2017年10月23日

感想をいただきました 『恋の嘘』 by ねんねこ

『恋と嘘』 by ねんねこ

ごく近い未来(映画の設定は2037年)のおはなし。日本では「超・少子化対策法案」なるものが施行され、国民の遺伝子情報を分析し、国が ゙最良の″結婚相手を決める政策がとられていた。
主人公・仁坂葵(森川葵)も、王子様との出逢いを夢見るようにその「政府公認夫婦斡旋通知」を待ちわびているのだが、そんな葵にはいつも彼女を見守ってくれて、なんでも話せる心優しい司馬優翔(北村匠海)という幼なじみがいた。
そして満16歳の誕生日を迎えた瞬間、葵の前に政府通知の ゙パートナー″高千穂蒼佑(佐藤寛太)が現れたのだった。

…と、物語の導入部のみを簡単に御紹介したわけですが、皆さんはどう思われましたでしょうか?

ねんねこの場合は…
@ このところ数えきれないほど量産されている ゙胸キュンラブストーリー″も、とうとうここまで無理矢理な力業の設定を持ち込んできたか〜!!
A 現在の日本の非婚・少子化問題と その要因(将来の生活費の不安など)を鑑みると、まんざら考えられない ゙政策″でもないな…
…と、両方とも正直な感想。

因みに、劇中でも説明されるように、この政府通知はあくまでも推奨であって必ずしも従う義務はなく、従来通り好いたモン同士結婚したいならそれはそれで自由。罰則規定もありません。
「通知に従ってその相手と結婚する者は他の相手との恋愛は禁止」となりますが、だからチラシのコピーの中に「恋愛禁止の世界」ってあるのは厳密にはちょっと違いますね。
ただし、政府公認夫婦は様々な行政サービスを受けられ不安のない生活が保証される一方、自由恋愛で結婚する夫婦には一切の援助がないため、相当な覚悟がいるようです。このあたりの設定が実にリアルだと思います。今の愚かな政権だとそのうち本当にやりそうですな。
でもこの制度、この物語の世界では大多数が好意的に受け入れています。葵の両親(遠藤章造、三浦理恵子)も政府公認夫婦。葵の叔父さん(徳井義実)だけは何かありそうです…
こんな制度、自分は断固反対だし、現実世界ではおそらく皆さん抵抗あるだろうと思ったのですが、意外にも!?
この映画の舞台挨拶に登壇した主演の三人、理由はそれぞれ若干異なるものの、いずれも制度には賛成とのこと!!
まぁ 当の映画の企画だからこそのサービストークってこともあるだろうから額面通りに受け取るのもナンだけど、「う〜ん若いのに!いや若いからこそなのか?」それほど今の若い世代は現実の厳しさに曝されているのだろうか?あるいは自由恋愛は認められない強制制度だったらどう思うのかな…

そういえば、ハナシちょっと飛びますが、ミッキーさんも先日(10/16付)書いてらした『セブン・シスターズ』って、これと正反対の状況から発した ゙政策″の許での物語ですね。あちらは増えすぎた人口問題解決のためと称する対策およびその政権と対決する物語。

だからってわけでもないけど、この『恋と嘘』も最終的には「愛は勝つ♪」とかなんとか歌い上げながら、そのオカシな政策に対して人々が何らかのアクション(抵抗)を起こすものと思って観ていたのだけど、こちらは最後まで ゙青春胸キュン″が支柱の物語でした。゙制度″は、その胸キュンストーリーの ゙舞台″に過ぎず、彼女らがその舞台から降りた後も、人々は変わらずその制度の許で生きていくということのようです。そして、それはそれで別にかまわないのでしょう。そうゆう物語なのだから。葵を巡る優翔と蒼佑の間に、友情と言って良いであろう思いが芽生える(BLではないよ!)ってのも嫌いではないし。

にしても、ちょっと引っ掛かっちゃうのは、主人公・葵の心のありよう。
蒼佑の登場後に二人の男性の間で揺れるのはわかる。わかるし、それこそ胸キュンストーリーの王道でしょう。
けど、その以前から政府通知の結婚相手が「なんとなく気にはなる」とかではなく、「心待ちにしている」というのはどういう心情なんだろう?特に意識している異性がいないんじゃなくて、優翔という ゙明らかにずっと好きな人″がいながらだよ?その心の内と無神経さだけはどうしても理解できませんでした。

もう一点、これは「物語上の通知の設定」についての些細な疑問なんですが… ゙16歳の誕生日に届く政府通知″ってことだけど、同じ生年月日の相手と組まれるわけではないのだから、どちらか一方には何日も、年齢差によっては何年も前に!通知が届いてるはず。そうなると、パートナーを先に知った方は会ってみたくなるってぇのが人情ってもんだと思うんだけど、そういった行為はやっぱり禁止されてるんだろうか?だってそこでもう会っちゃったら片方の通知の意味ないもんねぇ…?
映画ではその辺りのことは語られていないけど、葵の前に蒼佑が現れたタイミングとかから考えると、まぁそぉゆうことなんでしょうね…
原作マンガでは詳しく説明されているのかもしれませんが、ねんねこはマンガをほとんど読まないのでどうなのか知りません。
※ 注:全く読まないわけではありません。稀にハマったとなるとそれはそれはもう徹底的で全巻揃えます。今年その ゙稀に″が一作ありましたが、それはまた別の話。

