1位🎬『トゥルーノース』清水ハン栄治監督、脚本、プロデューサー/日本、インドネシア/監督賞
世界に発信される会議場で1人の男が体験談を発表する。彼は1995年に北朝鮮に父母と妹の4人で幸せに暮らしていたが、父のいわれもなき罪で逮捕され、残った家族は強制労働収用所に。そこから始まる想像を絶する家族の物語。
★強制収容所の実態をアニメで描かれている。そんな中で家族、収容所の仲間たちの絆も描かれていて見やすくなっているが、一方、収容所の取り締まりの男や所長の憎々しげな悪相もアニメで描かれると一層憎しみの度合いが増していた。監督さんが収容体験をもつ脱北者にインタビューをして10年の月日をかけて作品を作り上げた。2020年度フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で上映された。
2位🎬『ジュゼップ 戦場の画家』オーレル監督/フランス、スペイン、ベルギー/作品賞、新人監督賞
実在する画家ジュゼップ・バルトリを主人公にしたアニメ映画。1939年まで続いたスペイン内戦でフランスへ逃れたジュゼップは収容所に収容された。その悲惨な様子をフランス人憲兵の目を通して描いている。
★このアニメは、歴史に裏付けられた大人味のアニメ。収容所の土、欠けたコップ、壁に描かれたジュゼップの絵が、平和、平穏を願う「今」の気持ちにぴったりとくることを請け合う。実在のスペイン人画家ジュゼップ・バルトリはフランスの強制収容所で難民となったが、その後メキシコへの亡命。フリーダ・カーロと恋仲の間柄。オーレル監督は「ル・モンド」などで活躍する風刺挿絵家。この作品で長編デビュー。
3位🎬 『JUNK HEAD』堀貴秀監督、原案、絵コンテ、脚本、編集、撮影、演出、照明、アニメーター、デザイン、人形、セット、衣装、映像効果/日本/コマ撮りアニメ賞
環境破壊が進み、地上では人間が住めないほど汚染された。人類は地下開発のための労働力として人工生命体マリガンを作るが、自我に目覚めたマリガンが反乱を起こし地下を乗っ取ってしまう。それから1600年後。遺伝子操作で永遠に近い命を手に入れた人類は、その代償として生殖能力を失う。絶滅の危機の人類は、地下で独自に進化をしていたマリガンの調査を開始する。その為の調査員に応募した若者のダンス教師は、調査中に死と隣り合わせになったことで命を実感し、マリガンたちと協力して人類再生の道を探るが……。
★不思議な雰囲気のキャラクター、言葉になっていないようなセリフで、会場内は全員が固唾をのむ状態でスクリーンに釘付けにされていた。堀貴秀監督は独学で7年の歳月をかけて制作。カナダ・モントリオールで開催されるファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を受賞。世界的に高く評価されたSFストップモーションアニメ。いつも花開くコリアアニメーションでニコニコ対応してくださるスタッフの三宅敦子さんが子どもらの声を担当なさっていて最後のエンドロールで何度もお名前が出ていたので大感激した。
4位🎬『整形水』チョ・ギョンフン監督/韓国/85分/映画題名賞
人気タレントのメイクを担当しているイェジは、幼い頃から顔に劣等感を持っていた。今はタレントのメイクを職業としているが、タレントからは嫌味を言われて、自暴自棄になっていた。そんなイェジのもとに、業界で噂になっている「整形水」が届く。それは、顔をつけるだけで思い通りの容姿に変わることができて、後遺症も副作用もない奇跡の水だという。美しくなって新しい人生をと、整形水を試すが、しばらくすると周囲で不思議な出来事が起こるようになって……。
★整形なら韓国が一般まで普及していると聞いたのは約15年前。就職前に整形するのは珍しくないと聞いて信じられなかった。だから、この整形水というそそられる題名だ。アニメとも知らずに来てしまったが、アニメ以外では描けなそうにない展開。父母には可愛がって育ててもらったイェジは「ブタ」と影では呼ばれているメーキャップさん。美しい女優にメイクを施している太めの女性だ。それが「整形水」の力で超々美人に。親も自分の娘と信じられないほどになる。美への欲望がより一層強まっていくが心は安らげなくて、ついに……。「整形水」の本当の目的も、オチもある。韓国ならではの展開だった。
🎬『映画クレヨンしんちゃん謎メキ!花の天カス学園』高橋渉監督
しんのすけたちは風間くんの強い誘いで全寮制超エリート校「私立天下統一カスカベ学園」通称天カス学園に1週間の体験入学をすることにした。初の学園生活に胸を膨らませたさんのすけたちだが、この学園には「正体不明の吸ケツ鬼」にお尻を噛まれるという怪事件が多発していて、噛まれると「お馬鹿」に変貌するなどと噂が流れていて……。
★大人も夢中になる「子どもキャラクター」のNo.1のクレヨンしんちゃん。試写も入りが多い。今作はしんちゃんたちがエリート校に体験入学のお話。最初、しんちゃんとお別れするママの寂しがりようが面白い。1週間の体験入学なのに日頃結構邪険?にしているはずが、シーンと静かになったお家でしょんぼりするママ。この体験入学をきっかけに絶対特待生になりたい風間くんと意見が分かれて仲違いしたり、学園の秘密を探り当てたりとここでもしんちゃん流が炸裂する。
