今日で伊豆高原のちょっと寒いけどのんびり生活は終わり、青春切符で名古屋に帰る。冬眠中のメダカちゃんがちゃんとお留守番していてくれているか心配。
第17回 大阪アジアン映画祭
この映画祭で始まる一年。この年もミッキー一人参加。責任をずっしりと感じながらもよりどりみどりのラインナップに胸がときめいた。
今年は短編がいいらしいと前情報で聞いていたのでそれも観たいので、常宿に8泊9日。ここはシネ・リーブル梅田とABC ホールどちらにも徒歩8分で行くことができる。
さて映画は短編では この二つ。
🎬『オートバイとハンバーガー』チェ・ミニョン監督/韓国/39分
高校生のガヘ(パク・ハンソル)は中学生の弟と2人暮らし。彼女はフライドチキンの配達をして働いている。盗品を売りさばいている不良仲間との夜遊びだけが息抜きの時間。そんなある日、勉強第一の弟が「僕、学級委員長だから、クラス全員にハンバーガーを奢らないといけない」と言うので、ガヘはハンバーガー代を工面するため、バイク泥棒に手を出すのだが…。
新人女優パク・ハンソルの自然なお顔立ちと大きな声も小さな声も言葉がはっきりしているのが気に入った。ガヘの不良の男友だちのパク・カンソプも味があって、いいコンビだった。ふるまいハンバーガーの習慣?は韓国で本当に行われているらしい。
🎬『有村架純の撮休』第5話『ふた』横浜聡子監督、脚本/26分
突然撮影が急遽休みになった有村架純の一日。先輩の有名女優さんからもらったジャムの瓶の蓋が開けようと悪戦苦闘する有村架純。なかなか開かないふたを手に、誰かにあけてもらおうと、変装して外出する。あてどもなくさまよっていると、柔道着を持った小柄な中学生2人 遠藤(蒼井旬)と沢田(水野哲志)に出会う。
面白い❗️中学生は生の女優さんにあって、ファンです、部屋にはポスターが などと言って気をひこうと嘘をつく。嘘がバレても有村架純は「私なんていつも嘘ついて、いい映画ですから是非見てください と言ってるよ」と白状していた。
長編では
🎬『アニタ』リョン・ロクマン監督/香港/137分
コンペティション部門スペシャル・メンション『アニタ』リョン・ロクマン監督受賞と観客賞 ダブル受賞❗️
1980年〜90年代、音楽・ファッション・映画などで香港のトップスターになったアニタ・ムイ。彼女の40年の生涯を多才なキャストと時代に忠実な衣装で描いた話題作❗️
137分、ほぼ満員の観客が一つになってスクリーンを見つめていた。この一体感は稀な体験だった。一日も早く公開してほしい。この作品を観てから名古屋に帰ったが、ずっと幸せな気持ちが続いた。
🎬『セールス・ガール』ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督/モンゴル/123分
バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル主演女優さんに薬師真珠賞
理系女子のサルウル(バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル)は、顔見知りのクラスメイトに頼まれて、1ヶ月の間、アダルトグッズの店でアルバイトをすることになった。
学校が終わってから夜までバイトしてから、一人で優雅に暮らすロシア人のオーナー・カティア(エンフトール・オィドブジャムツ)の住むマンションに売上金を毎回持参するまでが仕事だった。
気難しいカティアに気に入られたサルウルは、彼女と話すうちに「親の期待に逆らえず自分を抑えている」ことに気づく。
化粧もせず、おしゃれにも関心のないサルウル。こんな子がアダルトショップで働けるかと心配になる。お店には冷やかし半分の客が来たり、これどうやって使うの とか聞かれても、サルウルが表情もなくボーッとしているので客もつまらないみたいだ。
買う人はササっと会計して出ていくので、案外、うってつけのアルバイトかもしれない。
カティアとお付き合いしたりする中で徐々に表情が明るくなって、おしゃべりもおしゃれもそして性のことも無理なく描かれていた。今までのモンゴル映画とは違い、サルウルの自宅の様子、モンゴルの街の風景が目新しく映った。
花開くコリア・アニメーション2022(オンライン)
小粒でもピリリとする映画祭。この年も収穫は多かった。
🎬『海の上の星』チャン・スンウク監督/6分と少し
二人の子どもとお母さん。雨がひどく降ってきた。雨漏りがひどくなり管理人さんに修理をお願いするが、水はどんどん浸水。
流されていく親子、岩の上に取り残されるが……、いつの間にかシロクマの親子に変わっていた。あ、これはシロクマの危機を知らせたかったアニメと気付いた。音楽、アングル、色合いが素晴らしく、最後のSOSの文字も効果的に使われていた。訴える力は大きい。
🎬『乾電池パパ』チョン・スンベ監督/6分20秒
乾電池は家庭のいろんなところで大活躍。子どものおもちゃ、テレビやエアコンのリモコン等々。乾電池パパは人間家族と川にピクニックにいくが雨が降って岩に孤立してしまう。水にぬれてしまった乾電池パパは、一生懸命頑張って光を放ったので、無事救出bされた。
久しぶりに乾電池パパは休暇をもらって家に帰ると小さくてかわいい「乾電池っ子」がわらわらと集まってきて、今日一日の疲れがふっとんでいく乾電池パパだった。手作りの乾電池が温かみがあった。
🎬『May・JEJU・Day』 カン・ヒジン監督/約14分
「済州島虐殺 四・三事件」を実際のフィルムも使い音声は事件を体験した方々で作られている。6月公開の『スープとイデオロギー』(家族の国、ディア・ピョンヤンのヤン・ヨンヒ監督作品)と重なった。
🎬『夜行バス』シェ・ウェンミン監督/台湾/20分
夜中に走る乗り合いバス。そこで若い女性のネックレスが盗まれた。犯人はすぐわかるが、その男をはめようとした陰謀があって……。20分でもウーンと楽しませてくれたホラー!ストーリー展開に無理がなかった。
2022イタリア映画祭(オンラインで)
3年ぶりの東京・大阪2拠点での開催になったが、オンラインで見た。新作は1500円、旧作は1000円。購入後72時間。高いか安いかは映画にもよるが妥当な線だと思う。
🎬『マルクスは待ってくれる』マルコ・ベロッキオ監督/90分
『夜よ、こんにちは』『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女 で知られるマルコ・ベロッキオ監督の半生を描いたドキュメンタリー。
ベロッキオ監督は双子でベロッキオ監督がまず産まれて、双子とはわからず4時間後に弟のカミッロが産まれた。死産と思ってすぐに司祭を呼んで洗礼を受けた(先に見た『小さなからだ』にも通じる)。その後で息を吹き返して教会で正式に洗礼を受けた。
双子で産まれた二人がたどる道は、世界に有名な映画監督、もう一方は親の望む測量士をいやがり体育教師となった。だが弟カミッロは29歳で自死。
ドキュメンタリーは監督の実姉たちの家族、友人、愛人の妹等々が当時をふりかえっている。
🎬『内なる檻』レオナルド・ディ・コスタンツォ監督/117分
閉鎖が決まった刑務所が舞台。各方面の刑務所に振り分けられて明日は引っ越しという時に、ある1グループが行く刑務所が事情があって数日延びたので、12人の受刑者と刑務官15人だけ取り残されてしまった。
食事当番も無くなりケータリンサービスを頼むことにしたが、そのグループにはくせ者もいて、まとめ役になった刑務官・ガエターノ(トニ・コスタンツォ)は押し寄せる難題に平静を装いながら四苦八苦する。
まずいケータリンサービスの食事に、刑務官たちは「この味ならまあまあ食べれないことないなぁ」と言っているのに、受刑者たちは「こんな豚のエサ、食べれるか!」とハンガーストライキを始める。おやおや、受刑者たちの方か口が肥えているようだ。
相対する二組の人間が、その後歩み寄るが、それは書かないでおく。
EUフィルムデーズ2022(オンラインで)
東京、京都、広島の3会場で上映する作品の一部をオンライン配信。無料。オンライン作品を選択してから5日以内。視聴開始後は30時間という縛りはあるが無料は嬉しい。
🎬『海に向かうローラ』ローレント・ミケーリ監督、脚本/ベルギー、フランス/90分
ローラ(ミヤ・ボラルス)は18歳のトランスジェンダーの女の子。彼女が唯一気を許している男友だち・サミールと、シェルターハウスで暮らしている。
ある日、母親が突然亡くなってしまった。父親(ブノワ・マジメル)フィリップは、女装したローラを参列させないように時間をずらして教えた。父親は男の子から女の子になったローラを受け入れることができなかったのだ。
しかし、5週間後に性別適合手術が許可されていたローラは、お金や手術の付き添いを、母親が父親に内緒で約束してくれていたが……。
これはオンラインだけに限定された作品だが、一般公開しても充分話題になる作品。何せ、無理解な父親をブノワ・マジメルが演じている。