あっ!言い忘れてましたが、この映画『恋と嘘』は、原作マンガの『恋と嘘』とは設定の異なるアナザーストーリーです。原作は ゙ネジくん″という男子高校生が主人公の物語らしいです。
それを女の子が主人公の物語として映画化したわけですが、その主人公を演じた森川葵さんという人は、なんとも不思議なタイプの女優さんだと思います。
ねんねこが最初に彼女を覚えたのは、門脇麦さんとW主演だった『スクールガール・コンプレックス〜放送部篇〜』('13)という映画で。以降『チョコリエッタ』『金メダル男』『花戦さ』などなど…主演・助演と実に多くの映画で目にしているのですが、観る度に違う人のようだし、中にはそれが森川葵さんだと気づかないことさえあるんです。顔はちゃんと知っているはずなのに、こんなことってあるんでしょうか?あるんですねぇ…
この『恋と嘘』を観てもわかるように、ぱっと見は普通のカワイ子ちゃんにしか見えないのに、カメレオン俳優って部類の人なんですかね?
今のところ ねんねこ一番の「お気に入り森川」は、三上博史さん主演のTVドラマ『遺産相続弁護士 柿崎真一』での小悪魔的な役柄。とっても魅力的でしたし、尚且つこの映画の ゙仁坂葵″役と同じ子だとはやはり思えないのでした。
今後の化け方が楽しみであり、そして将又ねんねこはそれが彼女だと気付けるんでしょうか!?

− 了 −
posted by ミッキー at 08:24| Comment(0) | 感想をいただきました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月25日

感想をいただきました。『ユリゴコロ』by ねんねこ

山あいでペンションカフェを営む亮介(松坂桃李)は、同じカフェで働く千絵(清野菜名)と結婚間近。幸福で夢いっぱいの毎日を過ごしていたのですが、ある日千絵が忽然と姿を消してしまいます。さらに、二人の結婚を快く祝福してくれた亮介の父親も実は余命僅かと診断されていることを知ります。
順風な生活が突然崩れ去る中、亮介は実家の父親の書斎の押し入れで『ユリゴコロ』と題されたノートを見つけます。「私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか」と始まる長い長い手記は、美紗子という女性(吉高由里子)が書いたもののよう。「果たしてこれは、創作物語なのか?それとも本当の殺人鬼による告白文なのか?」父の不在時に書斎を訪れる度、この手記を読み耽り、次第に惹かれていく亮介。
そんな日々の中、細谷と名乗る女性(木村多江)が失踪中の千絵からの伝言を伝えるべく、亮介の前に現れたのでした…。


タイトルの『ユリゴコロ』は、主演がヨシタカさん家のユリコさんだから…では勿論ありませんが、実際にある言葉でもないようですね。そこは映画の中でも説明されます。
原作は2011年に刊行され、翌12年には大藪春彦賞を受賞し、本屋大賞にもノミネートされた、沼田まほかるさんによるベストセラー。
ただし映画化にあたっては原作者の許可を得て、登場人物からラストまでかなりアレンジされている…らしいです。
これ書く前に読みくらべてみようと思ったんですが、図書館の蔵書は貸出中かつ予約待ち数人の状態で間に合いませんでした。申し訳ないです!
買えばいい?そりゃ買えりゃぁいいんですけどねぇ… まぁ忖度してください。
なので原作については何も言えませんから、あくまでも映画作品についてのみの感想です。

昔からミステリー好きで、本もあんまり買えないわりにはそこそこ読んでますし、その手の映画やドラマも沢山観てきました。だからでしょうか? 自分でも「嫌な習性だなぁ」と思ってますけど、読むときも観るときも ゙常にすべてを疑う″ようになってしまっていて、伏線もほぼ見破ってしまうし、最近はなかなか騙されないんですよねぇ…。本当は昔みたいに ゙騙される気持ちよさ″をもっと味わいたいのに。
こうゆうのって私に限ったことではないんじゃないでしょうか?私よりもっと読んでる人、観てる人はきっとそうなんじゃないかと思うのだけど。

それはともかく…そういった類いの観賞者からするとこの映画、ミステリーとしては見破れないってほどのものではありません。勘のいい人なら早々にいろんな仕掛けに気づくでしょう。むしろ自分なんかは深読みし過ぎてちょっと肩透かし喰らってしまったくらいでした。
ネタバレ絶対反対派なので、当然何も明かしませんが、゙あえて見せていないもの″に注意してみると面白いと思いますよ。

さて、前述のようにミステリーとしての難易度はさほど高いとは思いませんでしたが、そのことがこの映画の価値を下げてはいません。この物語の要はノートに記された手記の中の出来事と、亮介らが暮らしている今現在双方に於いて、人と人との関わりとそこにようやく見出だされる愛の切なさと美しさを描くことにあったと思いましたし、その点ではちゃんと成功していると思えたからです。そして、その愛こそが ゙ユリゴコロ″なのではないでしょうか。

来月末には、同じ原作者による『彼女がその名を知らない鳥たち』が劇場公開されます。そちらも既に拝見させていただきましたが、やはり ゙愛″というテーマで通じるものがあります。
原作者の沼田まほかるさんは、なにやらケッコウ波瀾万丈な生き方をされてきた方のようで、僧侶の経験もあった(今もそうなのかな?)とか。そういった方のやや特異な(?)人生観を下敷きに作家となった書き手ですから、一見おどろおどろしいばかりの物語の根底には必ず愛が流れているのかも知れません。そう、ミステリー作家沼田まほかるは実は純愛小説の作家なのです!(たぶん…)


何十年も前に「読んでから見るか、見てから読むか」って宣伝コピーがあったけど、この『ユリゴコロ』などは先に述べました通り原作と映画は大きく異なるようなのでまさにピッタリ!既に読まれた方もきっとあらためて楽しめると思いますし、まだの人は映画を観てから原作を読んでみるのも良いでしょうね。
私ねんねこも近いうちにやはり読んでみようと思います。図書館に本が戻ってきてからになりますけど。

− 了 −
posted by ミッキー at 01:13| Comment(0) | 感想をいただきました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月22日

感想をいただきました。『アリーキャット』by大阪・香

こんにちは、昨日ようやくミッキーさん熱烈推薦(!)の『アリーキャット』を観に行きました。ちょっと長いですが、感想をお伝えしておきます。

2時間近い映画なのに退屈しない作りの、和製ロードムービーという印象でした。タイトルの『アリーキャット』は「野良猫」という意味らしく、若手の個性派俳優である窪塚洋介とDragon Ashの降谷建志演じる主人公の二人の男性にも重ねられています。

映画の最初と最後に一匹の野良猫が隠し味で出てくるのも味噌で、猫好きにはたまらないでしょう(野良猫の割に、可愛がられているからなのか毛並みもよく、汚れが全くないのに違和感がありましたが・・・)。

政治家や経営コンサルタントという、いわゆる「勝ち組」で、上等な背広に身を包んではいるけれども、その実、中身はたんなる悪徳で変態の固まりでしかない男たちに対して、アルバイトの警備員や自動車の整備工、デリヘルという肉体労働に従事する主人公たちが挑むという内容が、さもありなんというリアリティを感じました。

最近、若手政治家のしょうもないスキャンダルが世を賑わしています。本当に政治家って暇だし、あの程度の中身でなれるような職業なんだなと呆れる毎日だった(なけなしの収入から天引きされる税金の一部が、この政治家たちの収入源になっているかと思うと怒り心頭!)ので、光のあまり当たらない場所ではあるけど一生懸命に生きている主人公たちの方が、人間的には何十倍も上等だと思います。

そう思わせるような俳優がたくさん出ているのも見所です。栄養不良だけれど底知れないパワーを秘めた野良猫にも似た窪塚洋介、愛すべき不良少年風の降谷建志、この二人を殴る、蹴るなどしながらも、男のほのかな愛情を漂わせる火野正平。

また、悪役たちの顔も怖くて、「憎らしい!」と心底思えます(笑)。変態政治家を演じる高川裕也、悪徳自称「経営コンサルタント」を演じる三浦誠己、政治家を守る冷血なSPを演じる森岡豊、その相棒を演じる馬場良馬など、かっこいい悪役たちも光っていました。

一方で、複雑な過去を持つシングルマザー演じる市川由衣、明るいデリヘル嬢を演じる柳英里沙は、強さよりも弱さ、頭脳よりもセックスが目立つ役どころで、女性イメージが限定され過ぎていて、同性としてはシンパシーを抱きにくかったというのが偽らざる本音です。男のほうが光る映画というか、男性観客のニーズを強く意識して作られた映画なのでしょう。

「辛気くさい話をすんなよ!映画なんだから、面白ければいいじゃん」と言われそうですが、男だけでなく女もお金を出して、時間を捻出して観に行くのが映画です。野良猫の生活のリアリティや女たちの多様性をちらっとでも伝えるような、細部にこだわった映画作りをして欲しいと常々思っています。こだわりのある映画であれば、映画館にわざわざ足を運んでまで支えていきたいですから。


☆コミケで何年ぶりかでお会いした猫好きの香さんに『アリーキャット』をオススメしましたら京都みなみ会館まで行って観てくださいました。ありがとうございました。最後の一文、共感しました ❗️また感想をお待ちしております。

posted by ミッキー at 12:10| Comment(0) | 感想をいただきました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする