2019年03月14日

大阪アジアン映画祭2019(5)『先に愛した人』

🎬『先に愛した人』シュー・ユーティン監督/台湾/100分/日本初上映

突然この世を去った父親には男性の恋人ジェイ(ロイ・チウ)がいた。その男は父の保険金受取人にもなっていて、自由気ままに生きている人間だった。そんな現状に気の強い母親リウ(シェ・インシュエン)の怒りは爆発。そんな2人の間に挟まった高校生の息子リン(ジョセフ・ホアン)は戸惑いを隠せなかった。

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あまりにも口うるさくて息子をがんじがらめに束縛する母親でうんざり。こんな妻ならどんな男だって逃げていくだろうに、と思って観ていた。だが、夫は数年前にゲイをカミングアウトして全財産を妻と一人息子に残して出て行った。その財産だって一生気楽に過ごせるたかではなく、保険金はゲイの恋人に渡ってしまうのだから、今まで以上に強烈になる母親だ。

息子を連れて保険金渡せと怒鳴り込みに行くが尻込みして外で待っている息子。息子だって逃げ出したくなるだろう。と思って見ていたら案の定家出した先はゲイの恋人の家。

もちろん猛烈ママは居場所がわかると駆け込んでくるがテコでも帰らない息子に勉強道具、栄養を考えた食事、学校に遅刻しないよう何時に起こして、絶対に息子の体に触るな! と言い置いていく。もちろん、食べ物は毎日届ける。

そうこうしているうちにいろんなことが分かってくる。これは公開もあり得る作品なのであまり書けないが ロイ・チウの魅力、シェ・インシュエンの猛烈ママ演技、戸惑う高校生をピュアに演じた新星の三人三様が光っている作品だった。


⭐️2018年の台北フィルム・アワードで主演男優賞(ロイ・チウ)、主演女優賞(シェ・インシュエン)受賞。
⭐️台湾Nightで来日したロイ・チウさんはこの作品ではちょい悪風だが、実際は美男子‼️ 彼のファンたちで最前列はしめられていた。
⭐️邦題のつけ方に納得 ‼︎
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2019年03月13日

大阪アジアン映画祭2019(4)「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」より

「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」は、脚本、30ミリフィルム使用、25〜30分の作品という条件で選ばれた5作品。無料上映でさぞ満員かと思いきや15人ほどで、5作品皆力作だったのでもったいなかった。各映画、演技力に定評のある俳優さんを使い、短編でも一番難しい30分の尺で頑張っていた。

🎬『サヨナラ家族』眞田康平監督/30分

一年前、目の前で突然父が苦しみだして救急車がついた頃には既に死んでしまった。そしてその頃から不思議な現象が見え始めるが、誰にも言うことなく過ごしていた。そんな洋平(石田法嗣)は、妊娠中の妻を残して自分だけ一周忌のため実家に帰省する。

実家の母(根岸季衣)は「父がふっと帰ってくるような気がする」と仏壇に話しかけ、妹は自分なりの方法で父の死を受け止めようとしている。それが洋平にはどうしても納得できなくて困惑する洋平。

実際に死の瞬間に立ち会った洋平の気持ちがヒシヒシと伝わって来た。嫁さんの「お腹赤ちゃんをきっと喜んでいる」「お父さんの好物だったから喜ぶよ」「いつもお父さんと話している」という家人の言葉が「実際に死んだ」を体験した洋平には「何を嘘っぽいこと言ってるんだ。親父は死んだのをもっと現実的に受け止めてくれ」と言う。

しかし彼の目には父親の姿が……。死んでも家のそこここにある気配を感じさせてくれた。


🎬『うちうちの面達(つらたち)は。』山元環監督/28分

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2週間前、夫婦喧嘩でママ(濱田マリ)が姿を消してしまった。八方探すがどこにもいない。パパは息子娘の朝食など不器用ながらやっていたが、内心は行方が分からないママを心配していた。

パパと娘の志保には行き先の見当もつかなかったが、13歳の浩次朗だけはママの居所を知っていた。そこは……。

ママは家の中にいて、長男だけが知っているという設定。家のどこに⁉️ 隠れていたかは、書きたいけど、内緒で言いたいけど、やめておこう。

⭐️面白さ一番の作品


🎬『くもり ときどき 晴れ』板橋基之監督/30分
母(浅田美代子)と暮らす晴子の元に、生き別れた父の生活保護扶養照会だった。25年前に両親が離婚して以来、初めて知る父の消息だ。家族の中で自分にだけは優しかった父に会いに行く晴子。

金属加工職人の父親の口癖は「設計図通りに生きろ」そのご本人が一番設計図から落ちこぼれているのに……。娘を医師と言ったり妻を自分の母親と言ったりボケは相当進んでいる。まあこうなれば国にお世話になる方が……。

⭐️最後に流れた歌がとても良かった。


🎬『はずれ家族のサーヤ』岡本未樹子監督/30分

紗綾(横溝菜帆)の母親(黒川芽以)は再婚相手との間に男の子ができて新しい生活を始めた。そんな沙綾はずっと祖母と2人暮らし。家族からはずれてしまった少女は、ある日、古い木箱を売るおもちゃ売りの男から不思議な力があると言われて、木箱をもらうが……。

幼い時に母親と別れて暮らしている少女に同情してしまった。大人には大人の事情があると思うが子には理解できなくて「はずれ」感覚はものすごく辛いはず。少女の演技の喜怒哀楽がとっても光っていた。


🎬『最後の審判』川上信也監督/29分

難関の東京美術大学の受験に挑む稲葉(須藤蓮)は浪人5年目。ゴローちゃんと呼ばれている。弟は早や今年から社会人だ。母親(黒沢あすか)はお金のことは気にしないで」というが彼は今年が最後の挑戦と決めていた。

いよいよ試験日。試験は2日間で仕上げる人物画。そこで出会った独特な雰囲気を持つ現役受験生の初音(永瀬未留)。ところが初音は他者を圧倒する才能の持ち主で、稲葉は初音の絵を意識するあまり、自分のペースが乱れてしまい……。

東京芸大の声楽を受けた55年前を思い出した。試験官が誰が歌っているかわからないように分厚いカーテンの中で歌わされた。だが美術科がこんな長時間のデッサン試験があるとは知らなかった。

稲葉は初音の画力の秘密を聞き出そうと食事に誘うが、彼女の食欲にも圧倒される。そして彼女発案の「路上で似顔絵を描く」競争に挑戦する。

⭐️一番脚本がしっかりしていた。
posted by ミッキー at 07:29| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月12日

大阪アジアン映画祭2019(3)『新宿タイガー』『アルナとその好物』『美麗』

🎬『新宿タイガー』佐藤慶紀監督/83分/今月22日テアトル新宿にて公開
東京・新宿。1972年、24歳から虎のお面を被り、ぬいぐるみをいっぱいつけた異様な姿をした男のドキュメンタリー。

ミッキーも新宿の映画館で三回ほど遭遇している。座る場所の好みは最前列中央でミッキーは最前列か2番目の右だからよくご近所?になった。両側に荷物やぬいぐるみが置いていた。

そんな男のドキュメンタリーだから期待したが、上っ面だけで深淵には達してなかった。
カメラが回っているところで飲み屋の主人であれ、旧友であれ、道を通る人たちも本音は出ないだろう。

知りたいこと、どうしてその格好をしているか、きっかけは、どこに寝てる等々ははぐらかされていた。

🎬『アルナとその好物』エドウィン監督/インドネシア/106分/日本初上映

職場の上司の指示で鳥インフルエンザの調査旅行にでかけることになったアルナは、友人でシェフのボノとインドネシア各地の名物料理の食べ歩きを計画する。そこへ友人でライターのナッドが合流、さらにはアルナの元同僚ファリスも加わり、4人の男女の旅が始まる。

お腹がすいていたらたまらない映画だったし、料理の手際も良かった。画面からは味の深みが伝わってきたが、男女4人のさっぱり風味の関係には共感できなかった。


🎬『美麗』ジョウ・ジョウ監督/台湾・中国/88分/日本初上映

クリーニング店に勤めるメイリー(チー・ユン)は、同性の恋人のリーウェンと二人暮らし。両親は今は亡く、実姉からはお金をむしんされたり、その夫(義兄)からは嫌がらせ受けていた。

そんな彼女はリーウェンと上海で生活をやり直したいと思っていた。しかしリーウェンは先に仕事で上海に行ってしまい、メイリーが一人取り残され、勤めていたクリーニング店も人員削減のために首になってしまう。

八方ふさがりの中で、優しい友人の世話で携帯電話の店に転職して数日たった時、実姉と幼い娘が夫から逃れて訪ねて来て……。


この日、一番辛い暗い希望がないの3拍子揃った中国映画。前日見た電影作品とは真逆の中国映画だ。

ここまで難儀な人生を歩むメイリーの原因は同性愛の問題もあるにはあったが、これに関しては影をひそめ、中国の国情が全面に押し出されていた。

姉の女の子は実は跡継ぎのできない姉の願望でメイリーが産んだ子で、彼女は一切実母としての「情」は見えてこない。一体、誰の子を身ごもった?……と、深読みで義兄?まさかまさかだが完全にNOとは言えまい。

そして、愛しあっていて同居していた恋人は上海で「男性」と恋仲になり、おまけにメイリーのありったけのお金を詐欺まがいの行為で盗られるという、彼女にとって踏んだり蹴ったり➕殴られたりの傷心映画だった。だから最後は「窮鼠猫を噛む(追い詰められたネズミが逃げ場を失ったとき、必死で猫に噛みつく」のことわざどおりの展開だった。


posted by ミッキー at 06:54| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする