🎬『飛行家』ポンフェイ監督、脚本/中国/118分
中国東北地方に暮らす平凡な労働者リー・ミンチーは、自作の飛行装置で空を飛ぶという夢を追いかけているが、実験はことごとく失敗する。
やがて改革開放政策となってミンチーと妻は廃工場を改装してダンスホールを開業するが、ミンチーは空を飛ぶ夢を捨てきれない。
いつも賑わっているように見える店も赤字続き、息子の病気治療などで困っている彼の耳に「もう一度、空を飛んで見よう」と思うテレビ企画を見つけて……。
2023年東京国際映画祭で上映された432分(全6話)『平原のモーセ』の原作者シュアン・シュエタオの小説をポンフェイ監督が映画化。
中国社会の変化とそれに伴う国情を背景に、ひとりの男の半生がエネルギーたっぷりに描かれていた。
映画祭で暗い、悲しい作品が続いたので、勢いがあってとてもウキウキした気分で楽しめた。
見終わって、ちょっと「描き方が大袈裟」と思う部分もあったが、大空を飛ぶ爽快感をお裾分けしてくれたにで良しとしよう。
🎬『死のキッチン』ペンエーグ・ラッタナルアーン監督、脚本/タイ/96分
タイの田舎のムスリム社会から追放され、ひとりで都会に出てきたサオは、得意な調理の腕前でバンコクの高級レストランのシェフとなった。
そんなサオの前に、過去に故郷でサオを強姦した男ローンが現れる。彼はサオのことを忘れていたので、復讐することを決意した。
題名とあらすじでいち早く見たくなった作品。
しかしコンペティション作品として、またホラー映画としても満足できなかった。
美味しそうな料理がたくさん出て来ても不穏な音楽で、いつも見ている料理映画は心地よい音楽によって美味しそうに見せてくれていたのか、と(当たり前のことだが)再確認できたのが唯一の収穫だった。

