2022年、迎田良子さん(64)は、安楽死するためにスイスに渡った。パーキンソン病の彼女は死の直前、立ち会った記者に語りかけた。
「安楽死することは悲しいことではない。やり残したことは何もないし、本当に幸せな人生だった。やっと夢が叶うのよ」と。
幸せとは言えない幼少期を経て、たった独りで人生を切り拓いてきた迎田さん。難病の老後を誰かに頼って生きるのは嫌だ」という彼女は、なぜ安楽死を選んだのか……。

長い間、映画を見続けてきたが、実際の「死に際」をスクリーンで見たには初めてだ。見終わってからも(今も)なかなか平静にはなれないでいる。
内容もショックだったが、ミッキーの30代から35年間、おつきあいのあった美容院の先生が晩年にパーキーソン病で苦しんでいたこともあったのを思い出した。
迎田さんの明確な受け答えや生活の仕方を見ていると、介助者がいればなんとかやれそうなのに……と思うが彼女の強い意志、迷いのない表情などをみると、他人にはクチが挟めない「死」の覚悟を感じた。