🎬『漁港の肉子ちゃん』渡辺歩監督/Cocomiに声優賞
愛情深い性格で今までダメ男ばかりに何度もだまされてきた母・肉子ちゃん(声:大竹しのぶ)はおデブで子どもみたいに純粋な母だ。肉ちゃんの一人娘キクコ(声: Cocomi)は小学5年だが母とは正反対で落ち着いていて考え深い大人びた性格だった。二人は肉子ちゃんの恋が終わる度に各地を放浪していて、今は北の漁港の町へ流れ着いていた。漁港で途方にくれる母娘に手を差し伸べてくれたのは、焼き肉屋「うをがし」の店主・サッサンだった。
★明石家さんまさんが企画とプロデュースで、元妻とCocomiさんが声の出演をしている。大竹しのぶさんの声は以前『借りぐらしのアリエッティ』で良い印象がなかったので期待せずに観たがこの作品はいろんな声の出し方をしていて良かった。Cocomiさんが出ているとは後から知ったが「おそれいりました!」レベル。エンドロール後に非常に面白い映像が流れる。
🎬『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』ウィル・グラック監督/アメリカ/全員に吹き替え賞
ピーターの大好きなビア(ローズ・バーン)は、宿敵のマグレガー(ドーナル・グリーソン)と結婚。ピーターを目の敵にして「イタズラばかりするな!」「大人しくしてろ!」と叱られる毎日に嫌気がさして、生まれ育った湖水地方を飛び出して都会にたどり着いた。偶然、亡き父の親友だったというバーナバスに出会ったピーターは、彼から都会で生き延びるための盗みを学び、彼に認められようと悪事を重ねていって……。
★時間の都合で吹き替え版を観たが正解だった。いろんなことが次から次へと起こるから字幕だったら置いてきぼりを食うところだった。お子さまがどこまでストーリーを追いかけられるかわからないが、ピーターラビットのいとこのベンジャミン、三つ子の妹フロプシー、モプシー、カトンテールたちのあどけない表情を見ているだけで温かい気持ちになった。声の出演、全員⭕️
🎬『竜とそばかすの姫』細田守監督、原作、脚本/映像賞
高知の自然豊かな田舎町。17歳の女子高生すず(声:中村佳穂)は幼い頃に母を川の事故で亡くし、父と2人で暮らしている。母と一緒に歌うことが大好きだった彼女は、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、心を閉ざすようになる。ある日、全世界で50億人以上が集う仮想世界「U」と出合ったすずは「ベル」という名前でおそるおそる参加することした。その世界では自由に歌うことができて自作の歌を歌ううちにベルは世界中から注目される存在となっていくが……。
★インターネットの架空空間と現実(田舎)生活が納得いく展開と美しい映像で描かれていた。映画の始まりの部分で「欠けたマグカップ」で紅茶を飲む高校生のすずや「手すりもない長い木橋」の危うさに、この物語がどう進んでいくのかと不安になった。その不安感はすずの生い立ち、歌が歌えないという劣等感を「異空間」のもう一人の自分(ベル)を誕生させる。仮想空間の膨大さと落ち着いた田舎田園風景の繋ぎ方も申し分なかった。ほとんど俳優さんで声をやっていたが、違和感は全くなかった。あとからお名前を見て驚いたぐらいだ。
🎬『ラーヤと龍の王国』ドン・ホール、カルロス・ロペス・エストラーダ監督/アメリカ
龍の国「クマンドラ」はかつては聖なる龍たちに守られた人と龍が共存する平和な王国だった。しかし突然現れた魔物ドルーンとの戦いですべての龍が石となってしまった。残された人は信じあう心を失い王国は4つに分断されてしまう。「龍の石」の守護一族の娘ラーヤ(声:ケリー・マリー・トラン/吉川愛)は 父の教えを胸にバラバラになった王国を再び一つにするために、伝説の「最後の龍・シスー」を探す旅に出るが……。
★龍の王国での少女の戦いと成長を描くディズニーの長編アニメーション。ラーヤには守ってくれる人間はいないが、旅のお供はいつもトゥクトゥクだけ。時には体を丸めて車がわりになってくれる強い味方。旅の途中で出会い味方になってくれる中に、赤ちゃんなのにその愛くるしさを武器にラーヤを助けてくれるのもあって他のアニメにはないキャラクターで楽しませてくれた。シスーの声は『フェアウェル』のオークワフィナさん。
🎬『アーヤと魔女』宮崎吾朗監督/83分
10歳の孤児アーヤ(声: 平澤宏々路)は、楽しい子どもの家で何不自由なく暮らしていたが、ベラ・ヤーガ(声:寺島しのぶ)と名乗る派手な女とマンドレーク(声:豊川悦司)いう長身男の怪しげな2人組に引き取られることになった。魔女だというベラ・ヤーガは手伝いがほしかったからアーヤを引き取ったと言い、魔法を教えてもらうことを条件に、アーヤは助手として働きだしたが……。
★1990年代のイギリスを舞台に、自分が魔女の娘とは知らずに育った少女アーヤが、奇妙な家に引き取られ、意地悪な魔女と暮らすというお話。キャラクターや背景が独特でアーヤの気性のユニークさがとても際立っていた。あとから声の出演の方々を、寺島しのぶ、豊川悦司、濱田岳と知ったが違和感は全くなかった。
今年も宜しくお願い申し上げます☆
どれもこれも一本も観てません…
と言うか去年はアニメ自体1本しか
観てなくて…今年はアニメも沢山
観たいです\(//∇//)\