イラン南西部にある古都・シラーズに住んでいた看板職人のラヒム(アミル・ジャディディ)は、借金を返せなかった罪で服役していた。そのせいで妻とは離婚した苦い経験があった。
模範囚のラヒムは2日間の釈放が認められた。借金の貸し主は元妻の兄で、和解を持ちかけて訴えを取り下げてもらおうと思っていた。
彼には借金返済のもくろみがあって……。

『別離』『セールスマン』で二度もアカデミー賞外国語映画賞を獲得したイランの至宝(でもお年は50歳ぐらいでお若い!)監督。
借金を返せば釈放となるが、お金はラヒムの婚約者ファルコンデ(サハル・ゴルデュースト)が数日前に偶然拾ったバッグに金貨が17枚入っていたからだ。それでなんとか許してもらおうと思ったが話し合いは物別れになって、後悔の念にもかられるラヒム。
マスコミにあおられて世間から英雄扱いされたが何かの拍子で罪人扱いに変わった作品『リチャード・ジュエル』(クリント・イーストウッド監督)を思い出すが、このイラン映画は隠していた嘘も、イラン社会独特の要素も含まれていて「複雑」になっている。
皮肉なものでラヒムに良心がなければこんなことにはならず、万事うまくいったのに……と、邪悪なミッキーは残念?でならない。吃音の幼い息子がかわいそうでならなかった。