2021年09月05日

あいち国際女性映画祭2021(4)受賞結果と受賞作品

フィルム・コンペティションの受賞結果は以下のとおりです。

■グランプリ
【アニメーション部門】グランプリ❗️
「O-BON, Anecdotes from Kyoto」(スイス) 監督:ジェナイ・フォーゲル

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真夏の京都でお盆が近付いてきた。誰もがお盆の行事を心待ちにしている。

そんな中で、ホームレスの男は汗臭い臭いとその臭いによってきたハエや虫たちが男の周りをブンブン飛んでいて、これからおしゃれして祭りに行こうとしているご婦人方に遠ざけられていた。彼の願いは銭湯に入ることだった。

単純な線と温かな色合いで書かれたアニメ。風呂屋に出入りするキャラクターの様子が、はんなりとした京都弁にマッチして描かれていた。

おばあちゃん達の垂れたお乳やおじいさんのフグリも大らかに描かれていて面白かった。もちろん、ホームレスの男は願いが叶った。

【実写部門】グランプリ❗️
「Interpreting Hyun-ju」(韓国) 監督:カン・ジヒョ

小学校の先生をしているソンヨンは、いつもひとりぼっちのヒョンジュを気にかけていた。ソンヨンはそんなヒョンジュと話そうと授業後に居残りさせて仲良くおしゃべりしていたが、慣れてきて家庭環境を聞いたところ母親は酒浸り、父は暴力を振るうらしく、家庭訪問したらまるで想像した母親と違っていた。

教師の気を引く為に嘘だったのかと思い知らされるが……。

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真実とはなんと見えにくいものか、観ている自分も先生と同じようなジャッジをしていた。力にある監督さん。次は長編を!



■観客賞
【アニメーション部門】
「Where Were You?」(スペイン) 監督:マリア・トレノール

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夫が妻に対して振るう日常的な暴力を三つ国の言語で語られる。独特な色使いが素敵だったが、こんなにはっきりと話すことができる女性で、体力もありそうな女性像だったので、意外だった。

【実写部門】
「ふたり〜あなたという光〜」(日本) 監督:佐藤陽子

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障がい者の妹がいる姉のぞみは、 恋人に妹の存在を話していない。彼にプロポーズされたことをキッカケに妹の存在を打ち明けたところ……。

ご本人同士はよくても彼の両親が、というどこにでもあるような話。しかし妹からの視点も大切にしていたので好感が持てた。
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2021年09月04日

あいち国際女性映画祭2021(3)『モルダオガの森』『ビクティム(たち)』

🎬『モルダオガの森』カオ・ジンリン監督、脚本/中国/120分

モルダオガの原生林の森で捨てられていたリンズー(ワン・チュエンジュン)はエヴェンギ族の夫婦に拾われ、長男トゥートゥー(シー・リージェン)の弟として豊かな森の中で育てられた。しかし、熊に襲われそうになったリンズーを助けるために母親は死んでしまった。

それをきっかけにして森を離れて町で住むようになった。成長した兄弟は森の木々の伐採する職についた。兄は町の生活を好み、弟リンズーは木の匂いのしないところには住めない男になっていた。

ある日、エヴェンギ族の女チュン(チー・シー)が現れたことで、兄弟の仲が崩れてくる。

エヴェンギ族の作品は、中国インディペンデント映画祭や山形ドキュメンタリー映画祭で上映された『オルグヤ、オルグヤ…』『雨果の休暇』『最後のハンダカン』がある。森の中で生活を侘しいと感じるか、心から安らげる土地と思うかで人生の方向が違ってくる。

兄は自然を無視して金のために木々を伐採し、弟は森の木々を守る「母木」を切っては災いが起こると猛反対する。

作品は後半の流れがわかりにくなったが、兄弟を演じた2人が「青年から大人」になるまでを自然なメイキャップで納得する面立ちで演じていたのが印象に残った。

🎬『ビクティム(たち)』レイラ・ジューチン・ジー監督/マレーシア/108分

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マレーシアの首都・クアラルンプールで男子高校生3人が襲撃される事件が起きた。1人は死亡、2人は重傷を負った。この凄惨な事件は世間から注目され加害者と母親は激しい避難をあびる。死亡した方の家族は同情を集めたが……。

加害者生徒はひ弱な優等生で家庭は金持ち。一方の殺された男子はイケメン不良で貧しく、日常的にカツアゲやイジメをしていた。

生徒たちはマスコミからのインタビューに「何を考えているかわからない男子だった」と言い、亡くなった生徒を「明るくて人気者だった」と口裏をあわせていた。

マレーシアじゃなくても起こりえる話だが、イジメシーンや暴力シーンが「丁寧」に撮られていたので、疲れたし落ち込んでしまった。





posted by ミッキー at 20:22| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月03日

あいち国際女性映画祭2021(2)『休暇』

🎬『休暇』イ・ランヒ監督、脚本/韓国/81分

ソウルにある家具会社ソニンに勤めていた49歳のジェボク(イ・ボンハ)は5年前に解雇され、それからずっと仲間数人と共にソウルの街頭で小屋がけして「一方的な解雇通知」に対して抗議活動をしていた。しかし裁判に負けてしまう。まだ闘争を続けることを仲間内で決めるが、ここで1週間ほど「休暇」を取り、二人の娘の住むアパートに帰ることにした。

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闘争中とはいえマンネリ化していてビラ配りや短い演説をするぐらいで地味な活動で、男たちもしがないおっさん風だ。でも娘たちが住みアパートに帰ると汚くなった台所、風呂場、換気扇など丁寧に掃除している。食事も用意するがうるさい父親が帰ってきてうんざりしている娘たち。

大学の推薦が通ったから手付け金代を振り込んでと言われ、友人の経営する家具屋に1週間だけバイトに行く。工房の掃除も仕事も丁寧でずっと勤めてくれと頼まれても、娘たちからもう裁判は止めてこっちでちゃんと働いてと頼まれても、1週間後には仲間のために料理を詰めてソウルの小屋がけしている闘争現場に行く男。

そこで映画は終わっていた。何の先行きの変化もなく終わった。この終わり方が気に入った。ここで終わると決めた監督さんの勇気ある判断で、男の覚悟がわかった。これがミッキーの見た中で(まだ二つみていないが)一番の作品と思う。
posted by ミッキー at 18:04| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする