2023年03月11日
大阪アジアン映画祭2023(2)『風』『子どもの瞳を見つめて』
🎬『風』メジバウル・ラフマン・シュモン監督/バングラデシュ/131分/日本初上映
バングラデシュ南東部のコックスバザールから出港する漁船。15名ほどの船員と長年の経験のある船長は大漁を胸に意気揚々と沖に出る。
そこに大物が釣り上げられて喜んだのも束の間、それは女性の死体だった。大方、入水自殺で流れて来たのだと思い込んでいたら、しばらくして息を吹き返した。
口が聞けないが、男好きの肢体で美しい女だった。女人禁制の船に縁起が悪いと言われていて、法律にも違反だが、女の魅力に取り憑かれた男たちは……。
ほぼ船内のみの映画。10年ほど前に観た韓国映画『海にかかる霧』を思い出した。これは密航者を乗船させて、という話だった。
バングラデシュの映画は船長が長年の勘で、大声で命令、指図をして漁をするが、女が乗ってきてからは少しずつ勘が狂ってくる。すると女のせいだと大声でわめく。漁も女が乗ってからは減って、網は破れ、帆は折れて、一人ずつ死んでいく展開は不気味感満載。船酔いはしなかったが非常に疲れた。
★字幕のタイミングがよかった。担当は神戸女学院大学文学部英文学科。
🎬『子どもの瞳を見つめて』瓜生敏彦、ビクター・タガロ監督/フィリピン/93分/世界初上映
フィリピンの最貧困エリアに暮らす子どもたち9人の生活を追ったドキュメンタリー。始まりのシーンは大きな岩を素手でハンマーを打ち下ろして砕いている。細かく砕いて水でさらしているが何か貴重な鉱物を集めでいるのだろうか。暑い炎天下でも帽子や靴はない。
大きな荷を運ぶ男の子、ダイオキシンの影響で水頭症になった男の子……。
1日、仕事してどれだけの賃金をもらっているのか、こんな状況の中で学校に通っている驚き、大きな瞳でこちらを見ているのが私自身に向けられているようで居心地が悪かった。
★2018年のFAMAS賞(フィリピン映画芸術科学アカデミー賞)で、最優秀ドキュメンタリー賞と最優秀編集賞を受賞。同年のフィリピン映画批評家協会賞でも最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。
★2023年GW 新宿K's cinemaにて公開予定。
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