2019年、中国湖南省の長沙市。二十歳のリン(ヤオ・ホングイ)はフライトアテンダントを目指す大学生。航空会社の採用試験に受かるために英語学校に通わなくてはならない。
長沙で漢方店を営む父にも、婦人科医の母にも頼める状況ではない。それどころか、母の患者さんとの賠償問題や、リンの予期せぬ妊娠がわかる。
リンは子どもを持つことも中絶することも望まず、母親を助けるため賠償金の代わりにお腹の子を提供することを提案するが……。

昨日は香港の映画、今日は中国が舞台の(日本映画となっているが)映画だ。二つとも力作で観る価値は充分にある。この二つで特に感じたのは、日本人なら「こういう選択はしない」ということだ。
とっても重大なことに直面していても、切羽詰まった深刻さは見当たらず、唯一激しいのはマルチ商法の場面のみ。それでいて148分が退屈ではない。不思議な感覚を味わった。
★リンの両親はホアン・ジー監督のご両親。
★第23回東京フィルメックス・コンペティション部門出品。2023年・第60回金馬奨にて、日本の映画として初めて最優秀作品賞を受賞。