2022年03月16日

第17回大阪アジアン映画祭(5)『柳川』『徘徊年代』

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🎬『柳川』チャン・リュル監督、脚本/中国 、日本、韓国/112分/日本初上映

自分が不治の病であることを知った中年男・ドン(チャン・ルーイー)は、しばらく会っていなかった兄・チュン(シン・バイチン)を誘い、日本の柳川へ行くことにした。柳川は北京語で「リウチュアン」と言って。兄弟が青春時代に愛した女性「柳川(リウ・チュアン)」と同じだった。

その女性は20年ほど前にチュンの恋人だったが、ある日突然姿を消してしまった。今はその柳川で暮らしていて、理由を知りたくて、チュアン(ニー・ニー)に会いに行くのだ。

『キムチを売る女』『豆満江』のチャン・リュル監督がオープニング作品。

日本の柳川と言われてもどこにあるかわからないミッキーだが「柳川鍋」は知っている。調べてみたら柳川は福岡県にあって、柳川鍋の発祥地でもあるらしい。町には堀割(地面を掘ってつくった水路)がいくつもあって郷愁があるのんびりとした町の風情があった。

そんな町のライブハウスでチュアンは静かな声で歌っている。ムードのある歌う方で客は数人だが熱心に聴いている。そんな中に兄弟は知らせもせずにお店に入っていくが、歌い終わったチュアンは昨日まで会ってたように2人の席につく。

何もかもチャン・リュル監督の世界にどっぷりはまり込んで、柳川の飲み屋(中野良子さんが女将)や宿(池松壮亮が屋敷の一部を旅館にしている)に同行させてもらった気分になった。

もちろん、兄弟とチュアンの話はちょっと複雑だが、「柳川時間」で真実が明かされていくテンポは心地良かった。

🎬『徘徊年代』チャン・タンユエン監督/台湾/148分

結婚斡旋業者の仲介で台湾の地方都市に嫁にきたベトナム人女性ヴァン・トゥエ(アニー・グエン)は姑(チェン・シューファン❗️)から日々監視されていて、頼りのない夫と親密に話すこともなかった。

たまの息抜きは電話で台湾に来ている同郷の友人とおしゃべりであったが、無駄遣いと言われてしまう。街で働きたいと言っても「その前にやるべきことがあるでしょう」と暗黙に子作りをせかされる。

そんなある日、仕事のトラブルで情緒不安定となった夫に暴力を振るわれたトゥエは、家を出て女性保護シェルターに身を寄せる。そして夫との離婚を決意したトゥエは、台湾での自立を目指すが……。

嫁の行動に目を光らせている姑さんに名優のチェン・シューファン。ほとんど大写しなしでも、お声でわかった。彼女は数年後に事業に成功したトゥエと出会うが昔いた嫁とは分からず「うちに独身の39歳の美男子がいるがあんた、良かったら来ないか」などと声をかけていた。

★1990年代の台湾中南部では深刻な嫁不足になって、ベトナムやインドネシアからの外国人妻を積極的に受け入れていた。その嫁たちを「新移民」と呼ばれていた。
★チャン・タンユエン監督はこの作品が初長編デビュー。



posted by ミッキー at 01:33| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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