DVD『スマグラー おまえの未来を運べ』石井克人監督/2011年
1999年世紀末。25歳のフリーター砧涼介(妻夫木聡)は、工業地帯を走る無口なトラック運転手のジョー(永瀬正敏)と彼をサポートするお気楽ジジイの横に座って、ほんの一ヶ月前のことを思い出していた。
砧は松田優作にあこがれて、役者を目指して劇団に入っていたが、嫌気がさして退団。パチスロで自堕落な生活を送っていたが、中国人の張の儲け話に思わずのってしまう。だが、逆にだまされて300万円の借金を背負う。
背に腹は変えられず金貸しの紹介してくれたトラック助手(1日5万円)の仕事に就いたが……。これは約10年以上前に劇場で見たはずだが、初めて観る気分でDVDに釘付けになった。
スマグラーとは密輸入者、秘密の運送屋、厳しい制限を切り抜ける者。
この作品では大変なものを運ぶ秘密の運送屋。ちょっとしたミスが命取りになる危険な仕事。そんな仕事をするはめになった妻夫木聡。おどおど、なみだ目、唇ぶるぶる・・・妻夫木ファンにとって目をつむってしまうシーンの連続だ。
周りの登場人物もちょっと恐い!別の世界の生き物と言ってもいいくらい。日本裏組織に対抗する中国マフィアの2人、背骨(安藤政信/あっぱれ全編中国語/最強!ヌンチャクの使い手)と内臓(テイ龍進)の最強コンビの格闘シーンは凄い!の一言。
日本裏組織の田沼組組長(島田洋八/台詞のテンポがいい)その息子(高嶋政宏/異常性格者に目を見張った)、組長の女(満島ひかり/口はぶっきらぼうだが美しい)など書きつくせないほど見どころ満載。
死体だって、痛いのだって、平気の方に是非、是非DVDでもう一度観ていただきたい。
2021年02月16日
2021年02月09日
DVD『壁あつき部屋』『からみ合い』
クリストファー・プラマーさんが2月5日に91歳でおなくなりになった。
一番印象に残っているのは『手紙は憶えている』で、二番目は『ゲティ家の身代金』だ。
3月公開の『ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実』は2019年に80歳で亡くなられたピーター・フォンダの遺作だが、この作品にもプラマーさんが出ていらっしゃる。
★『ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実』は、ベトナム戦争で多くの兵士の命を救った実在の米空軍兵ウィリアム・H・ピッツェンバーガーの知られざる真実を描いた社会派ドラマ。
DVD『壁あつき部屋』小林正樹監督/1956年
巣鴨拘置所。そこには戦犯達が服役している。その一人である山下は、戦時中南方で上官浜田の命令で一人の原住民を殺したのだが、その浜田の密告で重労働終身刑の判決を受けた。また横田は戦時中米俘虜収容所の通訳だっただけで巣鴨に入れられた。
『私は貝になりたい』と同じ設定だ。印象に残った場面や台詞があった。山下の母が死んだ知らせで、時限をきめて出所を許された。そのとき同じ村の憎い上官・浜田を殺そうとまでおもっていたが、会ってみると殺す気は無くなってしまった。
彼も自分のやった罪におびえている一人の人間であることに気づいたのだろう。浜田が女2人だけの山下の家を邪険していた事で怒りがムラムラとこみあげてきたが、殺す気は失せていた。たった一人の妹は「これからどうする?」という山下の問いかけに「生きて行くわ」とポツリと答えた。この「生きていくわ」がずっしりと響いた。
DVD『からみ合い』小林正樹監督/1962年
大会社社長河原専造は癌になり、後三カ月しか生きられないことを知った。三億に及ぶ私有財産を、以前に関係あった女達の子供どもに分割しようと思い、妻里枝、秘書課長藤井、秘書やす子、顧問弁護士の吉田と、その部下の古川が専造の前に呼び集められた。
妻里枝に三分の一、残りの三分の二が行方不明の子供三人に渡されることになった。
秘書やす子は社長の病の世話で一日中付き添っていたが、暴風雨の晩、河原に挑まれて体の関係を持った。やす子には、体だけの関係の男があった。その男はやす子に子供ができたと知って逃げ出す。やす子はその子供を専造の子供にしたてようと考える……。
3億って今のお金にしたらどんだけだろう。やす子役は岸恵子。欲につられて肉体で誘惑をしたり、子供をでっち上げたりと大変な映画だった。どの俳優さんも安心してみていられた。特に宮口精二の語り口はも見事。
一番印象に残っているのは『手紙は憶えている』で、二番目は『ゲティ家の身代金』だ。
3月公開の『ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実』は2019年に80歳で亡くなられたピーター・フォンダの遺作だが、この作品にもプラマーさんが出ていらっしゃる。
★『ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実』は、ベトナム戦争で多くの兵士の命を救った実在の米空軍兵ウィリアム・H・ピッツェンバーガーの知られざる真実を描いた社会派ドラマ。
DVD『壁あつき部屋』小林正樹監督/1956年
巣鴨拘置所。そこには戦犯達が服役している。その一人である山下は、戦時中南方で上官浜田の命令で一人の原住民を殺したのだが、その浜田の密告で重労働終身刑の判決を受けた。また横田は戦時中米俘虜収容所の通訳だっただけで巣鴨に入れられた。
『私は貝になりたい』と同じ設定だ。印象に残った場面や台詞があった。山下の母が死んだ知らせで、時限をきめて出所を許された。そのとき同じ村の憎い上官・浜田を殺そうとまでおもっていたが、会ってみると殺す気は無くなってしまった。
彼も自分のやった罪におびえている一人の人間であることに気づいたのだろう。浜田が女2人だけの山下の家を邪険していた事で怒りがムラムラとこみあげてきたが、殺す気は失せていた。たった一人の妹は「これからどうする?」という山下の問いかけに「生きて行くわ」とポツリと答えた。この「生きていくわ」がずっしりと響いた。
DVD『からみ合い』小林正樹監督/1962年
大会社社長河原専造は癌になり、後三カ月しか生きられないことを知った。三億に及ぶ私有財産を、以前に関係あった女達の子供どもに分割しようと思い、妻里枝、秘書課長藤井、秘書やす子、顧問弁護士の吉田と、その部下の古川が専造の前に呼び集められた。
妻里枝に三分の一、残りの三分の二が行方不明の子供三人に渡されることになった。
秘書やす子は社長の病の世話で一日中付き添っていたが、暴風雨の晩、河原に挑まれて体の関係を持った。やす子には、体だけの関係の男があった。その男はやす子に子供ができたと知って逃げ出す。やす子はその子供を専造の子供にしたてようと考える……。
3億って今のお金にしたらどんだけだろう。やす子役は岸恵子。欲につられて肉体で誘惑をしたり、子供をでっち上げたりと大変な映画だった。どの俳優さんも安心してみていられた。特に宮口精二の語り口はも見事。
2020年12月28日
DVD『たそがれ酒場』
DVD『たそがれ酒場』内田吐夢監督/94分/1955年
舞台は庶民の集まるお店「たそがれ酒場」。専属のピアニスト江藤の伴奏で健一が歌っている。だがメインは営業時間の最終出し物・ストリップで、お店は常に大賑わい。そこに集まる人々の人生いろいろ……。
娘の知り合いの映画ファンからDVDを10枚ほどお借りした中に入っていたDVD。こんな面白い作品とは思わず適当にチョイスしたが、一気に見るのがもったいないぐらいドキドキして、止めながら少しづつ魅入った。こんな経験ははじめて。
驚いたのはクラシックの発声の男性歌手がシューベルトの「菩提樹」を2番まで全部歌っていた。もうこれで大満足。
画面は全てお店の中で、お客も多彩な顔ぶれだ。
軍隊経験者の加東大介と東野英治郎、知り合いの空いた椅子に寄ってきて飲み食いする男を多々良純、威勢の良いヤクザの丹波哲郎、歌手の野添ひとみの恋人の宇津井健。一番驚いたのは踊り子を演じた津島恵子さん❗️
このDVDはすぐ返さなくてもいいらしいのでもう一度、いや、二度、三度と見たい作品だ。お正月も退屈しないで過ごせそう。
舞台は庶民の集まるお店「たそがれ酒場」。専属のピアニスト江藤の伴奏で健一が歌っている。だがメインは営業時間の最終出し物・ストリップで、お店は常に大賑わい。そこに集まる人々の人生いろいろ……。
娘の知り合いの映画ファンからDVDを10枚ほどお借りした中に入っていたDVD。こんな面白い作品とは思わず適当にチョイスしたが、一気に見るのがもったいないぐらいドキドキして、止めながら少しづつ魅入った。こんな経験ははじめて。
驚いたのはクラシックの発声の男性歌手がシューベルトの「菩提樹」を2番まで全部歌っていた。もうこれで大満足。
画面は全てお店の中で、お客も多彩な顔ぶれだ。
軍隊経験者の加東大介と東野英治郎、知り合いの空いた椅子に寄ってきて飲み食いする男を多々良純、威勢の良いヤクザの丹波哲郎、歌手の野添ひとみの恋人の宇津井健。一番驚いたのは踊り子を演じた津島恵子さん❗️
このDVDはすぐ返さなくてもいいらしいのでもう一度、いや、二度、三度と見たい作品だ。お正月も退屈しないで過ごせそう。