🎬『どうすればよかったか?』藤野知明監督/102分
1983年、当時24歳の姉に統合失調症の症状が現れた。両親はそれを認めず、精神科を受診させることなく、姉は家に引き籠ってしまう。
そのうちに両親は玄関に南京錠をかけて、姉の外出を阻止するようになった。両親の態度を疑問に思った弟(監督)は、その責任を問うためにキャメラを回し始め、20年以上にわたる4人家族の葛藤を克明に映像に残していく。
これは去年の山形ドキュメンタリー映画祭で最も忘れ難い作品。上映が終わると大きな拍手が起こった。だがミッキーは拍手も出来なかったし、登壇された監督さんのお顔すらまともに見ることが出来なかった。
驚きとよくこの家族に20年もの間、カメラを向けて来たなという軌跡に打ちのめされていたからだ。
皆、エリートの家族でお金には不自由ではない。お姉さんは医学部で解剖の授業がきっかけとなってしまうのだが、外聞を気にする母親、自分の意見を強調しない父親……の中で監督さんは逃げるように遠地の大学に入り、家を出る。
監督自身、逃げ出した悔いを背負って生きてこられ、また自分も発病するにではないかという恐怖の中で、カメラを回し続けたドキュメンタリーだ。
2024年12月08日
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