Netflixベストテン(順位なし)
Netflix『我々の父親』ルーシー・ジュルダン監督/アメリカ/97分
精子提供によって生まれたジャコバ・バラードさんは、一人っ子で寂しく兄弟や姉妹が欲しいと思っていた。彼女はDNA検査キットを調べてみると、自分に異母兄弟がいることを知り、嬉しくなったが、1人の精子から3人までという規則に反してなんと7人も出てきた。
お互いの存在を知った異母兄弟たちは、自分たちの親の不妊治療を行った医者が、同意はおろか、事実を知らせることもなく「自らの精子で受精を行っていた」ということがわかって……。
この事件のことを知っていたので興味深く見せてもらった。最後には70人以上の方が確実に医者の遺伝子を持っていて、地域としては近いところに住む人たちもいる。知らずに結婚ということもあり得るので、結婚の時は「両親」に確かめないといけないとジャコバさんが言っていた。
最後にこの有名医師以外に、自分の精液を使った医師が思いのほか多かったのには驚いた。この事件は子だけじゃなく孫、曾孫の世代にも近親結婚が危ぶまれるという大きな問題になっていくと思うと恐ろしくなった。
Netflix『キラーナース:その狂気を追跡する』ティム・トラヴァース・ホーキンズ監督/イギリス/94分
アメリカ・ニュージャージー州にある、サマセット・メディカル・センターに、チャールズ・カレンはICUに勤務し、経験豊富な看護師として信頼を置かれる存在だった。しかし、彼はアメリカ北東部の複数の医療施設で多くの患者を殺害してきた連続殺人鬼であった。彼を内部告発した同僚の看護師や捜査にあたった刑事のインタビュー、そしてチャールズ自身の肉声を交え、彼が有罪判決を受けるまでをドキュメントしている。
ジェスカ・チャスティン、エディ・レッドメイン共演『グッドナース』と、その実際の事件を描いたドキュメンタリー映画『キラーナース:その狂気を追跡する』の両方が、Netflixでやっている。
どちらも見応えあり。一体何人の人を死亡させたのかわからないが、大病院の隠蔽体質がなくならない限り、どこの国で起こっても不思議ではない。
ドキュメンタリーの最初と流れる歌は♪マイ・オンリー・サンシャインで長調の曲が短調に「移旋」されていた。
Netflix『逃亡者 カルロス・ゴーン 数奇な人生』ルーシー・ブラクスタッド監督/アメリカ/95分
日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏の半生を描くドキュメンタリー。
これ、大きなケースに入れられて関空のセキュリティーを通過するのも監視カメラの映像が見られる。あの時中身を赤外線で……となる時に貴重な楽器でそれはできないと言ってパスできた時、なぜか「あー、良かった」と思った。
東京高級マンションで家政婦をしていた女性が「日本脱出がかなったというニュースに涙ながらに喜んだ」と語っていた。
日産の危機管理の無能さに驚くと共に、これが本当のゴーン氏の姿か?と疑問が湧き上がって来た。
Netflix『ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語』ライアン・マーフィー監督、脚本/アメリカ/全10話
実際に存在した連続殺人鬼で、アメリカ・ミルウォーキーの食人鬼の実話ドラマシリーズ。
ジェフリー・ダーマー(エヴァン・ピーターズ)は、1978年〜1991年で17人を殺害。それだけではなく死体を解体して食べるという殺人事件。
加害者家族、被害者家族、ジェフリーの隣室の女性、警察、人種差別が絡み合っていて、息も付かずに半日かけて一気見❗️
ジェフリー・ダーマ―(エヴァン・ピーターズ 上手い❗️)
17人の男性を殺害した殺人鬼。父母に見放された孤独感にさいなまれ酒浸りの毎日。大きな家に1人住まい。たまに祖母の家で過ごしていた。ヒッチハイカーの青年を殺したのが発端となって有色人種の同性愛者を自宅に招き入れて……。
父親ライオネル・ダーマー(リチャード・ジェンキンス❗️)
妻ジョイスの薬物依存に悩み不仲。ジェフが事件を起こした責任を感じ、彼と向き合おうとするが。
