2023年03月27日
「TBSドキュメンタリー映画祭 2023」(5)『それでも中国で闘う理由 〜人権派弁護士家族の7年〜』『カリスマ 〜国葬・拳銃・宗教〜』
🎬『それでも中国で闘う理由 〜人権派弁護士家族の7年〜』延廣耕次郎、阿古智子監督
去年、中国で「国家政権転覆」の罪で4年半に渡り服役していた人権派の弁護士が出所した。今なお続く当局による監視や妨害などの様々な圧力。家族の闘いの日々を追ったドキュメンタリー。
最初のシーンが家族3人の幸せな映像から始まるので安心して見られた。前任者から引き継いで7年間かけて出来上がった作品。北京局の同僚がときに体を張りながら、中国人スタッフも一丸となって作られた。
行方不明になって半年後に居所がわかるなど日本では考えられないが、面会もできない、残された家族にも見張りがつくということでさらに驚いた。
中国の映画やドキュメンタリーには興味深いものがあっていつも楽しみにしている。模写のゴッホの絵ばかりを生業にしているゴッホ村、売血でエイズ村になってしまったドキュメンタリー、子を誘拐して売る誘拐ビジネス……、この国はなんでも「日本の10 倍」というが面白さも怖さも10 倍だと改めて感じた。
🎬『カリスマ 〜国葬・拳銃・宗教〜』佐井大紀監督/65分
エキストラとして、画面の中を豊かにするため、決められた設定の中で生きている彼らに「あなたの人生の主役は誰?」と誰にでも問いかけていく。
国葬反対デモ、永山則夫連続射殺事件、世間を驚かせたイエスの方舟など、日本社会のエキストラと主役(カリスマ)に、時を超えてマイクを向ける。
エキストラと言えば映画、芝居などでなくてはならない存在。だが自己主張はほぼ無理だ。それを与えられた「仮の姿」と見れば、人間全てに通じるものがある。
三つの話の中で「永山則夫」にも問いかけている。もちろん返答はないが……。ミッキーは彼の初めての職場「西村フルーツ店」で社長から「誰から給料えお貰うのですか」と問われたとき、皆「社長です」と答えたが、彼だけは「お客さまからです」と答えたそうだ。またこのドキュメンタリーに出てきた詩「あり」にも感心した。
死刑でなくても…‥と思ったが殺された方の遺族を思うとやはりそうとは言えまい。
この作品は見た中では一番編集が効いていたように感じた。
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