2022年03月14日
第17回大阪アジアン映画祭(3)『ひかりのどけき』『遠くへ,もっと遠くへ』
🎬『ひかりのどけき』藤川史人監督、撮影/84分
ある日、とーちんと博物館に出かけたシュイ君は、家に帰るとかーちんとヨチヨチ歩きの妹チカサがいなかった。その日からとーちんとシュイ二人の暮らしが始まる。
前知識を入れずに観た。後で解説を見ると本物のご家族が演じていた。シュイくんは5、6歳の男の子。とーちんと呼んでいる父親は息子に対してとても良い父親で絶対に声を荒げるというタイプではない。会社員らしいが、バリバリっと働くタイプでもない。
妻とは話し合いで少し別れて暮らそうと決めたらしいが、特別な理由があるわけではないようだ。妻は赤ん坊を連れて実家に。実家の祖母も本物らしく、娘が子連れで戻ってきたことには何もふれていない。まあ、ミッキーなら根掘り葉掘り聞くだろうが……。
演じた平吹正名一家4人にご苦労さまでしたと言いたいし、シュイくんがお母さんがいなくなった驚きと、寂しさを小出しにしながら「明日帰ってくる?」などと父親に訪ねている、そのことがトラウマにならなければいいな、と願うばかりだ。
🎬『遠くへ,もっと遠くへ』いまおかしんじ監督/107分
結婚5年目の小夜子(新藤まなみ)は夫との離婚を考えていて、手回し良く離婚後の住まいを探し始めた。不動産屋の男・洋平(吉村界人)が数件案内してくれたがいい物件はなくて、そうこうしているうちにお互いの身の上話するようになった。
洋平は妻・光子が3年前に家を出てしまったが、なぜかそのまま。小夜子も自分から言い出すはずが、夫から離婚を切り出されてしまう。行くところに困った小夜子は洋平のアパートに同居させてもらって……。
3年間も探しもせず、気持ちだけは「いつか、帰ってくるはず」と無意に過ごす男。妙に身体をぐねぐねしたり、奇声を発し「ヤッホー」と叫ぶ女。両方とも虫唾が走るぐらい嫌いなタイプ。
洋平が光子に未練があると見た小夜子は光子がいるという北海道に約1週間同行する。北海道最北に着くと「ここから船でサハリンの真岡に行こうよ、おじいちゃんが住んでいたんだ」などと本気で言う馬鹿女。でもその瞬間「真岡」の町の映像が1秒映った。この1秒で観てよかったと思った。
ただ、それだけの旨味しかない作品(すみません)だったが、案外、この二人、末長く仲良く暮らせるかもしれないなと思った。
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