ジョイス・ダーマー(ペネロ―プ・アン・ミラー)
ジェフの母親。ジェフリーの妊娠中も大量の薬物を摂取していた。ジェフが18歳の時に弟デヴィッドを連れて家を出てしまう。
シャリ・ダーマー(モリー・リングウォルド)
ライオネルの再婚相手。事件を起こした後でもジェフに真摯に接し、ライオネルを支えていた。この方がいなければどうなっていたか……。
グレンダ・クリーブランド(ニーシー・ナッシュ)
ジェフが暮らすアパートの隣に住む黒人女性。ジェフの部屋から換気口をつたってくる悪臭と騒音、叫び声に悩み、何度も何度も警察に通報するが相手にされない。
上記が主な出演だが監督さんの俳優選びは文句なし❗️監督さんは2010年公開『食べて、祈って、恋をして』の方だが趣きが違いすぎるから何回も確かめた。
Netflix『グレートウォーター: ヴロツワフの大洪水』ジャン・ホロウベック、バルトウォミェイ・イグナチョク監督/ポーランド/全6話/2022年
1997年7月。ポーランドのヴロツワフは大洪水の危機にさらされていたが、高名な科学者や地方都市の職員たちはその危険性にはまだ気付いていなかった。野心家の事務官マルチャク (トマシュ・シューハルト) は★水文学者のヤシュミナ・トレメ (アグニェシュカ・ジュラウスカ) をオランダから呼び寄せる。
つらい過去を背負う彼女は、何としても街を救おうと危険性を訴えるが……。
このところ、世界中で起こっている大洪水。日頃はシリーズ物は見ないが見始めから(昼寝したが)一気に見た。惨状はニュース映像から取ったものではなくて実際に水害状況を作ったように見えた。すごい作品だった。
そんな中にトレメの過去があらわになってきて、その点も上手く描けていた。
トレメの実母はヴロツワフに住んでいて、すごいおデブ「水がここまできても逃げない、アパートのドアから出られない」と言って「必ず火葬にしてくれ、それだけが願いだ。お金はその引き出しに入っている」と言ってトレメを困らせていた。あまりのおデブで笑ってしまった。
トレメとお母さん、トレメの元夫マルチェクと娘、郊外の酪農家など人間ドラマとしても見ごたえがある作品。
★水文学とは地球の水を扱う科学、その発生、循環、分布、その物理的および生物的環境との作用を扱う科学。
Netflix『ラスト・シフト』アンドリュー・コーン監督、脚本/アメリカ/90分/2020年
ミシガン州の田舎にあるファストフード店。38年間、誇りを持って夜間専門で働き、もうすぐ退職する高齢の白人男性スタンリー(リチャード・ジェンキンス)と、彼の仕事の後を引き継ぐ口が達者なライター志望の黒人青年ジェボン(シェーン・ポール・マッギー)との関係を描いたドラマ。
『扉をたたく人』『シェイプ・オブ・ウォーター』のリチャード・ジェンキンスさん主演と知って早速見た。ちょうどジェンキンスさんも75歳で体の動かし方も表情もミッキーとちょっと似ていて親近感を覚えた。
夜間のファーストフードの責任者として38年間、真面目に働いて、最後に経営者から「気持ちだけ」と言って50ドルのカードをもらっただけにはびっくり。退職金は?年金は?と聞きたくなった。
幕切れは「2人は世代は違うが理解し合う仲」にはならず、意外と冷たい間柄で終わってしまうが、それが「現実」というものだろうと感じた。
Netflix『ビューティフル・ライフ −もう二度と離さない−』アンドリュー・ラウ監督/中国、香港/124分/2011年
香港の不動産会社で働いている女性リー(スー・チー)は金持ちの顧客に物件を買わせようと夜の酒場で接待していた。そのお店に警察官のファン・ジェンドン(リウ・イェ❗️)が同僚と来ていて、酔っぱらったリーをひょんなことから介抱することになった。
数日後に偶然に会った2人だったが、酔っぱらっていたリーはファン・ジェンドンに覚えがなく、笑顔でじろじろ見る彼に嫌な顔をするが、あの時の人と思い出した。それがきっかけで何か困った時や、寂しい時に「ファン・ジェーンドーン〜」と電話で呼びかける間柄になって……。
リウ・イエさんはこの頃見かけないし、スー・チーさんは可愛いし、警察上司にアンソニー・ウォンだ。これは一般公開されたのだろうか。見た記憶がない。
