッキー at 08:25| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月01日

東京国際映画祭2025(3)ガラ・セレクション部門より『君の顔では泣けない』

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🎬『君の顔では泣けない』坂下雄一郎監督、脚本/123分/11月14日公開予定


高校1年生の坂平陸(西川愛莉)と水村まなみ(武市尚士)は、プールに一緒に落ちたことをきっかけに体が入れ替わってしまう。

2人はいつか元に戻ると信じ、入れ替わったことを周囲に秘密にしたまま日常生活を送りはじめる。

陸としてそつなく生きるまなみ、だが不器用な陸は入れ替わったことをなかなか受け入れられず、戸惑っているうちに時が流れていく。

そのまま高校を卒業し、進学、初恋、就職、結婚、出産、そして親との死別と、人生の転機を入れ替わったまま経験していく。

そして30歳の夏、まなみ(橋海人)は陸(芳根京子)に、元に戻る方法がわかったかもしれないと告げる。


原作は2021年に出版された君嶋彼方の同名小説の映画化。

お互いの体が入れ替わったまま15年の歳月がいろんな出来事によって翻弄されていく様子が年代を前後しながら描かれている。

15年は長い……その間は入れ替わった家族と暮らすわけなので、相当なストレスがあったと思う。そのうちきっと元に戻れると願いつつ、一番楽しいはずの青春時代を送る気持ちは想像できない。

お互い、15年のうちに何回か会って情報交換しているが、そのうち「このままでもいいか……」と思い始めてもいる。

今まで見てきた「入れ替え」映画とは違う「何か」を教えてくれた作品だった。
posted by ミッキー at 17:40| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする