2026年01月01日

2026年1月 元旦 2025年日本映画ベストテン

新年明けましておめでとうございます。本年もミッキーのブログをどうかよろしくお願い申し上げます。

2025年は437本の映画(映画館、映画祭、試写室)を見ました。Netflixは数には入れていませんがベストテンは書いています。

では、日本映画のベストテン(1位から3位あり、あとは順位なし)


1位『8番出口』川村元気監督、脚本/95分/作品賞❗️主演男優賞❗️

無機質な蛍光灯の光に照らされた地下通路を、一人のサラリーマン風の男が静かに歩いていくが、いつまで経っても出口にたどり着くことができない。

何度もすれ違うスーツ姿の男に違和感を覚え、自分が同じ通路を繰り返し歩いていることに気づく。

そして男は、壁に掲示された奇妙な「ご案内」を見つける。「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から、外に出ること」……

男は迷い込んだ無限回廊のような地下通路から抜け出そうと、8番出口を求めて「異変」を見つけようと必死になる。

二宮のファンか、ゲームのファンかわからないが、ミッキーの周りでは、公開前からこの映画のことの話題がよく出た。こんなことは稀だ。

東宝は『国宝』(第98回「米国アカデミー賞国際長編映画賞」に選出された)で大当たりしたが『8番出口』もかなりいいところまで行きそう❗️

出口に辿りつけるのか?と心配になるが、見た後は暖かい気持ちになった。

★ラヴェル作曲のボレロが印象的に使われていた。


2位『金子差入店』古川豪監督、脚本/125分/根岸季衣さんに助演女優賞

金子真司(丸山隆平)は刑務所や拘置所に収容された人への差し入れを代行する「差入屋」を妻(真木よう子)や叔父(寺尾聰)と営んでいる。ある日、息子の同級生で仲の良い女の子が殺害されるという凄惨な事件が発生する。

一家がショックを受ける中、犯人の母親(根岸季衣)が「差し入れをしたい」と店を訪れる。

差入屋としての仕事をしながらも、金子は疑問と怒りが日に日に募っていく。

そんなある日、金子は一人の女子高生と出会う。彼女は毎日のように拘置所を訪れ、なぜか自分の母親を殺した男との面会を求めていた。

調べてみたら拘置所や刑務所近くに必ずある「差し入れ屋」 今ではネット注文ができ、とても便利になっているようだ。でも利用者は自ずと限られた人たち。

その店をいとなむ一家の喜怒哀楽が丁寧に描かれていた。叔父役の寺尾聰がちょうど良い立位置で演じていたり、殺人をした息子にためにあれこれと差し入れする母親の根岸季衣の表裏一体の演技を見せてくれたりとベテラン俳優の力量がいっぱい詰まった作品だった。


3位『国宝』李相日監督/175分/監督賞、田中泯さんに助演男優賞

任侠の家に生まれた喜久雄(吉沢亮)は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独になってしまう。

喜久雄の天性の才能を見抜いていた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺謙)は彼を引き取り、半二郎の妻・幸子(寺島しのぶ)に生活の面倒を見てもらう。

思いがけず歌舞伎の世界へ入った喜久雄は、半二郎の跡取り息子・俊介(横浜流星)と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして、お互いに高めあいながら育っていく。

そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく変化していく。

原作は吉田修一の同名長編小説。とにかくこの作品を見なけれな「日本映画ベストテン」は書けないと思っている。

若いお二人もよくやった❗️特に人間国宝・万菊を演じた田中泯さんは、日本アカデミー賞の助演男優賞以上のレベル❗️

三度の食事を二度にしても劇場に足を運んでほしい。


🎬『この夏の星を見る』山元環監督/126分/脚本賞

2020年。新型コロナウイルスの感染拡大により登校や部活動が制限されるなか、茨城県立砂浦高校の天文部に所属する2年生・溪本亜紗(桜田ひより)の提案で、リモート会議を活用し、各地で同時に天体観測をする競技「オンラインスターキャッチコンテスト」が実施されることになる。

