戦時中に生まれて十分な教育をうけることができず、文字の読み書きができない65歳の西畑保と、いつも彼のそばにいる最愛の妻・皎子(きょうこ)。
貧しい家に生まれ、ほとんど学校に通えないまま大人になった保は、生きづらい日々を過ごしてきた。
やがて皎子と出会い結婚するが、その幸せを手放したくないばかりに、読み書きできないことを彼女に打ち明けられずにいた。
半年後、ついに事実が露見し別れを覚悟する保だったが、皎子は彼の手をとり「今日から私があなたの手になる」と告げる。
どんな時も寄り添い支えてくれた皎子に感謝の手紙を書きたいと思った保は寿司職人を退職を機に夜間中学に通いはじめて……。

2003年に朝日新聞で紹介され、創作落語にもなるなど話題を集めた実話を映画化。
監督、脚本は『今日も嫌がらせ弁当』の塚本連平。主演は落語家でタレントでもある笑福亭鶴瓶 。『ディア・ドクター』(2009)『おとうと』(2010)など俳優としても評価は高い。妻には『時をかける少女』(1983)以来ずっと変わらず透明感のある清廉な美しさを保っている原田 知世 。2人の若き日を重岡 大毅、上白石 萌音が演じている。
識字率が世界的に高いと言われている日本で、文字の読み書きができない人がいるとは、今まで考えたことすらなかった。
この作品は西畑家の家族の歴史と夜間中学の様子など丁寧に描かれていて「思いやり」の大切さや「学ぶ」喜びに溢れている。