熊本豪雨から3か月目のある日、母の訃報を聞いた今西孝之(中原丈雄)は、22年ぶりに故郷の町に帰ってきた。。多くの家屋が流されて、川の地形まで変わっていた。
孝之は、故郷を離れて以来会う事のなかった息子の文則(渡辺裕太)と再会する。だが、文則はかつて幼い自分を見捨てた父に心を開こうとはしなかった。
文則は、球磨川下りの船頭になるために一人で試行錯誤していた。だが、水害後航行不能となった球磨川下りの再開の目処はたっていなかった。
孝之たちの家の対岸に、旅館「人吉三日月荘」が建っていて、旅館の主、山科宏一(三浦浩一)は、孝之の幼馴染であり、妻の雪子(清水美砂)は、孝之のかつての恋人であるった。
なんとか旅館を再生しようとする雪子と、旅館を畳んでしまいたいと思う宏一との間に、心の溝が生まれる。
孝之は、荒れ果てた田畑を、耕すことで生きがいを感じるようになったが……。

球磨川流域は水害の絶えない土地で村人たちは幾度も災害を乗り越えてきた歴史がある。しかし根こそぎやられたのは2020年7月の熊本豪雨災害。
そこで生活している家族の「変化していく」姿が静かに描かれていた。
不安を煽るような現代音楽と、呟くように歌う ♪五木の子守唄や埴生の宿が印象的だった。