
🎬『遠地』パク・グニョン監督/韓国/119分
幼い姪のスリを育てながら田舎の牧場で静かに羊や牛を世話しているジヌのもとに、大学時代の同性の恋人が都会に疲れてここで一緒暮らしたいとやってきた。その後まもなくして、ジヌの双子の妹(姪の母親)が、子を引き取りたいとこの地を訪れた。
彼らの来たことによって生活が一変したジヌは……。
これ、題名が気に入って期待していたが、ちょっと物足りなく感じた。
ソウルで美術を専攻したジヌは5年前にこの地に赤ん坊の姪と一緒に越してきて、文学を専攻していた男友だちとは互いに愛し合っていた。もちろんゲイであることはこの地では隠したいと思っていた。
だが、田舎にくればよほど注意しなければ、いろんな噂がたつ。本人たちは離れ島に行ったり、家でスリがいない時に愛し合うが、噂がたった原因は、ふたりが話しながら歩いていて、手を相手の肩にかけて、ちょっと顔にほほずりする瞬間を農場主に見られたのが発端。でも良識のある農場主は黙っていた。
田舎なら「ソウルから来たふたり」だけでも噂の種だ。道を歩く様子も2人の会話の雰囲気も都会より百倍気をつけて行動すべきだ。
さて一方の、双子の妹は数ヶ月赤ん坊を預かってほしいと行って5年間、音信不通、行方不明……、飛んでもないことだが、ちゃらんぽらんの女か?と思うが、そうでもなくけっこう真面目で今は仕事も成功している(と、いうことはもっといい加減な感じの役でもよかったかな)。ジヌの男友だちに居どころを聞いて訪ねてきたわけだ。
ジヌは友だちに「お前が私の居どころを教えたのか、いらんことを教えて!お前が来てからろくなことはない」と言うと「妹さんに秘密にしておく理由はないだろ」と反論する。
そのことで友だちは去り、スリを妹に戻し、ジヌはまたどこか遠い地に旅立つが、遠い地でどう生きていくか、遠い地に「希望」があるのか……
ミッキーならさらけ出して何もかも承知の「この場所」で農作業を黙々とこなして生きて行くがなぁと思った。(ストーリーの半分は書いてしまった。すみません)
★技術的に「音」の処理に未熟なところがあった。(何でもない時に、人の息の音が大きかったり、物を置く音が大きかったりした)
🎬『フィンランディア』オラシオ・アルカラ監督/スペイン、メキシコ/97分
スペイン人ファッションデザイナーの若い女性マルタは、上司の命令でメキシコのオアハカに行くことになった。民族衣装のデザインの盗用のため市場でリサーチするためだ。
そこで刺繍で生計を立てる「ムシェ」(第三の性)の人々と出会い、差別を受けながらも情熱的に生きる彼らの姿に感化されていく…。
極彩色の画面から目が離せなかった。マルタは上司の命令を無視してムシェの世界に敬意を持ってのめり込んで行くストーリー。
この映像の中で、忘れられないことが二つあった。
台所のまな板にイグワナ❗️生きたまま?かもしれないがたしかにイグワナだった。それとパイプオルガンのシーンでは人力でふいごのようなもので空気を送っていたこと。今の時代にはないものと思い込んでいたので驚いた。
ミッキーの世界の映画撮影地のナンバーワンは『スモーク』のブルックリンだがメキシコのオアハカも同じくらい行きたくなった。