2022年01月05日

ドキュメンタリー映画ベストテン(3位以下は順位なし)

1位🎬『GUNDA/グンダ』ビクトル・コサコフスキー監督、脚本、編集/アメリカ、ノルウェー/作品賞、撮影賞
ノルウェーのとある農場で暮らす母ブタGUNDA。生まれたばかりの子ブタたちが必死に立ち上がり乳を求める。そこには一本脚で力強く地面を踏み締めるニワトリや大地を駆け抜けるウシの群れもいて……。

★これは試写室ではなく小さい画面のオンラインで見た。はじめこそ「こりゃ、眠たくなりそう…」と頭をかすめたが、それも3分も過ぎると前のめりの姿勢になった。グンダの鼻先でワラの中から生まれ落ちたばかりの赤ちゃん豚をどうにか自分の乳房まで持っていく。10匹ほど生まれたが動作の早いものからうろうろするものが乳房のまわりに集まってくるのを、ちょっともてあまし気味の表情をしたり、まだワラのどこかにいないかと鼻先で探してみたり、なかなかの母親ぶりだ。モノクロ、無音(自然音のみ)、ナレーションなしの作品だが、動物の世界の「喜怒哀楽」が静かに潜んでいた。この作品を製作者の1人として俳優のホワキン・フェニックスさんが名乗り出たのも頷ける無音ドキュメンタリー。

2位🎬『THE MOLE』マッツ・ブリュガー監督/デンマーク、ノルウェー、イギリス、スウェーデン/監督賞
デンマークの元料理人のウルリクは、北朝鮮の闇を暴きたいという強い好奇心を抱き、スペインに本部がある北朝鮮との文化交流団体KFAにスパイとして入り込む。そこで数年間かけてKFA会長の信頼を勝ち取り、中心メンバーになる。コペンハーゲン出身で麻薬密売人の相棒と共に、独裁国家・北朝鮮に潜入。信頼を得たKFA会長の橋渡しで、武器や麻薬を製造、供給する北朝鮮の国際犯罪組織に潜り込んでいった。

★デンマークの男性が北朝鮮の国際的な武器密輸の組織に潜り込み、隠しマイク、隠しカメラで、実態を暴き出したドキュメンタリー。「嘘でしょ?」「まさか!」の連続だった。北朝鮮に入り込んでものの見事にトップの方にまで会った実話『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」(2018)以上の緊張感でハラハラドキドキ。これ事実のことだが、ちょっと北朝鮮上層部の詰めが甘かったようだ。まあこれが事実なんだから、ヘマをした交渉の高官たちは、今ごろ生きていない……可能性もある。ブリュガー監督は2009年に『ザ・レッド・チャペル』という衝撃的な作品を撮り北朝鮮を怒らせて入国禁止になった。

3位🎬『83歳のやさしいスパイ』マイテ・アルベルディ監督、脚本/チリ、アメリカ、ドイツ、オランダ、スペイン/女性監督賞
とある探偵会社が「80〜90歳の男性で電子機器に強い人」と募集を出したところ、オレがぴったり!というご老人たちがたくさん集まった。決まったのは身なりがきちんとした紳士・セルシオが選ばれた。途端に生き甲斐をみつけたセルシオさん。老人ホームに入って依頼主の母親がどんな扱いを受けているか調べるスパイだった。

★これ、2年前の東京国際映画祭で『老人スパイ』という怖い題名で観た。そして去年のアカデミー賞のドキュメンタリー部門でノミネートされた作品。秘密でカメラを回していたわけではないので(目的は言わないが、撮影許可は取っていて)、舞台になったホームは一応気を使っていると思うので本当のところは分からない。もう数十年もするとネットを使い慣れた入居者たちは、毎日、ブログやツィッターで状況を発信するかもしれない。そうなったら病院としては、やりにくいだろうなあと思った。セルシオさんはけっこう女性に人気で、ご本人もこのお仕事に生きがいを感じるようになって生き生きして来るのがわかった。

🎬『ブックセラーズ』D.W.ヤング監督/アメリカ/99分
世界最大のニューヨークブックフェアの裏側からブックセラーたちを追ったドキュメンタリー。バイヤー、書店経営者、コレクターたちの個性的な佇まいと共に珍しい希少本の数々が映し出されていた。

