日本で650年以上も受け継がれてきた伝統芸能・狂言の第一人者で、芸歴90年を超えて現在もなお舞台に立ち続ける野村万作。現在93歳。
2023年には文化勲章を受章し、翌24年6月には受章記念公演を開催、ライフワークとして磨き上げてきた珠玉の狂言「川上」を上演した。
本作では、その公演が行われた日に、万作が自身の過去に対して思い浮かべる「六つの顔」をアニメーションで表現して彼の芸境に迫る。
93歳の野村万作の杖も使わず一定に速度で歩く姿に感動した。東京の坂道もリズムを変えず、す、す、と歩いていた。ゆっくりでも早くもない……このシーンだけで万作の修行の確かさ、深さが伺い知れた。
鉛筆書きのような画(アニメ)もナレーション(オダギリジョー)もよかった。
犬童監督は田中泯のドキュメンタリーも作っている。孤高の人シリーズだろうか。そうなら次が楽しみだ。