ファン・ジェンドーンは対面恐怖症の弟と2人暮らし。リーは派手な雰囲気の美人だが、誠意のない不倫の男がいたり、両親、兄弟の生活がかかっていたりで苦労をしている。先に進むにつれて、一つ、二つと苦労の種が出てきて、可哀想になってしまった。
Netflix『明日の恋の見つけかた』ノーブル・ジョーンズ監督、脚本、撮影/アメリカ/94分
お年寄り同士の恋物語。男(ジョン・リスゴー)はいつ大災害が来ても困らないように離れに食料から電源、水などの備蓄に月々の年金をすべてかけている。家の中は整然としていてゴミひとつない生活をしている。
いつも行くスーパーマーケットでも品物を選んで買う。そこで自分と同じ品物を買う初老の女性(プライス・ダナー)に一目惚れ。
他人を気軽に寄せ付けない彼女だったが次第に仲良くおしゃべりや食事をするようになったが、招き入れられた彼女の家は彼とは正反対で……。
意外や拾い物! でもネットでは今日(7月4日限り)まで。どこかでやっていたら是非ともごらんいただきたい。7月3日に大須シネマで観た『草原の実験』にリンクする驚愕の映像が出てきた。
Netflix『愛しい人から最後の手紙』オーガスティン・フリッゼル監督/イギリス/110分/2021年
ジャーナリストの女性エリー・ハワース(フェリシティ・ジョーンズ)は、1965年に書かれたラブレターの束を偶然見つける。
そこには実業家の妻ジェニファー・スターリング (シェイリーン・ウッドリー) と、彼女の夫を取材する経済ジャーナリストのアンソニー・オヘア(カラム・ターナー)との許されざる恋がつづられていて、駆け落ちの話まで綴られていた。
二人のロマンスに夢中になった彼女はその結末を知るため、文書保管係(ナバーン・リズワン)の助けを借りて調査を始める。やがて、エリー自身も思いがけない恋に落ちていく。
オーガスティン・フリッゼル監督の作品『Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック』は第1作目で2018年に製作されていて、Netflixの作品は第2作品目。1作目は瑞々しい若い子たちが主役だが、2作目は大人の恋(不倫だけど)だ。
それも現代と50年以上も前の二つの恋が描かれている。昔は手紙、今はメールで恋の模様が全然違うが、満足いく恋愛映画だった。本当に夢見た幸せが70歳過ぎてから成就するなんて、美しく老いなきゃ話にもならない。もう完全に手遅れなミッキーだけど……。
Netflix『コップ・ムービー』アロンソ・ルイスパラシオ監督、脚本/メキシコ/107分/2021年
これ、珍しい構成の「ドキュメンタリー」。メキシコの警官たちの行動を追っている。
最初は女警官が駆けつけた先は妊婦さんが苦しんでいる家で「パトカーを呼んだわけではない、救急車を呼んだんだ」と家の主に急かされて、無線でパトカーを要請するが「ここは救急車の管轄外だから○○に電話しろ」と言われる。もう出産が始まりそうなので、家に入りピニール手袋をして「私は予備知識がないけど出産させるけどいいですか」と承諾をとってなんとか無事に赤ん坊を産ませた。
警官のドキュメンタリーでも、ここまでバッチリ出産シーン撮らすか?とちょっと疑問に思ったが、ミッキーはドキュメンタリーと信じて見ていたから、疑問はすぐに消えた。
しかし、違う場面で、警官3人(男2人、女1人)がパトカーで警ら中に、ちょっとスピード出しすぎの車を見て「腹が減ったから食事代を調達してくる」と言って、パトカーを降りて車を止まらせて、何とか言ってお金を出させて「これでは足りない」とやり取りしていたら、車の男が発泡。撃たれて怪我をした警官を救急車も呼ばずパトカーで直接病院に運んでいく。
そこでお金をせびるとこをメキシコ警官ドキュメンタリーとして出すか?と疑問は大きくなった。現実とフィクションを行きつ戻りつして描かれていた。そう、わかって再度みると上手く構成された作品。
2023年01月07日
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