★もうため息しかでなかった。いろんな本が紹介される中でも「本物のマンモスの毛がついている」本には驚いた。シドニー娘の住んでいる所から歩いて20分ぐらいのところに大きな大きな古本屋(小さな体育館の規模)があって、入り口に「どこに何がありますかなどとは聞かないでください」「必ずあったところに戻しておいてください」と立て札があって、3回ほど行ったが、もう「たから探し」のような古本屋だった。子ども絵本の横にポルノがあったりアジア系の映画雑誌があったり図鑑があったりで、ものすごいところだった。3年前に閉鎖されたがあの本たちはどこに行ってしまったのだろう……。

🎬 『東京自転車節』青柳拓監督/2021年話題賞(1)
新型コロナウイルスのため緊急事態宣言が発出された2020年の東京。山梨の実家で暮らしていたが失職したので、東京に出て自転車配達員として働くことになった青柳監督は、スマートフォンなどで自分の活動を記録していくセルフドキュメンタリー。

★街中でよく見るウーバーイーツだが、このドキュメンタリーを見るまで「自転車さえあれば誰でも簡単にアルバイト感覚でできる」と思っていたが、大違いだった。映画を見てから女性のウーバーイーツの方も数人みた。みんなご苦労していると思うと頭が下がる。監督さんもウーバーイーツをやりながら笑える失敗や笑えない失敗を繰り返してちょっと成長したようだ。監督さんの人柄か、アパートに泊めてくれたり、時々心配して様子を聞いてくれる友人がいた。何もないけど「友だち」はいた!ことで、幸せも感じさせてもらった。

🎬『東京グルド』日向史有監督/2021年話題賞(2)
故郷での迫害を逃れて、小学生の頃に家族で日本へやってきたトルコ国籍のクルド人のオザンとラマザン。難民申請を続けていて、入管の収容を一時解除される「仮放免許可書」を持っているが「不法滞在者」の身分。そんな不安定な身でありながら、2人の若者は夢を持っている。しかし、住民票がないために、自由に移動することも、働くこともできない。そんな時、東京入管で長期収容されていたラマザンの叔父メメットが極度の体調不良になるが、病院に搬送されたのは30時間後のことだった……。

名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが去年の春に適切な医療を受けることなくお亡くなりになった事件があった。このドキュメンタリーでも同じことが起こっていた。我が国のやり方の裏をまざまざと見せてもらった。オザン青年は長身で美男子。テレビ番組の紹介者に選ばれたが「仕事をしていけない」という規則でお流れになっていた。彼は日本語の読み書き、グルド語、トルコ語が堪能なので、活躍できる日が近いことを心から祈っている。

🎬『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』アントワーヌ・ビトキーヌ監督/フランス
ある美術商がとある絵画競売会社のカタログから13万円で落札した1枚の絵。彼はロンドンのナショナル・ギャラリーに依頼して、専門家の鑑定を経てダ・ヴィンチの作品として展示される。その絵に、投資目的の大財閥、手数料を上乗せして儲けようとする仲介人、国際政治での暗躍が噂される某国の皇太子など、それぞれ思惑を抱えた人々が世界中から集まってくる。そしてついに510億円で競り落とされて……。

ミステリー&サスペンス映画のようなドキュメンタリー。真面目で温厚そうな絵画仲介者はまるで詐欺師、だけどこれは慣例の範囲と平然としている。世界的に超有名な鑑定家4人のうち「偽物」とはっきり言ったのは1人だけ。ダ・ヴィンチが描いたのとダ・ヴィンチ工房が描いたのとは雲泥の差らしい。芸術は崇高だが周りで儲けようとする人たちの様子がこと細かく描かれていて、もう一度観たいほど。全然絵画に興味のない方も楽しめるドキュメンタリー。ダ・ヴィンチの最後の傑作とされる絵画「サルバトール・ムンディ」その絵は通称、男性版モナリザと呼ばれている。

🎬『芸術家・今井次郎』青野真悟、大久保英樹監督、撮影、編集/造形賞

作曲家、ミュージシャン、造形作家、パフォーマーで多彩に活動し、2021年には美術作品集が出版されるなど再発見されている今井次郎さん。2012年に悪性リンパ腫で他界した彼は、死に先立つ半年間の入院生活中、病院食を使って表現したユーモアあふれる「ミールアート」をはじめとする多くの作品をSNSで発信し続けたていた。

