🎬『親愛なる同志たちへ』アンドレイ・コンチャロフスキー監督、脚本/ロシア/121分
1962年6月。フルシチョフ政権下のソ連で物価高騰と食糧不足が深刻になっていた。共産党市政委員会のメンバーであるリューダ(ユリア・ビソツカヤ)は、国民が貧しい生活の中でも食料などが手に入れることができ、年老いた父親と娘スヴェッカ(ユリア・ビソツカヤ)の3人家族は穏やかに暮らし続けていた。
そんな中、ソ連南西部ノボチェルカッスクの機関車工場で大規模なストライキが起こった。困窮にあえぐ労働者たちが物価の高騰や給与カットに抗議のストライキで、この問題を重大視したモスクワのフルシチョフ政権は、スト鎮静化と情報遮断のために高官を現地に派遣する。
街の中心部に集まった約5000人のデモ隊や市民を狙った無差別銃撃事件が発生。リューダは、愛娘スヴェッカの行方が分からず、群衆に巻き込まれながら広場を駆けずり回る。
1986年に黒澤明が企画・脚本化した『暴走機関車』のロシアの巨匠アンドレイ・コンチャロフスキーの作品。
「ノボチェルカッスク虐殺事件」はソ連崩壊後の1992年までの30年間、ー隠蔽された民衆弾圧事件を題材にした社会派サスペンス。
製作されたのが2020年。約60年前とはいえ、ロシアの恥部を描いていて監督さんは大丈夫だろうかと心配。時代がフルシチョフの時代だからよかったのか。しかしロシアはその時代も今も政治の根本の「やり方」は変わっていないようだ。
今、ロシア映画なんか観たくない、と言われそうだが、今だからこそ観ていただきたいと思う。
★ 第77回ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞。
★これもモノクロだったが、『カモン カモン』『パリ13区』とは違う「昔風」で60年前の空気感を的確に現していた。
2022年04月09日
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