この父親は、世間体を重んじる嫌な頑固親父から、少しずつローラを理解していく行程が丁寧に描かれていた。
🎬『リカルド・レイスの死の年』ジョアン・ボテーリョ監督/ポルトガル/132分/日本初上映
医師のリカルド・レイスは友人のフェルナンド・ペソアの訃報を受け、リオデジャネイロから16年ぶりにポルトガルに帰郷した。
芸術性にあふれていて、含蓄のある人生の指針のような台詞がたくさん出てきた。難しいことなど(時代や政治)わからなくても、死んだはずのフェルナンドが幽霊(立派な紳士の姿)で現れて会話したり、美しいメイドと愛し合ったり、左手が動かない令嬢と親しくなったり等々、モノクロで雨ばかり降っていて陰鬱な中でも時間の経つのを忘れて楽しめた。最後に映画の趣向がかわるのも面白いと思った。
★リカルド・レイスとは、 リスボン生まれの詩人フェルナンド・ペソアの別名。
★ 今年生誕100年のノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの同名小説の映画化。
第30回レインボーリール東京レズビアン&ゲイ映画祭
夏の始まりを告げる映画祭。3年ぶりにいつもの青山スパイラルホールに戻ってきた。今まであった全作品見られるパスは無くなったけど、シニア1200円はありがたい。
🎬『フィンランディア』オラシオ・アルカラ監督/スペイン、メキシコ/97分
スペイン人ファッションデザイナーの若い女性マルタは、上司の命令でメキシコのオアハカに行くことになった。民族衣装のデザインの盗用のため市場でリサーチするためだ。
そこで刺繍で生計を立てる「ムシェ」(第三の性)の人々と出会い、差別を受けながらも情熱的に生きる彼らの姿に感化されていく…。
極彩色の画面から目が離せなかった。マルタは上司の命令を無視してムシェの世界に敬意を持ってのめり込んで行くストーリー。
この映像の中で、忘れられないことが二つあった。
台所のまな板にイグワナ❗️生きたまま?かもしれないがたしかにイグワナだった。それとパイプオルガンのシーンでは人力でふいごのようなもので空気を送っていたこと。今の時代にはないものと思い込んでいたので驚いた。
ミッキーの世界の映画撮影地のナンバーワンは『スモーク』のブルックリンだがメキシコのオアハカも同じくらい行きたくなった。
🎬『沖縄カミングアウト物語〜かつきママのハグ×2珍道中!〜』松岡弘明監督/103分
老舗ゲイバー「九州男」の2代目店主・かつきママこと川田美輝さんは、自分らしく生きるために、故郷の沖縄を出たのが20代後半。それから約10年後、両親にゲイであることをカミングアウトした。
そして、今はパートナーのご両親共々親しくお付き合いできるようになった。どうやって分かり合えたのか。故郷の沖縄県那覇市を巡りながら、家族・友人らとカミングアウトした当時を振り返り、今だからこそ言える当時のことを語り合ったドキュメンタリー。
かつきママさんの飽きさせない語り口で笑ったりホロっとさせられたりして観た。特に実の兄に告白した時の話は、 沖縄から上京してきた兄がくる日は仕事が忙しくて、自宅でなくお店「九州男」に来てもらった。お店が終わってからどこかで食事しようと歩いている時、もうわかっていると思って軽くカミングアウトすると、兄はその場でしゃがみ込んで「今までわかってあげれなくてすまない」と大声で泣き出した。その場面を想像するだけで熱くなった。
監督さんを始め、かつきママ、この作品で歌を担当した下地正晃(シンガーソングライター)さんがゲストで登場。司会はアバウトガールズさん。それと下地さんの生歌声で2曲、披露してくださった。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 2022
毎年一番暑いところ名所の川口市で開催される映画祭。暑い川口で熱い映画を観なくては……と張り切っていたがやっぱりオンラインにした。ラインナップは映画祭中でも折り紙つき。
🎬『サカナ島胃袋三腸目』若林萌監督/17分/日本初上映
豚のとん吉は、魚の腹の中で、さかな子に出会い、二人はおたまじゃくしの坊やを授かる。ある日、漂着した果実をとん吉と坊やが口にすることで、彼らの暮らしは一変して……。
ユニークな題名、ストーリー、短編の命である起承転結の構成が良かった。豚、魚、両生類のオタマジャクシの三様が想い合いながら「住みにくい場所」で生活する……そこには人間世界への示唆が含まれていた。
🎬『コメディ・クィーン』サナ・レンケン監督/スウェーデン/94分/日本初上映
