🎬『水平線』小林且弥監督/119分
福島県のとある港町に暮らす井口真吾(ピエール瀧)は、震災の津波で妻を亡くし、未だに遺体は出て来ていない。彼は小規模ながら海に遺灰を散骨する会社を1人でやっていて、水産加工場で働く娘・奈生(栗林藍希)と2人で暮らしている。
一人暮らしの高齢者や生活困窮者を相手に安価で散骨を請け負う彼だったが、かつて世間を驚かせた通り魔殺人事件の犯人の遺骨が、その兄によって持ち込まれる。そのことを嗅ぎつけたマスコミがやって来たり、娘の「まだお母さんが海にいるんだよ」と反対されたりして、苦しい選択を迫られる。
2011年3月11日に起きた東日本大震災から約12年。まだまだいろんなことが片付いていないことを改めて思った。海に散骨する希望者がけっこういるらしく「水に溶ける容器に入れて」散骨していた。
当然、お魚さんが食べていて、その魚を人が食べる……骨になったら善人も極悪人もない、ただのゴミだ……とも言い切れないものを感じた。
題名の水平線は「海面と空の境目」。文字どおり「線」だ。その一線に人間の生と死、喜怒哀楽が詰まっていると解釈したが間違っているかもしれない。
2024年03月02日
この記事へのコメント
コメントを書く