★芸術家と題に記してあるがご自身ではそうは思ってないのではないかな。上手く表現できないが、地球外からヒョイ!とばかりにこちらへ遊びにきた「宇宙人」のような、誰にも真似できない個性(特性かな)が、息づいている感じがした。ちょっと半歩ほど外したような魅力的な才能を持っていて、その気になりさえすれば「時の人」となってもてはやされる人生もあったはずだ。だが、今井次郎さんは有名にもお金持ちにもならなかったし、なろうともしなかった。しかし、その他の幸せの「全部」を手に入れた方だ。最後に病院食でいろんな「人がた」の造形を皿にのせて見せてくれた。前に本で見ていたが改めて病院の中でこんな「遊び」をなさっていたかと思うと、なぜだか涙が出た。60の年齢でおなくなりになったが、今頃、きっと「宇宙(そら)」で雲や星や陽の光を集めて造形して遊んでいるのではないか……そう思わせる不思議な力のある今井次郎さんのドキュメンタリーだった。

🎬『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』アシフ・カパディア監督/イギリス/編集賞
2年前に60歳でお亡くなりになったアルゼンチンの伝説的サッカー選手ディエゴ・マラドーナのドキュメンタリー。

★監督さんは『AMY エイミー』で第88回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したイギリスのアシフ・カパディア。マラドーナさんご本人がナレーションをつとめている部分もある。スーパースターのマラドーナの栄光と影の部分(マフィアとの交際、愛人スキャンダル、コカイン等々)のトラブルメーカーとしてのマラドーナを追っている。編集が良くてあっという間の130分だった。

🎬『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』ジョニー・ロイヤル監督、原案/アメリカ
チラシを見るとホラーみたいで楽しみにしていたが真面目なドキュメンタリーだった。初めて知ることばかりで、後からネット検索したら「映画」はまともだったが、ネットでは「マユツバ」が多く、どこまで信じて良いのかわからなかった。

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★今でも隠れイルミナティが世界中にいるとか、誰それが会員だとかというネット情報だが
歴史の史実としてこのドキュメンタリーを見て本当によかった。

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2022年01月04日

アジア映画ベストテン(3位以下は順位なし)

先程、友人から丸餅と豆餅がとどいた。嬉しい❗️
北側のベランダには買いだめした野菜、冷蔵庫にはおせち、冷凍庫にはお肉、魚、干物など4、5日は買い物に行かなくても充分いける。寂しいのは○○だけだが、満ち足りた気分。

1位🎬『藁にもすがる獣たち』キム・ヨンフン監督、脚本/韓国/監督賞
失踪した恋人が残した借金の取り立てに四苦八苦するテヨン(チョン・ウソン)、暗い過去を捨てて新たな人生を歩もうとする女ヨンヒ(チョン・ドヨン)、事業の失敗でホテルに併設されたサウナ風呂でアルバイトとして働く妻子持ちのジュンマン(ペ・ソンウ)、自分の作った借金のために、夫から常にひどい暴力を受けているミラン(シン・ヒョンビン)たちは、今の状況から抜け出すために「藁にもすがる思い」でお金が欲しかった。そんなある日、ジュンマンは職場のロッカーに忘れ物のバッグを発見する。その中には10億ウォンもの大金が入っていて……。

★大金が入ったカバンを偶然に手にする妻子想いの男が主人公。誰しも大金を見て「これ、自分のものにしようか」と一瞬、そう思うはず。韓国トップスターチョン・ウソン、チョン・ドヨン、認知症気味の役を演じるユン・ヨジョン(『ミナリ』でアカデミー賞助演女優賞)に囲まれたペ・ソンウさんのちょっと自信が持てないような「演技」が光っていた。

2位🎬『ただ悪より救いたまえ』ホン・ウォンチャン監督、脚本/韓国/作品賞
凄腕の暗殺者インナムは人生最後の仕事として、日本のヤクザ・コレエダを殺害する。だがコレエダの義兄弟だった冷酷な殺し屋レイは、復讐するためにインナムを追う。一方、インナムの元恋人は、彼と別れた後にひそかに娘を産み、タイで暮らしていたが、娘が誘拐され、彼女も殺されてしまう。初めて娘の存在を知ったインナムは、彼女を救うためタイへ。そしてレイもまた、インナムを追ってタイにやってきて……。