長崎の五島列島や東京都心の生徒たちも参加してスタートしたこの活動はやがて全国へと拡がり、ある奇跡を起こす。

原作は辻村深月の同名小説。コロナ禍で複雑な思いを抱える中高生たちの青春を、東京都渋谷区、茨城県土浦市、長崎県五島市を舞台に描い

高校生青春ものだけど天体観測の興味のある大人にも満足していただける作品。

夜空に夢を追い、地上では現実のコロナ禍の様子がバランス良く描かれていた。

脚本(森野マッシュ)が良くてリズム感もあった。


🎬『35年目のラブレター』塚本連平監督、脚本/119分

戦時中に生まれて十分な教育をうけることができず、文字の読み書きができない65歳の西畑保と、いつも彼のそばにいる最愛の妻・皎子(きょうこ)。

貧しい家に生まれ、ほとんど学校に通えないまま大人になった保は、生きづらい日々を過ごしてきた。

やがて皎子と出会い結婚するが、その幸せを手放したくないばかりに、読み書きできないことを彼女に打ち明けられずにいた。

半年後、ついに事実が露見し別れを覚悟する保だったが、皎子は彼の手をとり「今日から私があなたの手になる」と告げる。

どんな時も寄り添い支えてくれた皎子に感謝の手紙を書きたいと思った保は寿司職人を退職を機に夜間中学に通いはじめて……。

2003年に朝日新聞で紹介され、創作落語にもなるなど話題を集めた実話を映画化。

監督、脚本は『今日も嫌がらせ弁当』の塚本連平。主演は落語家でタレントでもある笑福亭鶴瓶 。『ディア・ドクター』(2009)『おとうと』(2010)など俳優としても評価は高い。妻には『時をかける少女』(1983)以来ずっと変わらず透明感のある清廉な美しさを保っている原田 知世 。2人の若き日を重岡 大毅、上白石 萌音が演じている。

識字率が世界的に高いと言われている日本で、文字の読み書きができない人がいるとは、今まで考えたことすらなかった。

この作品は西畑家の家族の歴史と夜間中学の様子など丁寧に描かれていて「思いやり」の大切さや「学ぶ」喜びに溢れている。


🎬『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』三池崇史監督/129分

2003年。小学校教諭の薮下誠一(綾野剛)は、児童・氷室拓翔への体罰を保護者の氷室律子(柴咲コウ)から告発される。

その内容は、教師によるいじめとも言えるほど、聞くに堪えないものだった。

それを嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)は実名報道にしたことで世間を震撼させる。

マスコミの標的となった薮下は、誹謗中傷や裏切り、さらには停職と、絶望の底へ突き落とされていく。

世間でも律子を擁護する声は多く、550人もの大弁護団が結成され、前代未聞の民事訴訟に発展。

誰もが律子の勝利を確信するが、法廷に立った薮下は「すべて事実無根のでっちあげ」だと完全否認する。


これ、随分昔に新調45(廃刊)に、「福岡『殺人教師』事件の真相」という記事が載っていて半信半疑で読んだ覚えがあった。だから試写に2回も行って(他の方も2回きていた)事件の真相を知った。

モンスターペアレンツという言葉はこの事件をきっかけでできたんだろうか?

子どもの言う事を鵜呑みにしているお母さんは多いと思うけど……なかなかここまでは大きくしない。

ホラーではないが背筋がゾワっとする怖さが潜んでいた。


🎬『私の見た世界』石田えり監督、脚本、編集、主演/69分/主演女優賞

36歳の女(石田えり)は、4人の子を持母親だった。だが若い頃に受けた心の傷があった。

やがて殺人を犯した彼女は、時効まであと数日という直前まで逃げ切った。

その逃亡中、顔の整形手術を繰り返しながら逃亡生活を続けるが、指名手配書が全国に貼られ、逃げれば逃げるほど警察と世間の包囲網はせばまっていく……。

日本犯罪史に残る大事件として知られる松山ホステス殺人事件の犯人・福田和子が拘置所内で自らの激動の半生をつづった手記「涙の谷」を映画化。

ウィキペディアで調べてみてわかったことだが、若い時に盗みで刑務所に入っていた時に「性暴力」にあり、訴えたが無視された経緯があったらしく、このトラウマが逃亡生活を続けた遠因ではと書いてあった。

女1人で生きていくだけでも大変なのに、いろんなダークな仕事をして逃亡するなんて普通ではできない。

あと味は悪くない作品だったが、映画を見終わってもなかなか日常生活に戻ることができなかった。


🎬『木の上の軍隊』平一紘監督、脚本/128分

太平洋戦争末期、戦況が悪化した1945年。飛行場の占領を狙い、沖縄・伊江島に米軍が侵攻。激しい攻防戦の末に、島は壊滅的な状況に陥っていた。

宮崎から派兵された少尉・山下一雄(堤 真一)と島出身の新兵・安慶名セイジュン(山田裕貴)は、敵の銃撃に追い詰められ、大きなガジュマルの木の上に身を隠す。

仲間の死体は増え続け、圧倒的な戦力の差を目の当たりにした山下は、援軍が来るまで、その場で待機することにした。

戦闘経験が豊富で国家を背負う厳格な上官・山下と、島から出たことがなくどこか呑気な新兵・安慶名は、話が嚙み合わないながらも、二人だけでじっと恐怖と飢えに耐え忍んでいた。

やがて戦争は日本の敗戦をもって終わるが、そのことを知らない二人の戦いは続いていく。樹上生活の中で、二人は必死に戦い続けた。


舞台になった伊江島を調べてみた。

この小さな島で繰り広げられた戦争の歴史を目の当たりにした。

戦後が終わったことも知らずジャングルで生き続けてきた横井さんや小野田さんは有名だが、戦地でそのまま現地人として暮らしていた方や今作の映画のような話は、たくさんあったのだろう。

島の若者を演じた山田裕貴の痩せ細って飢えに苦しむ姿、上官の堤真一の一徹ぶりが印象に残った。

この映画を若い人たちに見て欲しいなと心から願う。


🎬『海辺へ行く道』横浜聡子監督、脚本/140分/女性監督官

美術部員で14歳の奏介(原田琥之佑)は、アーティスト移住支援に力を入れる海辺の町で暮らしている。

奏介と彼の友人たちは、演劇部から依頼を受けた絵を描いたり、新聞部の取材を手伝ったりと、夏休み中にもかかわらず多忙な日々を送っていた。

そんな中、不審なアーティストが徘徊しているという情報が広がり、さらに奇妙な依頼が奏介たちに舞い込んできた。

『ジャーマン+雨』からの横浜聡子ファン。強烈な個性を持った監督で女性監督の中でもその存在は際立っていると思う。

今作は三好銀の傑作漫画の映画化だが、監督さんのイメージを付け足して作られている。どこが原作どおりかどこが付け足しの部分かは皆目わからないが、盆踊りを音無し手拍子のみの「しずか踊り」や、イケメン詐欺師セールスマン(高良健吾/不思議と適役だった)に町の女が騙されたりする場面が印象に残った。

🎬『囁きの河』大木一史監督、脚本/108分/音楽賞

熊本豪雨から3か月目のある日、母の訃報を聞いた今西孝之(中原丈雄)は、22年ぶりに故郷の町に帰ってきた。。多くの家屋が流されて、川の地形まで変わっていた。

孝之は、故郷を離れて以来会う事のなかった息子の文則(渡辺裕太)と再会する。だが、文則はかつて幼い自分を見捨てた父に心を開こうとはしなかった。

文則は、球磨川下りの船頭になるために一人で試行錯誤していた。だが、水害後航行不能となった球磨川下りの再開の目処はたっていなかった。

孝之たちの家の対岸に、旅館「人吉三日月荘」が建っていて、旅館の主、山科宏一(三浦浩一)は、孝之の幼馴染であり、妻の雪子(清水美砂)は、孝之のかつての恋人であるった。

なんとか旅館を再生しようとする雪子と、旅館を畳んでしまいたいと思う宏一との間に、心の溝が生まれる。

孝之は、荒れ果てた田畑を、耕すことで生きがいを感じるようになったが……。

球磨川流域は水害の絶えない土地で村人たちは幾度も災害を乗り越えてきた歴史がある。しかし根こそぎやられたのは2020年7月の熊本豪雨災害。

そこで生活している家族の「変化していく」姿が静かに描かれていた。

不安を煽るような現代音楽と、呟くように歌う ♪五木の子守唄や埴生の宿が印象的だった。








posted by ミッキー at 18:00| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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