🎬『世界で一番美しい少年』クリスティーナ・リンドストロム、クリスティアン・ペトリ監督/スウェーデン/98分/12月17日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、名古屋伏見ミリオン座他にて全国ロードショー公開。
ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』(1971)は2回ほど観ているがストーリーより、ビョルン・アンドレセンのギリシャ彫刻のような完璧な美しさの前にひれ伏したい気分になったことだけ覚えている。
このドキュメンタリーで美少年のその後を見ると精神的な苦労が次々と押し寄せて来たことがわかった。
今は、白いひげをはやした(1955年生まれ)彼は、65、6歳だが姿勢もよく年齢より老けて見えるが、なかなかの男前だ。
『ベニスで死す』の後に日本に数ヶ月滞在して、コマーシャルにでたり、歌を吹き込んだり(歌は上手で音程もいい)していたとは知らなかった。そしてその時泊まった帝国ホテルに、このドキュメンタリーのために来日した時も、同じ部屋に泊まったシーンが出てきた。エレベーターの押すボタンをよく覚えていて懐かしそうにしていた。
50年前の大騒ぎの来日に唯一手元のボタン(当時では珍しいと言っていた)を覚えているなど、孤独感や閉塞感を抱えていたんだなと感じた。
彼の苦難も満ちた半生をとにかく観ていただきたい。そして『ベニスに死す』を正月休みにでもDVDで見るのも一考だろう。
★メリハリのきいた編集がとても良かった。98分の長さにまとめ上げられたのは編集の技。
★彼は音楽学校でピアノを専攻していた。だから歌も勘の良い歌い方をしていた。
2021年11月28日
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