2022年07月27日
オンラインで SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022(7)短編作品より『清風除来』『喰之女』『サカナ島胃袋三腸目』
🎬『清風除来』慮明慧監督/日本/26分/世界初上映
事業に成功した親の都合や見栄で、中国・杭州の海辺に建つ超豪華なマンションに越して来た少女ズイ。一人娘のズイには2部屋続き(ベッドルームと勉強部屋)のスペースがあるほど広く、内装も贅を尽くしたものだった。
親戚、知人が集まる中で、どうしても反抗的な態度をとってしまうズイを見かねて、さりげなく外に連れ出してくれた父の元同僚の中年女性・フィンがいた。
フィンが来る前に、集まった女たちから、彼女の病気のこと、医療を拒否していること、性格のことなどをきいていたズイだが、フィンと話すうちに……。
フィンが招かざる客と知っているズイ。父母の招いたお客の「儲け話」「自慢話」「うわべだけの愛想笑い」から救ってくれたフィンから、写真の撮り方を優しく教えてもらう。ただそれだけの短い思い出を、開発された場所に建つマンション、自然の残った海辺をバックに丁寧に描かれていた。
背が高く顔立ちも都会風なズイを演じる少女に、弱者に対する思いやりとともに、存在自体に富の象徴にも感じた。
短編ではこれが一番しっくり来た。
🎬『喰之女』中西舞監督/台湾、日本/22分/日本初上映
女優として成功することに全てを賭けているシューラン(リュー・ダイイン)は、女優仲間のミミ(ハン・ニン)の衰えぬ美貌に驚愕。そんなミミから招待制の晩餐会に誘われる。ミミの美貌の秘密がそこでの食事に隠されていると確信したシューランは……。
気持ち悪い映像もあるサスペンス短編。美しさに執念を持ち続ける女たちの気持ちはわかるつもりだが、「あれ」の生食いはご勘弁!
🎬『サカナ島胃袋三腸目』若林萌監督/17分/日本初上映
豚のとん吉は、魚の腹の中で、さかな子に出会い、二人はおたまじゃくしの坊やを授かる。ある日、漂着した果実をとん吉と坊やが口にすることで、彼らの暮らしは一変して……。
ユニークな題名、ストーリー、短編の命である起承転結の構成が良かった。豚、魚、両生類のオタマジャクシの三様が想い合いながら「住みにくい場所」で生活する……そこには人間世界への示唆が含まれていた。
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