2017年05月18日

映画で旅するEUフィルムデーズ2017のお知らせ

今年で15回目のEU加盟国の作品(日本未公開など)がたくさん観られるこの映画祭を、ミッキーは毎年楽しみにしている。今年は京都でも開催されるので名古屋に住むミッキーはどちらに行こうか迷い中。

上映する映画で既に観ている作品をご紹介したい。チケットもお安いので(500円以下)もう一度観たい作品がチョイスできるのも嬉しい。

ただ、東京も京都も、1分でも時間に遅れたら入れないという決まりがあるので上映時間にはお早めに。 http://eufilmdays.jp/ja/

◆『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)』コーネル・ムンドルッツォ監督・脚本/ハンガリー、ドイツ、スウェーデン/119分

雑種犬に税を課すとある街。13歳のリリ(ジョーフィア・プショッタ)は母と二人で暮らしていたが、母の海外の仕事のために離婚している父親ダニエル(シャーンドル・ジョーテール)の家へ行くことに決まった。だが、リリが可愛がっている雑種犬ハーゲンも一緒とわかると、途端に父親は不機嫌になった。

父親のアパートでも、すぐ住民に通報され「飼うなら税金を払え」と警察がやってきた。父親は頑として税金は払わないと言い張り、警官を追っ払ってしまう。仕方なくリリは学校のオーケストラの練習場に連れていく。

少女と犬の狂詩曲という題だが、こんな激しい作品とは思ってもみなかった。雑種犬は犬のうちに入らない「差別」が、この国ではまかり通っている。少女とはなればなれになったハーゲンのやさぐれ人生が痛ましい。

この「犬」を「移民」とか「貧乏人」に変えて考えてみたらぴったり合う。犬の話にしているが、これは差別される人間そのものの作品と強く感じた。

☆101匹ワンちゃんどころではない犬の大団体。300匹以上はいるはず。この作品は少女の健気さと犬たちの団体行動にかかっている。動物コーディネーターのテルサ・アン・ミラーさんの力量が伺えた。

◆『リリーのすべて』トム・フーパー監督/イギリス、ドイツ、アメリカ/120分

1930年。デンマークに住む風景画家アイナー・ヴェイナー(エディ・レッドメイン)は、ある日、肖像画家である妻のゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)から、気軽に頼まれて「女性モデル」の代役をすることになった。

この時、アイナーは内面からあぶり出るように「女性」を感じ、心と身体との不一致に苦悩を深めていった。妻のゲルダもアイナーの変化に気付き、以前の夫でなくなっていくことに困惑する。しかし、リリー(アイナーが女性に目覚めたころからの名前)が本来の姿であると理解していく。

1930年代に世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人「リリー・エルベ」の実話を描く夫婦愛のドラマ。変化していく夫に不変の愛で生涯を全うする妻を演じたアリシア・ヴィキャンデルは、第88回アカデミー賞・助演女優賞に輝いた。これは夫の人生を「助」するゲルダに最も相応しい賞だ。

アリシア・ヴィキャンデルさんは第88回アカデミー賞・視覚効果賞を受賞したアレックス・ガーランド監督の『エクス・マキナ』にも出ている。

◆『マリー・クロヤー 愛と芸術に生きて』ビレ・アウグスト監督/デンマーク、スウェーデン/102分

新進画家のマリーはスケーエン画家で高名なペーダー・セヴェリン・クロヤーと結婚。年齢差は15歳だった。かわいい女の子にも恵まれ、周りから羨望と尊敬を集めていたが、時がたつにつれて夫が精神を病んでいく。

彼女は過酷な生活の中で「自分らしく生きたい」と望み、新しい選択をするが…。

夫が精神を病んだ原因は、若くて美しい奥様と結婚したのもなきにしもあらずだ。映画は芸術より愛憎に重きをおいて描かれているが、当時に於いてはマリーの取った行動に批判が集中したことは当然だと感じた。

最初と最後に同じシーンが流れるが、それが暗示していることが印象的だった。
posted by ミッキー at 04:04| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月10日

名古屋「花開くコリア・アニメーション2017+アジア」のお知らせ

お待たせいたしました。“花コリ”の愛称でご愛顧いただいております「花開くコリア・アニメーション」です。

今年はアジア短編プログラムを追加し、新たに「花開くコリア・アニメーション2017+アジア」の名称にて、6/10(土)・11(日)両日、愛知芸術文化センターにて開催の運びとなりました。 

