2017年04月04日

感想をいただきました 『修羅雪姫』('01.佐藤信介監督作品) byねんねこ

ねんねこです。本当に続きました。

さて、『修羅雪姫』という映画は もう一本あります。

『修羅雪姫』('01.佐藤信介監督作品)

やはり小池一夫(一雄)・上村一夫両氏による同じ劇画を原作としています。
主演は、普段はフンニャカフンニャカしてるのに映画だと何故かピシッとした役(『スカイハイ』とか『ゴジラ×メカゴジラ』とか)が多い釈由美子さん。

ねんねこは公開当時に劇場で観てるんですが、この度 梶芽衣子さんの'73年旧作を観ても「あの映画('01)って こうゆう話だったっけ?」と思いましたし、そういえば2003年に『キル・ビル』を観たときも 佐藤監督版『修羅雪姫』のことは全く連想しませんでした。
なので今回観直してみました。

なるほど、母の仇を討つなど原作の断片は出てきますが、最初から仇討ちのために動いているわけではないし、暗殺集団の一員として活躍するアクションの数々がなによりの見せ場となっている映画なので、基が同じ話とはちょっと気がつきませんね。
でも この映画のDVDに収録されているオーディオコメンタリーによると、原作の小池氏は かなりアレンジされたこの作品も気に入ったそうです。

時代は近未来。そして舞台も日本ではないらしい ゙どこかの国″とのこと。
゙近未来″という映画がよく出てきますけど、それらはいったい何年くらい先のハナシなのでしょうね?
この『修羅雪姫』の公開からもう16年が経ってるけど、まだ来ないのかな…
これは日本じゃないから こうはならないのか…。

それは置いといて…
佐藤信介監督は、市川準監督や行定勲監督の許で脚本(助監督とかではないんだね!)を務め、監督として近年では『GANTZ』シリーズ、『図書館戦争』シリーズ、『アイアムアヒーロー』などを手掛け、来年には福士蒼汰くん主演の『BLEACH』実写化の公開も控えるなど多忙を極める売れっ子です。
さらに、アクション監督には『トリプルX:再起動』での活躍も記憶に新しいドニー・イェン氏。梶原善さんに似てるのにカッコイイよね! いえ 梶原善さんは善さんで素敵です…。面白いし… いやまぁそのぉ…
そして、特技監督は『シン・ゴジラ』の樋口真嗣氏です。ちなみに樋口氏は『キル・ビル』にもプロダクション・コーディネーターとして参加しています。
特技監督だけでなく(いわゆる総大将としての)監督業もこなす樋口氏ですが、゙ヒグチしんじ″表記名義で『ミニモニ。じゃムービー お菓子な大冒険!』('02年)なんて映画も作っています。これはなかなか楽しい映画でした。
昔からアイドル好きなねんねこですが、人気絶頂だった この頃のモー娘。メンバーには 実は(失礼ながら)全く興味なかったです。それなのに観に行ったのは、同時上映(こちらもモー娘。映画ですが、事実上の主演は 当時10歳前後の ゙ももち″でした。)が澤井信一郎監督作品だったからです。
一般認知度とは相反するようですけど、モー娘。は現在のメンバーの方が実力も魅力も格段に上だと思っています。ふくちゃんと まりあんらぶりんが特に好きです!

…なんのハナシでしたっけ?…

『修羅雪姫』でした!

映画では俳優を観るのも楽しみなねんねことしては、やはり出演者の顔ぶれについても語らねばなりません。
釈由美子さんは どうゆうわけか?現在とあんまり変わらないように思えますが、今より随分と線の細い伊藤英明さん、まだ少女のようなあどけなささえ残る真木よう子さん、「のような」どころか本当にまだ少年の塚本高史くん…。
剃刀のような鋭さも垣間見せる松重豊さんが、今では日ごと孤独にグルメしている人だなんて俄かには信じがたいです。もっと昔は地獄で警備員もしてたのに…
ほんの15、6年ほど前の映画でも 現在活躍中の俳優さんたちのこういった若き日の姿を見られるのは嬉しいものです。

ついでなんで『キル・ビル』の日本人キャストについて少し。
と言うのも、つい最近『キル・ビル』2作セットのDVDを安く手に入れたので、久しぶりに再見して ちょっと驚いたのです。
『キル・ビル』の日本人キャストといえば、まず GOGO夕張役の栗山千明さんが真っ先に浮かぶんでしょうが、ルーシー・リュー演ずるオーレン・イシイ配下の ゙クレイジー88″なる大軍団の中の6人が側近として行動を共にしていたのもご記憶でしょうか?「やっちまいな!」のシーンです。この面々に注目です。
この中のお一人(゙ミキ″と呼ばれる人)は島口哲朗という方で、この映画でも殺陣指導をしている むしろそちらのプロフェッショナルです。
紅一点は真瀬樹里さん。服部半蔵役で やはり出演しているSONNY千葉こと千葉真一さん(と野際陽子さん)の娘さんですね。
それから北村一輝さん、田中要次さん、山中聡さん。いずれも現在ほど知名度はなくとも、既に多くの映画やドラマで活躍してましたから、当時から知ってる人は知ってて観ていたでしょう。
そして最後の一人なんですが、これがなんと! 今や飛ぶ鳥を落とす勢い!鶏も揚がるほど熱く大ブレーク中の高橋一生さんだったんですね!
なにしろ子役から活動している高橋一生さんですから芸歴はかなり長いし、ねんねこも随分以前から知ってはいました。深夜枠の主演ドラマも観てました。映画『スウィングガールズ』('04)のわりと序盤のシーンなんて可笑しかったですよね。
でも『キル・ビル』のこの中にいたのは知りませんでした!
だって、みんな赤影さんのみたいな形の黒い仮面をつけてて顔わからないし、映画館で一回観ただけだから 全部アルファベットのエンドクレジットも読み切れないし。DVDで じっくり読めたからわかったことでした。
もうひとつエンドクレジットで見つけたこと。ザ・ブライドvsオーレン一家の決戦の場となる「青葉屋」のご主人だか番頭さんだか?に扮したのが俳優兼映画監督の佐藤佐吉さん。その彼はクレイジー88たちに「チャーリー・ブラウンに似てる」と言われるんだけど、クレジットで役名見たら そっちもチャーリー・ブラウンだったんで笑ってしまいました。

結局またハナシがあちこち跳びましたけど、こんな発見もあるので 皆さんも昔観た映画を名画座やDVDで観直してみてください。
きっと楽しいよ!

ではまた次回。 (話題は変わると思います…)

posted by ミッキー at 17:05| Comment(0) | 感想をいただきました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月01日

感想をいただきました『修羅雪姫 怨み恋歌』by ねんねこ

こんにちは、ねんねこです。

皆さん既に御存知のように、ミッキーさんはシドニーに行ってます。
「娘さん夫婦と過ごすため」とか「花粉症回避」などと言ってましたが、「本当はコアラを抱きたくて行ったにちがいない!」と、小動物好きのねんねこは見抜いています。

そんなわけで「(コアラと戯れるのに忙しいから)私の在豪中に幾つか書きな」と、ドーナツで買収されたので、しばらく度々おジャマさせていただきます。

🎬『修羅雪姫 怨み恋歌』('74.藤田敏八監督作品)

先月ミッキーさんが岐阜で観てきた『修羅雪姫』('73)を ねんねこも観ました。
すっかり忘れていましたが、タランティーノの『キル・ビル』はこの映画が基になってたんでしたね。

この『修羅雪姫』には続編があって、DVDがレンタルされていたので こちらも観ることができました。
後から思いついて作ったような無理矢理な続編映画も少なくないですが、まず今作は無理なくちゃんと前作の続きとして成立しています。そもそも原作劇画にも描かれている話なんでしょうが、原作本が見つからなくて確かめられませんでした。ごめんなさい。

ねんねこは原則としてストーリーについては書きません。知りたいならば今やネットでいくらでも調べられますし、なにより何も知らずに観た方が映画は面白いに決まってますから。

ということで、ねんねこのオススメポイントは、なんといっても役者が魅力的なこと!
岸田森さん、南原宏治さんは その怪優ぶりを遺憾無く発揮しています。
なのに岸田森さんがピースの又吉君をちょっと連想させてしまったのはその髪型のせいでしょうか? 観てみてください。

