🎬『今はちょっと、ついてないだけ』柴山健次監督、脚本、編集/4月8日より新宿ピカデリー、名古屋ミッドランドスクエアシネマ他にて全国順次ロードショー公開
かつては秘境を旅するテレビ番組でネイチャリング・フォトグラファーとして活躍していた立花浩樹(玉山鉄二)は、バブル崩壊と事務所の社長の借金を背負わされて15年間を必死に働いて、借金を払い終えた立花は40代になっていた。
そんなある日、母親の友人で介護施設にいる人から写真を撮ってほしいと頼まれた立花は、撮影を通して、忘れていた写真を撮る喜びを再び感じて、もう一度やり直そうと決心する。
彼はとあるシェアハウスで生活をスタートさせるが、そこで出会った人は立花と同じように人生に問題を抱えた人たちだった。
ミッキーの好みの作品ではないが、この作中に出てくる「コーヒーを炒れる」シーンにしびれた。その湯気から本当にコーヒーの香りが立ち上っているようで、カメラの位置も良かった。オンライン試写だったので3回も抜きだしてみたほどだ。
数人の「ちょっとついていない」人たちは、とても「不幸」に苛まれているのではなくて「こんなはずじゃなかったのに」の人生。世の中にそう思っている人はたくさ〜んいるはず。
でも「今」そうだからといって映画のように、新しく知った人たちと目的を同じくして人生を切り開いいていけないのが現実だ。だから「夢物語」かと思って見ていたら、一つ、意外な発見があった。
メイクのお仕事に夢をかける若い女性が、街角で宗教勧誘(はじめはそうとはわからないが)を受けて喫茶店に入り話を聞いてもらって、いい気分になったところで「あなたにはあなたの気づかない明るい未来があると感じるから、私よりもっと力のある先生を紹介します」と言われて、彼女はびっくりして「時間がない」と断って店を出た。
まあ、どこにでもある勧誘話だが、しばらくして「あの話してくれた中にも、真実があったような気がする」という台詞があった。台詞でそう言わせる監督さんの「誰ひとりとして無視できる人はいない」という優しい気持ちがあらわれていたように感じた。
2022年03月23日
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