
🎬『Journey/Journey』霧生笙吾監督/60分/世界初上映
身体から「意識」を解放できる近未来の世界。宇宙飛行士の夢を諦めて、地上のとある組織で清掃作業をして暮らす慶次は、心の病を持つピアノが上手な妻と暮らしている。
そんなある日、月に行ったきり音信不通の父親から「石」が届いた。役所の窓口で無造作に渡された石は隕石のように見えたが「父の意識化」されたものとだけ教えてくれた。そこに組織が新たな宇宙開発する噂を聞いて心がざわつくが……。
60分なら短いとオンラインで一番最初に飛び付いて見た。一言でいうなら「難解」だ。60分が異常に長く感じてしまった。
ただ、なるほどと思う台詞が一つあった。妻の静は「演奏は音符をなぞるだけ、そこからはみ出ることはできない」という言葉。その台詞を「人生は運命をなぞるだけ、そこからははみ出せない」に置き換えてみた。少しこの作品を理解した。
無機質な室内、殺伐とした野外、言葉少ない台詞で「見る人の理解」を寄せ付けないところに、独特な感性を持っている監督さんではないかと感じた瞬間があった。
🎬『彼女の生きる道 Her Way』セシル・デュクロック監督/フランス/95分/日本初上映
シングルマザーのマリー(ロール・カラミー)は、公娼の仕事に誇りを持っていた。一人息子のアドリアン(ニッシム・レナード)が学校を退学になり、次の学校を探していた。
料理の好きなアドリアンにトップクラスの調理師学校に入学のチャンスを手に入れたが、私学のため学費が高く、もっと収入を増やそうときわどいサービスをするお店に勤め出すマリーだった。
娼婦たちが何か権利を主張してデモ行進している。フランスは18歳以上なら売春自体は合法。売春斡旋や街婦は違法らしい。そんな職業だが実の両親も知っている。日本ではちょっと考えにくい設定だが、マリーの言うことや行動に迷いがないし、息子に無償の愛を注ぐので、日本人独自の目で批判することはできなかった。