髪型で思い出しましたが、第一作での 主人公・雪の少女時代、樽に入って坂を転がされるという『柔道一直線』の地獄車の特訓みたいな無茶な修業が出てくるんですが、その少女時代を演じていた子のポニーテール(といえるのかな?)だけが 転がる樽から出ていてクルクル回るので、苛酷なシーンなのに なんだか可愛くて微笑ましく思えてしまいました。

第一作も勿論レンタルDVDがあるので、やはりこちらから先に観てください。
雪はいつも番傘を持っているので、DVDの盤面は両作とも番傘の柄になっていますよ。

ナレーションは鈴木瑞穂さんです。1980年代に映画を観始めたねんねこにとって、俳優によるナレーションといえば内藤武敏さんか鈴木瑞穂さんなのです。
第一作のナレーションも鈴木瑞穂さんの声だと思ったんですが、こちらは何故かクレジットが無かったんですよね…??

役者の話に戻ります。
最も重要な役どころとして登場するのが原田芳雄さんと伊丹十三さんですが、この二人の顔合わせでねんねこが思い出すのは『夕暮まで』('80.黒木和雄監督)という映画。主演の桃井かおりさんと伊丹さんがいろんなお店を食べ歩くのが印象に残る映画でしたが、ある店のお座敷のシーンで、入ってきた店員さん(店主かな?)に観客からどよめきと笑いが…。それが原田芳雄さんだったんですが、この年から映画を観始めたばかりのねんねこは原田芳雄という大物映画俳優をまだ知らず、どうして皆がウケているのかわからなかった(゚ω゚?)なんて思い出があります。ちなみに原田芳雄さんは この黒木監督作品の常連です。だからワンポイント出演してたんですね。

伊丹十三さんは藤田監督の『妹』('74)にも出演している一方、俳優として映画出演もけっこう多い藤田敏八監督はお返しに(?)伊丹十三監督の『タンポポ』('85)に出ているんですよ。

『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』('70)以降、数多くの藤田作品に参加している原田芳雄さんに至っては、藤田監督とは盟友と言ってよい間柄でしょう。
そして、この二人のW主演となる作品が、先日ついに他界されてしまった鈴木清順監督による '80年代屈指の名作と言われる『ツィゴイネルワイゼン』('80)でした。
尚、この『ツィゴイネルワイゼン』は 4月29日〜5月5日、岐阜市のロイヤル劇場で上映されます。500円です。是非お出かけください。ロイヤル劇場の回し者ではありません。

『怨み恋歌』について書いてるはずが、俳優さんについての思い出話ばかりになってしまいましたが、ひとつの映画から こうして芋づる式に いろいろな映画が思い出されるのも、長く映画を観続けてきた者の特権といえる楽しみ方かも知れません。あぁ懐かしい…
どうか 御容赦くだされ。

次回に続く… (続くって?)
posted by ミッキー at 00:51| Comment(0) | 感想をいただきました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月25日

『金メダル男』 感想をいただきました。byねんねこ

皆さんこんにちは!思いのほか早い再登板でした。しかも今回は志願の登板なのです!あ、猫ピッチャーではありません。ねんねこです。よろしくお願いします。

🎬『金メダル男』内村光良監督/108分

個人的には前2作にあまり感心できなかった内村光良監督の新作ということで試写も気乗りしなかったのですが、せっかく観る機会を与えていただいているのですから拝見した次第で…

この映画は、゙名作″゙傑作″と言われるようなものではないかもしれません。年の瀬あたりから続々と発表される各映画賞や老舗映画誌のベストテンとかに名を連ねることもまずないでしょう。
でも、観逃してしまうにはあまりにも惜しい、実に ゙愛すべき人間讃歌″だと思うのです。