日本開催10回目(名古屋会場は8回目)にあたる本年も、韓国唯一のインディーズ・アニメーション映画祭「インディ・アニフェスト」最新上映作から、「宇宙の記憶」「宇宙の形」「宇宙の旅」の3つのテーマで、韓国の“今”をビビッドに体感できる短編26本をお届けします。

更に、昨年からインディ・アニフェストに新設されたアジアコンペ部門「アジア路」から、アジアの息吹を感じられる必見作8本を上映します。

■世界の映画祭を席巻する韓国短編アニメーション
・第16回広島国際アニメーションフェスティバルでグランプリを受賞した『空き部屋』(チョン・ダヒ監督、声優 ユ・ジテ)
・ANIMA2017 ブリュッセル・アニメーション映画祭で最優秀学生短編映画賞を受賞した『父の部屋』(チャン・ナリ監督)
・サンダンスはじめ世界中の映画祭から招待され、第26回ザグレブ国際アニメーションフェスティバルで「ピーター・ロードによる特別賞」を受賞した『鹿の花』(キム・ガンミン監督)
など、世界の映画祭を席巻する韓国短編アニメーションをご堪能下さい。

■来名ゲスト監督の新作
・2012年のゲスト、カン・ミンジ監督の新作『Before&After』(第18回DigiCon6ASIA銀賞)
・2014年のゲスト、キム・ボヨン監督の新作『えさ』(第10回札幌国際短編映画祭最優秀ミニショート賞)は、両監督の個性がにじみ出た作品。

過去のトークを再読してご覧いただくのがオススメです。 
特集「カン・ミンジの世界」 花コリ2012名古屋会場トーク録  http://anikr.blog.fc2.com/blog-entry-68.html 
花コリ2014名古屋会場レポート 『痛くない』キム・ボヨン監督トーク録  http://anikr.blog.fc2.com/blog-entry-181.html 
また、本年、各プログラムの冒頭に上映される映画祭トレーラーは、2016年のゲスト、キム・ヘミ監督が制作しています。実写から始まるビックリ映像にご注目。
ちなみに、今年のゲスト、ホ・ジュンソク監督の『ジオット』も実写&アニメーション作品です。

■残酷さは韓国映画の証し? 
今年3月に実写『お嬢さん』『アシュラ』『哭声/コクソン』が劇場公開され、残酷かつ情け容赦ないダークな世界観が大きな話題となりました。短編アニメーションにも韓国映画の苛烈さは受け継がれています。
本年の花コリ上映作では、自らのDV体験をベースにした『父の部屋』
伊藤潤二ライクな絵が既に怖い『役割ごっこ』
ヘタウマな絵柄が後にトラウマとなる『ピクニック』
悪気のない子供のいたずらが悲劇を呼ぶ『白い沈黙』などがそれ。
その他、アートな作品、ポップ&キュートな作品、哲学的な作品、歴史・社会問題を扱った作品、コミカルな作品、そして、ハートウォーミングな作品など、多彩なラインナップをお楽しみ下さい。

■アジア・アニメーションから「世界」を観る
アジア短編プログラム「アジア路」では、中国、インド、イラン、シンガポール、イスラエル、そして日本の作品を8本ご紹介。
日本を代表するアニメーション作家で、名古屋出身の山村浩二監督が、エリック・サティのバレエ音楽「パラード」を超現実的アニメーテッド・バレエとして再現した『サティの「パラード」』
インドの起源神話を解釈したニーナ・サブナニ監督『イメージをつくる』(インディ・アニフェスト2016「アジア路」グランプリ)
エルサレムの日常を批判する風刺映画『Within Thy Walls』(オメール・シャーロン、ダニエラ・シュニチャー監督/イスラエル)
現在の世界情勢を予見するかのような未来都市を描いた『Schirkoa』(イシャン・シュクラ監督/インド)
など、ユニバーサルな作品からローカルな作品まで、アジアの作家達が現在の世界をどう観ているのかが分かる必見作が勢揃いしています。

■今年のゲストは… 今年のゲスト監督は、花コリ・スタッフ一押し作品で、東京会場を爆笑の渦に巻き込んだ『ジオット』のホ・ジュンソクさんです。
コマ撮りで動くライオン人形と、実写の男性の恋?! アダルトな笑い満載の中に時事問題をも組み込んだ怪作『ジオット』の制作秘話に迫ります。 
更に「アジア路」プログラム・コーディネーターのイ・ギョンファさんをお招きし、アジア部門設立の趣旨、今後の展望などについて語っていただきます。 「+アジア」によって更に多様性を増した花コリにどうぞご期待下さい。

◾️◾️スケジュール◾️◾️
花開くコリア・アニメーション2017+アジア
6月10日(土) 
13:00 短編プログラム1「宇宙の記憶」http://anikr.com/2017/a.html 
14:40 短編プログラム3「宇宙の旅」http://anikr.com/2017/c.html 
16:20 短編プログラム2「宇宙の形」http://anikr.com/2017/b.html   
※ 終映後、ホ・ジュンソク監督のトーク http://anikr.com/2017/g_nagoya.html#event1 
18:20 アジア短編プログラム「アジア路」http://anikr.com/2017/d.html    
※ 終映後、イ・ギョンファさんのトーク http://anikr.com/2017/g_nagoya.html#event2 
※ 6月10日(土)21:00より交流会を予定。

6月11日(日) 
12:00 アジア短編プログラム「アジア路」http://anikr.com/2017/d.html 
13:40 短編プログラム2「宇宙の形」http://anikr.com/2017/b.html 
15:20 短編プログラム3「宇宙の旅」http://anikr.com/2017/c.html 
17:00 短編プログラム1「宇宙の記憶」http://anikr.com/2017/a.html

チケット:1プログラム 一般 1,000円 学生500円 ※ 当日券のみ。
会場:愛知芸術文化センター 12階 アートスペースEF
公式サイト:http://anikr.com/

皆様のお越しを心よりお待ちいたしております。
posted by ミッキー at 20:21| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月06日

イタリア映画祭(7)『いつだってやめられる』『いつだってやめられる ーマスタークラス』

🎬『いつだってやめられる』シドニー・シビリア監督/100分/2014年

もうすぐ四十歳になる神経生物学者のピエトロ・ジンニ(エドアルド・レオ)は、画期的な薬剤の開発をするが、誰にも理解されず研究費も打ち切られてしまう。追いうちをかけるように大学のポストも無くなる。

同居の恋人ジュリア(ヴァレリア・ソラリーノ)には失職したことは言えなかった。苦肉の策で彼のように才能はあるが不運な研究仲間と、違法薬物に指定されていない新ドラッグを開発することになる。それは特上のドラッグで、瞬く間に大金が入るが…。


イタリア版「ブレイキング・バッド」だ。アメリカ作品では、高校の理科教師と生徒が組んで新ドラッグを作るが、この作品では不遇な研究者たちが作っている。皿洗いする科学者、賭け事好きな経済学者の面々だ。

早い展開、それもドタバタで「え? こんなことになっちゃって…」と心配させるシーンはあったが、高学歴でも思うような地位や職に就けないのは世界共通のこと。身につまされた。

1981年生まれの新星、シビリア監督の長編デビュー作。イタリアのゴールデン・グローブ賞で最優秀コメディー賞を受賞。

🎬『いつだってやめられる ーマスタークラス』シドニー・シビリア監督/日本初上映

『いつだってやめられる』の合法のドラッグで、ひとり罪をかぶり刑務所生活を送る神経生物学者のピエトロ(エドアルド・レオ)は、恋人ジュリアが妊娠中で面会のたびに育児権を放棄してほしいと迫られていた。

そんな時に女警部パオラ(グルタ・スカラーノ)から街中に蔓延する合法ドラッグを根絶するために協力してほしいと頼まれる。

そこに、ドラッグをやめられず交通事故を起こして逮捕されたアルベルト(ステファノ・フレージ)も加わり、その話に飛び付く。

条件は「30以上の合法ドラッグを見つけて分析してほしい。そのかわり無罪放免」ということだった。

自分たち2人ではできないから仲間を集めにいきたいと昔の仲間のいる外国にまで行ってグループを結成するが……。

イタリア映画祭のクロージング作品。

前作に続いて素人ギャングたちがまたもや登場。だが、今度は悪事とは違う。合法ドラッグを見つけて分析して、その薬品を警察が「非合法」にして合法ドラッグを作れなくしようと躍起になっていて、彼らの力を借りに来たのだ。

前作から比べるとスケールが大きくなっていて、これだけでも楽しめる作品になっている。特に列車シーンはCGなし、スタントマンなしで撮影が行われたと聞いたが、ハラハラドキドキさせてもらった。

そして、意外な結末……続々編が出るようだ。彼らの平穏な日々はまだ先のようだ。
posted by ミッキー at 09:56| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする