19世紀末、フランスの片田舎。「食」を芸術の極みにまで高めた美食家ドダン(ブノワ・マジメル)と、彼が考えたメニューを完璧に再現することが出来る料理人ウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)は20年以上もお互いに愛し合いながらも食のパートナーとして過ごしていた。料理人として自立すると共に自由を好むウージェニーは、ドダンの求婚を断り続けていた。
2人が生み出した料理は、上流階級の人々を驚かせ、その噂はヨーロッパ各国にまで広がっていく。
そんなある日、ユーラシア皇太子から晩餐会に招待されたドダンは、豪華なだけで論理もテーマもない大量の料理にうんざりする。
彼は最もシンプルな料理「ポトフ」で皇太子を招待したいとウージェニーに打ち明けるが、突然ウージェニーが倒れてしまう。ドダンはすべて自分の手で作った料理で、彼女を元気にしようとするが……。

『青いパパイヤの香り』『シクロ』 『夏至』 『ノルウェイの森』 のトラン・アン・ユン監督による新作。第76回カンヌ国際映画祭 最優秀監督賞受賞作。
これは3度の食事を2度にしても観ていただきたい作品。欲を言えば(この、欲張りめ!)井戸で水を汲み上げていた時代に、使った鍋や食器などの洗い物など、後片付けの様子が知りたかった。