1980年代、イギリスのロンドンで暮らすニキ(カミラ・アイコ)は、日本人の母とイギリス人の父との間に生まれた。大学を中退し作家を目指す彼女は執筆のために、異父姉の死から足が遠のいていたイギリスの地方にある実家を訪れる。
そこには長崎で原爆を体験し、戦後イギリスに渡った母・悦子(吉田洋/若き日・広瀬すず)が夫と長女を亡くしてひっそりと暮らしていた。
ニキは母の過去について聞いたことがなかったが、数日一緒に過ごすなかで、悦子は近頃よく見る「夢」の話を語りはじめた。それは戦後まもない長崎で出会った佐知子(二階堂ふみ)と、その幼い娘のことだった。
戦後の長崎と1980年代のロンドン。時代や国を超えて女性たちは何もかもが変わったことを敏感に感じとり生きていく様子が描かれている。一方、男たちは旧態依然のままイライラだけが増していく姿を赤裸々に映し出している。
この世の「地獄」を見た悦子の過去は事実と虚構がないまぜになって語られる。だがそこには悲惨さや後悔の念が微塵もないことに気付いたと同時に人間の真の強さを感じた。
★2017年にノーベル文学賞を受賞した日系イギリス人作家カズオ・イシグロのデビュー作「遠い山なみの光」を、『愚行録』『ある男』と切れ味鋭いミステリーを得意とする石川慶監督が映画化。。吉田洋さんが全編英語で演じている。