プレス資料の表紙に『THE HISTORY OF SENICHI AKITA / SINCE 1964』とあるように、この物語は 1964年生まれの ゙秋田泉一″という男のクロニクルです。その誕生から中年となった現在に至るまでを、『こんにちは赤ちゃん』『勝手にしやがれ』『大都会』『夢の途中(セーラー服と機関銃)』『Runner』『恋するフォーチュンクッキー』etc.…といったその時代々々のヒット曲、『欽ちゃんの仮装大賞』や『アメリカ横断ウルトラクイズ』『電波少年』など往年の人気番組、さらには『竹の子族』『サラダ記念日』、そして私ねんねこも その真っ只中を走り抜けた『80年代小劇場演劇ブーム』…などの社会現象を巧みに、或いは実にくだらなく織り込んだ脚本で大いに笑わせ、泣かせ、楽しませます。

あらゆる分野で金メダルを目指す!という やや特殊な男の物語のようではあるけれど、この主人公ほど派手で波瀾万丈ではないにせよ、゙小さな栄光″と ゙大きな挫折″の繰り返しの日々って、ある程度の年齢の人ならば おそらく誰もが通ってきた道のはず。みんなそういった成功と失敗の積み重ねをしながら生きてきたと思うから、きっと共感するところも多いだろうし、時に痛みさえ覚えさせられることでしょう。この甘さと苦味のブレンドこそが得も言われぬ味わいで、殊に主人公と 同世代の者にとっては、堪えられない懐かしき少年期〜青年期の記憶旅行にもなるでしょう。

さて 公開中の『怒り』が主演級俳優の豪華競演で話題を呼んだけれど、こちらも負けてはいない!?贅沢な顔ぶれ。そして、その豪華俳優陣のほとんどワンポイントの壮大なる無駄遣い!(←これ褒め言葉です。)そもそもこの映画はウッチャンの一人舞台が原案とのこと。これをいったいどうやって一人で演ったんだろう!?とも思いますが、それを映画化したおかげのもったいない?豪華キャスト。

この映画をこれから劇場でご覧になろうという方々!どうか観賞前にポスターやパンフレットなどをあまりよく見ないで、誰が出ているか知らずに映画に向き合うことをオススメします。その方がより楽しめます!

と言っときながら、ちゃんとした ゙見せ場″のある方を少しだけご紹介させてください。
清楚かつ知的で、美しい!天使のような!!神々しい!!! 学園のマドンナを演じさせたら今や右に出る者はいない土屋太鳳さん。あぁこんな娘に「センパイっ!」って呼ばれてみたい………
………
あ スミマセン!妄想に浸ってしまいました。鈴木先生かい!でもこないだ『世界一受けたい授業』で「妄想には疲れを取る効果がある」って言ってましたし… 瞑想だったかな…?

おっと ハナシが迷走してしまいました。その太鳳さんと 若き日の泉一を演じる知念侑李くんの 馬鹿馬鹿しくも大真面目な創作ダンスが出てくるんだけど、なんせジャニーズ ゙Hey!Say!JUMP″の自称ダンス王(?)の知念くん、片や日本女子体育大学の現役学生である土屋太鳳さんです。見事な舞いを披露し、魅せるのです。このシーンは必見です!

もうひとり、兄弟揃って ゙怪優″ぶりを発揮し続ける(←褒め言葉だよ)高嶋政宏さん。
ねんねこは十数年前、彼がルイジ・ルキーニを演じたミュージカル『エリザベート』を観ていますが、その歌声を披露してくれるワンシーンも我がお気に入り。
もちろん、全編を通しての主要な役で出演されている方々には、もっともっと見せ場がありますからお楽しみに。

笑いの伏線もなかなか周到で「そこはさすがに芸人の才覚だな」などと思いつつ面白く観ているうち アッという間に過ぎた五十余年。まるでおもちゃ箱のような映画だと思っていたら、それで終わりません。
主人公秋田泉一が映画の最後に得た金メダルとは何か?
これで、少なくとも ねんねこにとっては、この映画 ゙おもちゃ箱″から ゙宝石箱″になりました。

どうか「本業監督でもない芸人が撮った映画なんて!」と見下してスルーしないで、ただ笑うだけのつもりでいいですから観にいってみてください。

ありがとうございました。それではまた…
- 了 -
posted by ミッキー at 18:50| Comment(0) | 感想をいただきました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする