1位から3位あり、その後は順位なし
1位『年少日記』ニック・チェク監督、脚本/香港/95分/作品賞、撮影賞
高校教師のチェン(ロー・ジャンイップ)が勤める学校で、自殺をほのめかすような遺書がゴミ箱にから見つかった。
そこに書かれていた「私はどうでもいい存在だ」という言葉は、少年時代のチェンが日記につづったものと同じだった。
遺書を書いた生徒を探すなかで、チェンは自身のつらい記憶をよみがえらせていく。
厳格で怒ると暴力を振るう父のもとで育った、出来の悪い兄と優秀な弟。親の期待に応える弟とは違い、勉強もピアノもできない兄は、いつも叱られ、体罰を受けていた。
中国、韓国は日本とは比べようがないほど「教育」「学歴」熱が高い。大学名だけで国の津々浦々までレベルが知れ渡っていて、その上アメリカ留学で一層「箔」をつけて一流企業、公務員で上がり、となる。
弟くんが教師だから勝ち組だが、ゴミ箱に捨てられていたメモに兄の短い人生を重ねていくのだ。
人間の幸不幸は学歴出ないことは重々よくわかっているが、中国(香港)のこの時代に、ミッキーが子を育てていたら、綺麗事では済まされないな……と思った。
★街の風景(特に大画面)の角度が良く新鮮に感じた。
2位『来し方 行く末』リュウ・ジャイン監督、脚本/中国/119分/脚本賞、主演男優賞
大学院まで進みながら、脚本家として商業デビューが叶わなかったウェン・シャン(フー・ゴー)は、寡黙な同居人シャオイン(ウー・レイ)と暮らしながら、葬儀場での「弔辞の代筆業」のアルバイトで生計を立てていた。
丁寧な取材をして作る弔辞は評判が良く、生活も贅沢しなければ暮らしていける。
だがもうすぐ40歳のウェン・シャンは、このままで良いのかと自問自答する今日この頃だった。
余韻のある作品。邦題も良い。映画中の音楽は効果音のようにも聞こえる独特な「音」が多く興味を持った。
有名な俳優さんも出ないし、美男美女もいない。でも人間ドラマが静かに丁寧に描かれていた。
主人公は脚本家になれず食うために死んだ人の弔辞を代筆して生活している男。死んだ人の聞き取りを家族や友人に協力してもらい文を書いていくのだが、同じ家族でも見方が違ったり、文を見て「書き直して……」と詰め寄ってくる人もいる。
そんな人間模様を見ていて、自分自身を顧みることもあって、自分はこのままでいいのかと思い悩む時もある。
もっと深い彼自身の悩みなどもあるが、これ以上のことは書かないでおく。
★弔辞などありきたりの文でいいのにと思っていたミッキー。この作品で中国のお国柄などが伺えた。
3位『デビルズ・ゲーム』キム・ジェフン監督、脚本/韓国/105分/監督賞
韓国で凶悪な連続殺人事件が起こり、世間を恐怖に陥れていた。
犯人のジニョク(ドンユンが)は、好みの音楽を聴きながら無差別殺人を楽しんでいた。
一方、必死に捜査をする刑事ジェファン(オ・デファン)は、犯人とその共犯者たちを追うが、捜査中に後輩刑事を失ってしまう。
悲しみのなか、ついにジニョクを追い詰めたジェファンは格闘の末に一緒に森の中へ転がり落ちるが、病室で目を覚ますとなぜか2人の身体が入れ替わっていた。
刑事ジェファンの姿となった殺人鬼ジニョクは、体が入れ替わったなど夢にも思わないジェファンの家族を人質にとって、彼を脅迫しはじめる。
面白い設定で楽しませてくれた。親と娘が入れ替わったり、男と女が入れ替わったりするのはあったが、凶悪殺人鬼と熱血刑事が入れ替わるのは初めて。
仲間内しか知らないことや家族の思い出などを犯人は「お前の奥さんや娘の命を守るから 事細かく教えろ」と脅迫されたので、誰にも入れ替わったことを信じてもらえないもどかしさが、見ているこちらに伝わってきてイライラした。
イケメンが悪者を演じると凄みが出て、魅力が倍増。
🎬『鯨が食えた入り江』エンジェル・テン監督/台湾/101分
香港の若手人気作家のティエンユー(テレンス・ラウ)は、新作小説に盗作疑惑が持ち上がり、世間から激しいバッシングを浴びてしまう。
心に深い傷を負った彼は、かつて文通していた少年が教えてくれた天国につながるという「鯨が消えた入江」を探すため、ひとり台湾へと向かう。
台北の繁華街で酔い潰れてしまったティエンユーは、地元のチンピラであるアシャン(フェンディ・ファン)に助けられる。
ティエンユーが旅の目的を打ち明けると、「鯨が消えた入江」を知っているというアシャンは彼を連れていくと約束。バイク2人乗りで旅が始まるが……。
後からわかったことだが、これNetflixで配信されていた。きっと知っていたらNetflixで見たと思うが、台湾の海岸線や山々の緑の美しさは見ることができなかったと思う。
盗作疑惑もところどころに散りばめられた ?も後から ! に変わって、ほのぼのとした雰囲気が伝わってきた。
★『アニタ』に続き、レスリー・チャン絡みの物語が展開するテレンス・ラウ主演作。
🎬『無言の丘』ワン・トン監督/台湾/175分/シネマスコーレにて
大正末期から昭和初期の日本統治下の台湾。小作人の兄弟チュウとウェイは、両親の葬儀費用を支払うために、長期労働契約を結ばされていた。
そんなある日、ゴールドラッシュの噂を耳にした兄弟は、村をでて金瓜石(キンカセキ)へと向かう。2人は未亡人ズーの家に間借りをして、劣悪な環境の日本人が管理する鉱山で金採掘をする。
やがて兄チュウは強かに生きるズーにひかれ、弟ウェイは九份の娼館で下働きする日本人の少女・富美子に恋心を抱く。
久しぶりにシネマスコーレに行った。約3時間の映画。内容は予想通りの日本軍の横暴さと台湾の人を人とも思わない扱いの連続でげんなり。
時代の流れに翻弄される庶民の悲しみに焦点を当てられていて、その生きざまをまざまざと見せてもらった。
🎬『満ち足りた家族』ホ・ジノ監督/韓国/109分
弁護士の兄ジェワン(ソル・ギョング)と医師の弟ジェギュ(チャン・ドンゴン)。ジュワンは物質的な利益を優先し、2人目の若くて美しい妻ジス(クローディア・キム)、先妻の子娘、生まれたばかりの赤ちゃんの4人で豪華なマンションに暮らしている。
一方、常に道徳的なの弟のジェギュは年長の妻ユンギョン(キム・ヒエ)と10代の息子と暮らし、痴呆気味の兄弟の母の介護もしている。
兄弟でありながら正反対な信念を持つ2人は、それぞれの妻とともに4人で月に一回ほど高級レストランで会食をしている。
その会食の夜、思いがけない事件が発生。この出来事によって、4人は目前に迫った家族の危機に直面していく。
医者、弁護士の優秀兄弟を名優男優さんが演じている。絶対見逃せない作品。
面白い!と思うが、いつ我が身に 我が子に、降りかかって来てもおかしくない「出来事」に「あなたからどうしますか」と聞かれているようで居心地は良くなかった。
ミッキーなら秘密にしておくが…‥なんて思ってしまった。
正義を通す難しさ、嘘をつく罪悪感、今までの生活がどんなふうに変わるかの不安。どちらにしても勇気が必要なことだ。
あの家族たちはどうなったのだろう、興味ある題材だったけど後味は悪かった。
🎬『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』ソイ・チェン監督、谷垣健治アクション監督/香港/125分
1980年代。香港に密入国した青年チャン(ルイス・クー)は、黒社会のルールを拒んだために組織から目をつけられてしまう。
追い詰められた彼は運命に導かれるように、九龍城砦に逃げ込み、そこで出会った3人の仲間たちと深い友情を育んでいく。
だが、九龍城砦を巻き込む抗争は激化の一途をたどり、チャンたちはそれぞれの信念を胸に命をかけた戦いに挑んでいくが……。
久しぶりに香港映画の底力を味わった。香港映画お馴染みのスターたち、九龍城砦の再現シーンの見事さ、大写しのアクションシーンなどで食い入るように見入った。
男たちの顔や体の特徴に特色があってすんなりと話に入ることができた。
🎬『強くなるとき』ナムグン・ソン監督/韓国/100分
スミン(チェ・ソンウン)、テヒ(ヒョン・ウソク)、サラン(ハ・スコン)は済州島に旅行に行くが、サランはスーツケースをバスに忘れたり、お店で食事中に客と喧嘩をしたりして、旅の予定が狂ってしまう。そのために金欠になってミカン畑でアルバイトをする羽目になった。
スミンは、精神的に不安定なサランを心配で、同級生だったテヒとは互いに競争心を持っていた。
そんな三人がかつてK-POPアイドルだったこと、それぞれに心の傷を抱えていることが次第に明らかになっていく。
映画の舞台は済州島。この映画祭ではもう一つ済州島の作品がある。それは『済州島四・三事件 ハラン』今から約80年前の事件で島全体が戦地になったという悲しい出来事を描いている。
そして『強くなるとき』は今現在の観光地化された済州島だ。3人はアイドルの時に行けなかった修学旅行地に来たのだ。
そこで過ごす数日はみかんの収穫バイト、今撫でに溜まっていた不満や不安が少しずつ出てきて、最後には……。
いろいろな出来事の中で浮き彫りにされる韓国芸能界の危うさは、世界に通じること。
3人の人生はこれから、めげずに頑張ってと声をかけたくなった。
🎬『ハルビン』ウ・ミンホ 監督、脚本/韓国/114分
1908年、参謀中将アン・ジュングン(ヒョンビン)が率いる大韓義軍は、日本軍との戦闘で大きな勝利を収めた。
アン・ジュングンは万国公法に従い、戦争捕虜である日本陸軍少佐・森辰雄らを解放するが、これをきっかけに大韓義軍の間ではアン・ジュングンに対する疑いとともに亀裂が生じる。
1909年、アン・ジュングン、ウ・ドクスン(パク・ジョンミン)、キム・サンヒョン(チョ・ウジン)、コン夫人(チョン・ヨビン)、チェ・ジェヒョン(ユ・ジェミョン)、イ・チャンソプら、祖国奪還のために強い絆で結ばれた同志たちがウラジオストクに集まった。
彼らは伊藤博文(リリー・フランキー)がロシアとの交渉のためハルビンに向かうことを知る。一方、日本軍は大韓義軍の密偵から、ある作戦についての情報を得る。
伊藤博文が安 重根に暗殺されたことは知っていたが、詳しいことは子に映画で知ることができた。日本ではテロリスト、朝鮮、韓国では英雄である安 重根だが、公平な考えや強い意志を持つ男として描かれていた。
一方の伊藤博文のセリフにも頷ける点もあった。伊藤に仕える日本人役を韓国俳優がやっていたが、無名でもいいから日本の俳優さんを使って欲しかった。
🎬『ラブ・ライス』ホー・ミウケイ監督/香港/112分/主演女優賞
離婚目前に夫と死別し、過去に区切りをつけられずにいる52歳の婦人科医ベロニカ(サンドラ・ン)は、25歳のナースと偽りアプリに登録。
ロマンス詐欺集団が仕掛けた外国人実業家(マイケル・チョン)と出会い、恋のやりとりを重ねるが……。
香港発のロマンチックコメディ。内容が「ロマンス詐欺」だから興味津々で見てしまったが、意外やツボにハマった。
2026年01月05日
この記事へのコメント
コメントを書く