★すごい迫力だった❗️逃げ出したくなるほどバッサバッサと殺していくファン・ジョンミン、酷い殺しを楽しむように殺していくイ・ジョンジェ。ファン・ジョンミンもイ・ジョンジェもこんな役やったことないと思うがスクリーンを凝視してみても本当に「彼らなのか?」と疑ったぐらいだ。これをお正月映画で観る方はミッキーと仲良しになれそうだが、なんだかクリスマスもお正月も終わってからの方が無難かも。でも絶対見ていただきたい「キムチand青唐辛子」的激辛韓国映画。

3位🎬『春江水暖〜しゅんこうすいだん』グー•シャオガン監督/中国/新人監督賞、脚本賞
舞台は浙江省・杭州市の富陽。今日は4兄弟の母親の誕生日。長男が経営する飯店で祝いの席が開かれていた。親族一同、親しい友人が年老いた母親に優しい言葉を添えてプレゼントを差し出している。テーブルの上には山海の珍味が並び宴は続く。店の裏口では長男夫婦が生きの良い魚をしゃがんでさばいている。そこに「兄さん、代表で挨拶してください」と弟がやって来た。衣服を整え母親に何回も感謝の言葉を述べて深く頭をたれていると、母親は場の雰囲気に酔ったのが引き金になって倒れてしまう。救急車で運ばれた母親を茫然と見送る兄弟たちは……。

杭州の富陽の美しい自然を背景に、一つの家族の変遷を悠然と描いた新人監督グー・シャオガンのデビュー作。舞台になったのは監督の故郷。出演なさった方々はほとんどがご親戚。ええ!お顔立ちも個性的で劇団所属レベル以上の演技だった。理由はお金の節約のためとか、しかし、こんな演技ができる親戚ならほっておく手はない。映画は誰がどういう境遇かなどわかるのに相当時間がかかった。こういう時はわかるまで待つ根気がなくて居眠り💤や途中退席が常だが、これは風景が美しいことや一部雪景色が水墨画のように「澄み切った美しさ」に魅了されて一睡もせずに観た。この兄弟に起こることはどこの国の地方都市ならあり得ることだが、さすが?中国、お金の揉め事はバッチリあった。

🎬『夕霧花園』トム・リン監督/マレーシア
第二次世界大戦後のイギリス占領下のマレーシア。中国系マレーシア人のユン・リン(リー・シンジエ)は、旧日本軍の慰安婦にさせられて死んだ妹がいて、妹を助けられなったことで苦しんでいた。戦後、妹がいつも言っていた「美しい日本の庭園を造る」という夢を実現しようと、日本の皇居庭師だったナカムラ・アリトモ(阿部寛)を訪ねる。憎きべき日本人に接するのは嫌だったが、妹の夢のために庭造りを力仕事も厭わず学んでいく。寡黙な庭師•アリトモを知っていくうちに次第に魅せられていくが……。

★マレーシア、日本、イギリスの歴史がよく理解できた。日本のひどく横暴なやり方に目を瞑りたかったが、見なくてはいけないことだ。俳優として、なんでもこなしていく阿部寛だが、この寡黙で自分を曲げない男も見事に演じていた。彼は皇居の庭師だったが庭の一部をテニスコートにしたいということに、首を縦にふらなかったので、その職を辞めたのだ。

🎬『ファイター、北から挑戦者』ユン・ジェホ監督、脚本、編集/韓国/主演女優賞
韓国ソウル。北朝鮮から脱北してきた少女リ・ジナ(イム・ソンミ)は、定着支援研修を受けて、用意された小さなアパートに移り住んだ。中国に残してきた父親を呼び寄せるためにすぐに近所の食堂で働き始める。そこでは客が食べ残しの食料が大量に捨てられている。慣れないことばかりで苦労するが、学歴もコネもない彼女は、夜遅くまで働くしかなかった。そんな彼女にボクシングジムの雑用係の仕事が舞い込む。そこに来る同世代の女子ボクサー訓練生がトレーニングに励む姿に衝撃を受ける。

★脱北少女リ・ジナから目が離せなくなった。東洋人独特の奥一重の目を持つイム・ソンミさん。1986年生まれで「少女」ではないだろうが、ミッキーには少女にしか見えなかった。思い詰めた表情や悲しみを堪えた表情に胸が苦しくなった。ジナにボクシングの素質を見出したジムのオーナーの元で練習に励む彼女はイジメにあったり、試合に負けたりと試練は続く。監督さんの前作は2017年大阪アジアン映画祭で上映されたドキュメンタリー『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』

🎬『1秒先の彼女』チェン・ユーシュン監督、脚本/台湾
郵便局の窓口業務のシャオチーは、仕事も恋も思いどうりにいかない日々を送っていた。そんなある日、彼女は街で出会ったハンサムなダンス講師•ウェンソンと「七夕バレンタイン」にデートの約束をする。しかし、彼女がふと目を覚ますと、約束のバレンタインの翌日になっていた。シャオチーは楽しみにしていた大切な1日の記憶を取り戻すために奔走するが……。

★『熱帯魚』『ラブゴーゴー』のチェン・ユーシュン監督作品。2020年の第57回金馬奨で作品賞に輝いたファンタジックなラブストーリー。久しぶりに邦題の付け方に満足した。見ないうちから気を引き付けて、観てからは「なーるほど」だった。このシャオチー役を演じるリー•ペイユーさんは不思議な女優さんだ。おすましした時は超•面長美人、激情表情になるチャーミングではあるがすっごく庶民的(っていうかブスに近い)になる。 だからこそ飽きずに観られたのだが、一方のバス運転手の1秒遅い男性は正調•美男青年リウ・グァンティン。この2人の運命はどこで始まり、どこで再会して、そして最後にはどうなる?が台北の街と海辺の田舎町をバックに繰り広げられる。なお、シャオチーと同じ郵便局の窓口業務の可愛い子はヘイ・ジャアジャアさんは美人すぎる台湾の女流棋士。

🎬『夜の香り』ミンカイ・レオン、ケイト・ライリー監督/香港/78分/2020年/企画賞

『禁断の都市』ボケたおばあちゃんと介護する中年の女性。2人とも香港は異郷の地。おばあちゃんは何回も何回も同じことを言って、介護人を困らせるが介護人もボケたのを利用してうまく過ごしていた。

『玩具物語』母親の経営する玩具屋。経営が成り立たたないので売却する前に、店に在庫として古い玩具を息子2人が、今では「宝物」になった玩具を品定めしていた。日本のアニメ玩具もたくさん出てきた。

『鴛鴦(ユンヨン)』同じ高校の教師である男女2人(女性は白人で英語教師、男教師は香港人)の香港グルメめぐり。濃い紅茶にコーヒーを混ぜてコンデンスミルクを入れた飲み物の話が出て来た。

『深水埗(サムソイポー』区議会議員に立候補した民主派の女性は親中派に真っ向から戦いを挑む。落選しても「あ〜、選挙って面白い!」と笑い飛ばしていた。

この4編、すべて最高!DVDにしてほしい!

🎬『KCIA 南山の部長たち』ウ・ミンホ監督、脚本/韓国/イ・ビョンホンに主演男優賞
1979年10月26日、大統領直属の諜報機関である中央情報部(KCIA)の部長キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)が大統領(イ・ソンミン)を射殺した。その事件発生の40日前、KCIA元部長パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)は亡命先のアメリカで韓国大統領の腐敗を告発した。激怒した大統領はキム部長にアメリカに行って事態の収拾を命じられた。かつてはかつての友人でもあったヨンガクに接触するが……。

★1979年に韓国の朴正煕大統領が中央情報部部長キム・ジェギュに暗殺された実話。原作は金忠植のノンフィクション「実録KCIA『南山と呼ばれた男たち』」を基にしている。イ・ビョンホンのファンとしては笑顔がないし辛い役柄だから気が滅入ってしまった。映像中でゾッとするシーンもあった。この事件を描いた映画『ユゴ 大統領有故』や『大統領の理髪師』を思い出した。『KCIA 南山の部長たち』の最初の部分で大統領がヒゲを剃ってもらってるシーンがある。『大統領の理髪師』ではソン・ガンホさんがやっていたし、これも最初のシーンで部長キム・ギュピョンの部下2人が出てきた。その1人が『ユゴ 大統領有故』の主演ハン・ソッキュさんだ。殺された大統領の娘はセウォル号事故失態などでやめた朴槿恵元大統領。

🎬『夏時間』ユン・ダンビ監督/韓国/女性監督賞/新人女優賞
10代の娘・オクジュ(チェ・ジョンウン)と幼い弟のドンジュ(パク・スンジョン)は父親の仕事がうまくいかず、病身の年老いた祖父の世話をするためもあって、街中のアパートから車一台に乗る荷物以外はぜんぶ売り払って、田舎にあるおじいさんの古いが広い家に同居することにした。そこに父親の妹も夫と離婚すると言って同居することに。今まで、独り暮らしだったおじいさんの家は急に5人家族になって……。

オクジュ少女の目を通して、父親を見限って出て行った母親のこと、急に身じかになったおじいさんのこと、時にはうるさい弟のことが、心の動きと共に瑞々しく描かれていた。有名な役者さんも悪人もいない。どこの国に置き換えても通じる普遍的な作品の中に、時折々に囲む食卓の様子が韓国らしい趣を持って描かれていた。

🎬『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打ち上げ計画』ジャガン・シャクティ監督/インド
2010年にインドの宇宙事業のロケット打ち上げが失敗。責任者のラケーシュ(アクシャイ・クマール)とタラ(ビディヤ・バラン)は火星探査プロジェクトという実現不可能な閑職に異動させられた。家庭の主婦でもあったタラは家庭での揚げもの料理から小さなロケットでも探査機を火星に送るアイデアを思いつく。それがきっかけで低予算ながらプロジェクト始動が始まったが、集められたスタッフは経験の浅い女性数人と、男性は占い好きの独身男と定年間近なおじさんだった。

★これは実話なので成功するのはわかっていても、本当にこの人たちで成功するのか心細くなった。製作チームは『パッドマン 5億人の女性を救った男』の方々。ストーリー展開は科学的なことばかりではなく、安くするために工夫したり、時には喜劇のように場面もあって最後まで飽きず見られた。チームに集められた人の家庭環境もサラリと描かれていた。

posted by ミッキー at 10:55| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月02日

洋画ベストテン

洋画(3位以降は順位なし)

1位🎬『わたしはダフネ』フェデリコ・ボンディ監督、脚本/イタリア/作品賞
父のルイジと母のマリアと一人娘のダフネ(カロリーナ・ラスパンティ)は休暇のバカンスを楽しんでいたが、帰りぎわにマリアが倒れてしまう。すぐに病院に運ばれるが治療の甲斐なく亡くなってしまう。突然の母の死でダフネは泣き叫び狂乱する。父(アントニオ・ピオバネリ)は落ち着かせようとするが、彼女は興奮するばかりだった。マリアの葬儀が終わり普段の生活に戻る父娘。ダフネは勤務先のスーパーマーケットの同僚や友人の支えによって少しずつ平静さを取り戻し、明るい表情も出てきた。だが父は寂しさと不安で家業のアンティークのお店も閉じていて一向にお店を開けようとしない。そんな父の様子にダフネは母の故郷トスカーナに電車と徒歩で行こうと提案する。

★ダフネは明るい性格で社交的なダウン症の女性。スーパーで働き対人関係も良好。父と二人旅に出ても途中で出会う人たちと交流を重ねながら進んでいく。そんな父は最後に泊まった宿屋の女主人にダフネが生まれた時のショックを訥々と話始める。赤ん坊のダフネを見ることも抱くことも出来なかった……と。ハンカチではなくバスタオルのご用意を、と言いたいぐらい涙、涙。亡くなられたお母様の慈しみ深い育て方が、こんなにも素晴らしい女性に成長させていたのだ。旅から帰って、父に「これからはわたしを頼りにしてね」とプレゼントを差し出す。それは……。

2位🎬『ノマドランド』クロエ・ジャオ監督、脚本/アメリカ/監督賞/主演女優賞にフランシス・マクドーマンさん
ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマン)は、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失った。キャンピングカーに生活用品を詰め込んだ彼女は、季節労働の仕事を転々と渡り歩きながら車上生活をすることにした。

★第93回アカデミー賞では計6部門でノミネートされ、作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞した。車で移動して車中で生活する……憧れもあるが、それは自分の帰ることが出来る家があってこその「あこがれ」だ。映画は「その後」や「安定」を見せないまま終わっていたが「自分のできないことをファーンがやってくれている」そんな感情が湧いてきて「一人生きていく」勇気や難しさを優しく教えて貰った貴重な作品だった。

3位🎬『悪なき殺人』ドミニク・モル監督/フランス、ドイツ/脚本賞
吹雪の夜、フランスの山間の村で女性(バレリア・ブルーニ・テデスキ)が失踪した。事件の犯人として疑われた自閉症ぎみの農夫のジョセフ(ダミアン・ボナール)、彼と不倫関係にあった訪問介護職のアリス(ロール・カラミー)そして彼女の夫で畜産農家経営のミシェル(ドゥニ・メノーシェ)たちはそれぞれに秘密を抱えていた。

★この事件はフランスとアフリカのコートジボワールをつなぐミステリーに発展していく。開催された第32回東京国際映画祭では『動物だけが知っている(仮題)』(コンペティション部門で最優秀女優賞と観客賞を受賞)監督は『ハリー、見知らぬ友人』の方。
最高の群像サスペンス❗️最後のシーンで息をのんだ❗️この作品では殺し、騙し、浮気はあるけれど「悪人」はいない。

🎬『Summer of 85』フランソワ・オゾン監督、脚本/フランス/100分/新人賞にフェリックス・ルフェーブルとバンジャマン・ボワザン
セーリングを楽しもうと友人に借りたヨットで沖に出た16歳のアレックスは突然の嵐で転覆、18歳のダヴィドに助けられた。2人はやがて友情から恋愛感情になるが、アレックスにとっては初めての恋だった。ダヴィドの提案で「どちらかが先に死んだら、残された方はその墓の上で踊る」という誓いを立てる。だがちょっとしたダヴィドの浮気が元で喧嘩になってしまい……。

★ひと夏のピュアな青春映画。美しい青年2人が経験するの愛の喜び、かけひき、哀しみ、後悔、約束……青年2人を「ゲイの関係」と位置付けるのは簡単だが、この作品はそれを超越した何かがあった。アレックスは「いろんなことがあったが、これからが人生の始まりかもしれない……」の台詞に、さすがオゾン監督の力量を感じた。

🎬『プロミシング・ヤング・ウーマン』エメラルド・フェネル監督、脚本/アメリカ/衣装デザイン賞
平凡な女性に見える女性キャシー(キャリー•マリガン)は、実は周囲の人も知らないもうひとつの顔があった。彼女は日中はレストランで働き、夜になるとバーや居酒屋で行って酔っ払ったふりをして、謎めいた行動をとっていた。

★細かいことを書いてしまうと、なーんだ、となってしまいそう。だから基本的に女性にとって胸糞悪いストーリーとだけ言っておこう。キャリー•マリガンの昼と夜、恋しさと憎しみに変化する表情から目が離せなかった。この役にぴったりで、脚本、ヘアスタイル、衣装等々が見事だった。
2021年・第93回アカデミー賞で作品、監督、主演女優など5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した。

🎬『17歳の瞳に映る世界』エリザ・ヒットマン監督、脚本/アメリカ/女性監督新人賞
友達も少なく大人しそうな17歳の高校生•オータム(シドニー・フラニガン)は、妊娠していることに気付く。彼女の住んでいるペンシルベニアは未成年の中絶は両親の同意が必要なので、同じスーパーでアルバイトをしている従姉のスカイラー(タリア・ライダー)と、両親の同意が必要ないニューヨークに向かうが……。

★新鋭女性監督エリザ・ヒットマンが少女たちの旅路を描き、第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)受賞したドラマ。これを観てルーマニア映画『4ヶ月、3週と2日』を思い出した。チャウシェスク独裁政権下の女の子ふたりの長い1日を描いている。ルーマニアとアメリカでは状況がうんと違うが少女たちの手術前と後では「一つ、貴重な経験をした」というように達観した表情は同じだと感じた。それにしても州によって中絶に関してこんなに違うとは思わなかった。アメリカと一括りに考えては駄目と改めて思った。

🎬『ディナー・イン・アメリカ』アダム・レーマイヤー監督、脚本、編集/アメリカ/デート映画大賞
過保護に育てられたメガネ少女パティ(エミリー・スケッグス)は、孤独な毎日を送っていた。そんな彼女にとってパンクロックを聴くことだけが唯一の楽しみ。そんなある日、パティはひょんなことから、警察に追われている男サイモン(カイル・ガルナー)を両親に頼み込んで家に泊まれせたが……。

