黒海をのぞむ小さな寂れた港町で暮らすシティル、ゲカ、ダンボ（アレクサンドル・ヤツェンコ、アルトゥル・ポボロツキー、イワン・ココーリン）の3人の若者は、ある日、富裕層が暮らす都会に行った。高級店のショーウインドーに飾られたグッチ（GUCCI）のスーツを目にする。
有名ブランドのスーツは3人にとって「夢の象徴」で、すばしっこさと度胸とアイデアでどうにか手に入れることができた。そのスーツを順番に着て、それぞれの夢をかなえようとするが……。
2015年に49歳でお亡くなりになったタジキスタンのバフティヤル・フドイナザーロフ監督は『ルナ・パパ』『少年、機関車に乗る』の名作を監督している。この『スーツ』はグッチの高級スーツを着て夢をかなえようと行動する若者の青春ドラマ。
製作から20年たつが若者の無茶すぎる行動も仲間を裏切らない仲良さも瑞々しく描かれていた。
上等なスーツを着たら、若者の扱いが変わる世の中。成功したと思って嬉し泣きする年老いた母親、疎遠だった父親との束の間の逢瀬など、切なさもいっぱい入っていて、国や時代を超えて楽しませてもらった。
★今日晩一回の上映だったので、これが観たいために伊豆高原を早く出てきた。
★2003年・第16回東京国際映画祭で審査員特別賞と優秀芸術貢献賞の2冠に輝いた作品。