病と心の病で最愛の母親を亡くした13歳の少女サーシャ(シーグリット・ヨンソン)は、悲しみを乗り越えるために「ママのように絶対ならないためのサバイバル・リスト 4つの誓い」を立てた。
・いつも私を見てママにそっくりね と言われたくないので、坊主頭にする。
・読書ばかりしていたが幸せにならなかったママ、絶対本を読まない。
・子育てでママを追い詰めたから 何も育てない。
・悲しんでいるパパを笑わせるために「コメディ・クィーン」になる。そんな誓いを実行するが……。
少女の行動も周りの人の行動も丁寧に描かれていた。サーシャの「誓い」は自分の中だけで誰にも秘密で実行するので、いろんなところで摩擦が起きてくる。それでも最後まで秘密は明かさない。
監督さんの前作が『マイ スキニー シスター』 2015年の作品だが、これも8歳ぐらいの少女が主役だった。少女の時の気持ちを忘れていない女性監督だ。
多作ではないようだが、また何年後かに素晴らしい映画を作っていただきたい。
あいち国際女性映画祭2022
ミッキー地元愛知県の映画祭。世界各国・地域の女性監督による作品、女性に注目した作品を集めた、国内唯一の国際女性映画祭。
🎬『おしらさま』嵯峨孝子監督/12分
これは見事な映像だった。サンドアートですべて手で描かれてシーンが変わると手でサーッと消して、次のシーンを手早く描く…技術も内容(東北の民信仰に基づく民話)も馬頭琴の音色も文句なし!
🎬『北のともしび』東志津監督、撮影/108分
ドイツ・ハンブルクの郊外にナチスによって建てられたノイエンガンメ強制収容所がある。ここには、終戦までにユダヤ人や捕虜、政治犯など約10万人もの人々が収容されたいた。
1944年11月。この収容所にアウシュビッツ強制収容所から20人のユダヤ人の子どもたちが「結核の人体実験」の目的で送られて来た。実験によって衰弱した子どもたちは、ドイツの敗戦が色濃くなった1945年4月20日の夜、証拠隠滅のためナチスによって殺害された。
ナチスの人体実験で幼い命を犠牲にした「悲劇」に、向き合い続ける人びとの姿を描いたドキュメンタリー。
子どもを使って人体実験までしていたとは……一人ひとりの写真がクローズアップで映ったが可愛らしい子たちばかりだった。よくもこんな子らを結核菌を植え付けたり、終いには命を奪って証拠隠滅を図ったり、到底人間のやることではない。暗い気持ちになった。
ナレーションがこれまた変な思い入れがあって映画の品格を落としていた。音楽の選曲、作曲、ピアノの音色の良さが際立っていた。
🎬『SECRET NAME』オーレリア・ジョージズ監督、脚本/フランス/112分
時は第一次世界戦争下のフランス。身寄りもない若い女性ネリー(リナ・クードリ)は貧しさのために身を売ることもあった。亡くなった祖父からもらった本だけが宝物だった。その本のおかげで赤十字に誘われて戦地で救護活動をするようになった。
そんな彼女の前に、ローズ(モード・ワイラー)が現れた。ローズは良家のお嬢様で天涯孤独になり、知り合いを頼って行く途中だった。戦況が悪化して宿舎に留まったローズはネリーと歳も近いこともあって身の上を話すようになった。だがドイツ軍の攻撃でローズは死んでしまう。
ネリーはローズになりすましてローズが頼って行こうとした裕福な家を訪ねていく。
完成度が高い作品。スリリングな内容なので公開もあり得ると感じた。
ネリーのとっさの行動は命からがらの戦況下で生きていく娘にとって責めることはできない。いろんなことを二人して話していたので、金持ちのお年寄りエレオノール夫人(サビーヌ・アゼマ)にも疑られず、すんなりと「読書係」となった。家事は下女がやってくれて、彼女の個室が用意され、図書室も出入り自由。
彼女の遠慮がちでおとなしい態度、本を読む声の美しさなどで大層夫人に気に入られていく。
だが話はこれから。ローズは気を失っていただけで生きていたのだ❗️この女は偽者と言えば言うほど頭がおかしいと思われて精神病院に‥‥ちょっとローズが可哀想なお話。もし公開されたらご覧いただきたい。
第35回東京国際映画祭2022
この映画祭で1年間の映画祭巡りは終わる。東京の茅場町で8日間泊まって1日約4本を観た。それと映友さんに教えてもらった、安くて美味しーいお店やゆっくり休める場所など銀座界隈が少し短かになった。六本木から銀座界隈に映画祭会場が移ったが、銀座の魅力も知ることができた。
マスコミ関係の映画館も大きくて満員で観られないということはなくてぎりぎりでも座れたのも嬉しい。
🎬『エゴイスト』松永大司監督、脚本/120分/コンペティション部門/2月10日公開❗️
エッセイスト・高山真の自伝的小説「エゴイスト」を、「トイレのピエタ」の松永大司監督が映画化。
14歳の時に母を亡くした浩輔(鈴木亮平)は、田舎町でゲイであることを押し隠して過ごしていた。今は東京でファッション誌の編集やカメラマンをして自由気ままなマンション暮らしをしている。母の命日だけは父(柄本明)がいる実家に帰っていた。
そんなある日、病気の母(阿川佐和子)を抱えて働くパーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)と出会う。浩輔と龍太は惹かれ合い、龍太の実家に行って母とも親しくなって行くが…。
エッセイスト・高山真の自伝的小説「エゴイスト」を『トイレのピエタ』の松永大司監督が映画化。これ、日本映画中の一番の作品。主演の鈴木亮平さんの演技が光っていて、死相漂う阿川のお顔のメイキャップも良かった。
🎬『あつい胸さわぎ』まつむらしんご監督/93分/Nippon Cinema Now部門/1月27日公開❗️
とある港町で暮らす千夏(吉田 美月喜)と母・昭子(常盤 貴子)は二人仲良く平穏に暮らした。
念願の大学に合格した千夏は創作課題「初恋の思い出」の事で頭を悩ませていた。そんな時、初恋の相手である川柳光輝(奥平 大兼)と再会したことで浮き立つ想いを感じていた。
一方、母の昭子も職場に転任してきた木村 (三浦 誠己)の人柄に惹かれはじめていて、同僚の花内 透子(前田 敦子)にからかわれていた。
そんなある日、千夏に乳がん検診の再検査の通知がきて……。
胸も、恋で高なるのと乳がんでは、天と地の差。こんな可愛い女の子が可哀想……。
女の子の病がテーマなら山(?)ほどある。正直、期待せずに観たが、女3人(常盤貴子、前田敦子、吉田美月喜)の相性がとっても良かった。脚本が高橋泉さんと知ってなるほどと思った。
最後に画面と合わせて流れる歌も作品にピッタリ。監督さんはセンスがいい❗️
🎬『セカンド・チャンス』ラミン・バーラニ監督/アメリカ/89分/ワールド・フォーカス部門
かつてはピザ店を経営していたが火災で店じまい。以前、ピザを配達時に強盗に銃を向けられて軽い傷を負った経験から考案した防弾チョッキの製造で大成功した男を追ったドキュメンタリー。
自社製品を宣伝するために自ら防弾チョッキをつけて銃を発砲。その実演や実演フィルムを携えてアメリカ国中をセールスしてまわる。当時の大統領から感謝状が贈られる。
始めは「いやいや、すごい男だ!アメリカンドリームそのものだ!」と驚きながら見入った。だがそれは始めだけで、後は……。これは公開必至?だろうから、あまり詳しく書けないが、この男の半分以上は嘘で固めた「成功物語」
★監督さんの前作は2014年公開でアンドリュー・ガーフィールド主演『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』新作も「操る男」が主演だ。
🎬『ザ・ビースト』ロドリゴ・ソロゴイェン監督/スペイン、フランス/138分/コンペティション部門
スペインのガリシア地方の山間の村に、自然農法をしたいためにこの地に移住したフランス人中年夫婦のアントワーヌとオルガ(ドウニ・メノーシュとマリーナ・フォイス)がいた。夫婦は毎日、喜びを持って農作業に明け暮れていた。
だが貧困の村人たちは、風力発電の地元誘致にやっきになっていて、それに反対する夫婦に暴力的な制裁をするようになる。特にすぐ隣の独身のアンタ兄弟の狂暴さには毎日の暮らしも脅かされて……。
見ごたえあり!山奥の田舎で「すぐ隣」なら歩いて10分くらい(もっとか?)という感覚だが、このお隣は庭続きでほんの2、3分。あまりの酷さにアントワーヌは小型ビデオカメラを買って応戦するようになる。
これ以上書けないが、ミッキーの周りの方々が観ていなかったので思いがけない「拾いもの」をした感じで嬉しくなった。ご夫婦像としてもミッキーの好み!
★監督さんの前作は『おもかげ』 元夫と旅行中の幼い息子から電話を受けた母親は、息子が一人で海辺に取り残されていることを知る。10年後、息子が失踪した海辺のレストランで働く母親は息子によく似たフランス人の少年と出会う。これも好きな作品だった。
2023年01月08日
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