★パンクロックが大好きな少女が、大ファンのパンクバンド「サイオプス」の覆面リーダーを自分の家に匿ったことで起こる騒動&LOVEの青春映画。とんがった男と可愛いメガネ少女のワクワクする物語に魅了された。でもこんな偶然ってやっぱり映画の中だけだろう。パティは熱烈な手紙をたくさんサイモンに送っていて、サイモンのカバンには、彼女からのファンレターが何通か入っているのだ。それに気付いたのはサイモンで、そうとは知らないパティは熱っぽくサイモンを語る。それをちょっと恥ずかしげ見つめるサイモン。

🎬『聖なる犯罪者』ヤン・コマサ監督/ポーランド、フランス
過去を偽り聖職者として生きる男の運命を描き、第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたポーランド発の人間ドラマ。少年院を出てすく一人行動には驚くが(日本なら誰か向かえに来るだろうに)紹介された木工所の荒々しい雰囲気に入る気になれずに躊躇している時に、教会の鐘がなり、その方に向かって歩いていくダニエル。

★彼の「偽」司祭への道のはじまりであるが、その素地は少年院での説教で培われているので意外とすんなり受け入れられる。主演ダニエルを演じたバルトシュ・ビィエレニアさんを調べたら、ポーランド初のネット作品『1983』に出ている。たくさんは出てこないが印象に残る役だった。

🎬『わたしの叔父さん』フラレ・ピーダセン監督、脚本/デンマーク
舞台はデンマーク・ユトランド半島の小規模な酪農農家。14歳の時に家族を亡くしたクリス(イェデ・スナゴー)は体の不自由な叔父(ペーダ・ハンセン・テューセン)に引き取られ、一緒に家畜の世話をして穏やかに暮らしている。二人はほとんど会話をしないが、手押し車にもたれて作業をする叔父さんの姿を常に目で追って、必要な時に手を貸しているクリス。  そんな彼女が27歳になったある日、村の教会で出会った青年マイク(トゥーエ・フリスク・ビーダセン)からデートの誘いを受ける。クリスは戸惑いながらもときめきを隠せなかった。 

★デンマークの農村地帯を自然光で撮影された映像美の中、寡黙な二人の佇まいが淡々と描かれている。だからといって「退屈」とは無縁な作品で、実の叔父、姪というキャスティングの妙が映画に深みを与えている。
第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最高賞にあたる東京グランプリを受賞した。

🎬『ミナリ』リー・アイザック・チョン監督、脚本/アメリカ/助演女優賞にユン・ヨジュンさん
アメリカに住む韓国人(推定170万人)の韓国食材野菜を育てようと家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ(スティーブン・ユァン)。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカ(ハン・イェリ)は不安になる。でも賢い長女アンと心臓の持病がある好奇心旺盛な弟デビッドは、ことのほかこの地が気に入って大はしゃぎ。初めからうまく行くはずもなく夫婦喧嘩が絶えないことから、妻の母親スンジャ(ユン・ヨジュン)を韓国から来てもらうことになった。妻の機嫌が少しは晴れるし、子らはずっとあっていないおばぁちゃんに会えると大喜び。農業の方は水との戦いで思いどおりにはいかず徐々に追い詰められていって……。

★1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国出身の移民一家がいろいろな出来事に翻弄されながらも健気に生きる姿を描いた家族映画。2020年・第36回サンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞
てっきり韓国映画と思っていたがアメリカ映画だった。最初のシーンがただっ広い野原に細長い大きな箱のような飾り気のない家で、妻は「これが私たちの家?」と、見ただけでがっくりさが伝わってきた。そこから始まる四苦八苦の田舎生活。おばあちゃんが来てくれなかったらどうなっていたか。
スンジャおばぁちゃんは山の中に流れる小さな清流に韓国から持ってきたミナリ(香味野菜のセリ)の種を蒔くのだ。セリはキムチに入れることが多く韓国食材野菜には欠かせないもの。この蒔くだけでどんどん成長する頼もしいセリが生活再生の糧になるとは❗️
posted by ミッキー at 08:11| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする