🎬『ファイター、北から挑戦者』ユン・ジェホ監督、脚本、編集/韓国/104分
韓国ソウル。北朝鮮から脱北してきた少女リ・ジナ(イム・ソンミ)は、定着支援研修を受けて、用意された小さなアパートに移り住んだ。
中国に残してきた父親を呼び寄せるためにすぐに近所の食堂で働き始める。そこでは客が食べ残しの食料が大量に捨てられている。慣れないことばかりで苦労するが、学歴もコネもない彼女は、夜遅くまで働くしかなかった。
そんな彼女にボクシングジムの雑用係の仕事が舞い込む。そこに来る同世代の女子ボクサー訓練生がトレーニングに励む姿に衝撃を受ける。
脱北少女リ・ジナから目が離せなくなった。東洋人独特の奥一重の目を持つイム・ソンミさん。1986年生まれで「少女」ではないだろうが、ミッキーには少女にしか見えなかった。思い詰めた表情や悲しみを堪えた表情に胸が苦しくなった。
ジナにボクシングの素質を見出したジムのオーナーの元で練習に励む彼女はイジメにあったり、試合に負けたりと試練は続くが……。この先は是非劇場でご覧いただきたい。
★今年のアジア映画部門のベストテンに入り、彼女に主演女優賞だ。
★そして監督さんの前作が2017年大阪アジアン映画祭で上映されたドキュメンタリー『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白 の方。
これも良かった!ので再度アップする。
🎬『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』ユン・ジェホ監督/フランス、韓国
北朝鮮に住んでいた主婦・マダム・ベーは、家族のために出稼ぎしようと中国に行ったが、だまされて売られ、働き手として農家の嫁にされてしまう。
中国人の夫とその父母との生活は2年間。はじめこそ憎んでいたが、悪い人たちではなく次第に慣れていった。彼女はそこで生きていくために、北朝鮮から脱出をさせるブローカーとなることを決意する。
北朝鮮に残してきた夫、息子(二人いる)たちの将来を考えて、家族を脱北させ、一緒に韓国に行くという計画を実行していくが……。
北朝鮮の女性マダム・ベーに密着するドキュメンタリー作品。
今までに北朝鮮関連の映画、ドキュメンタリーはほぼ全部みているが、皆、観応えある作品で観れば観るほど「すごい国だ、よく民衆は我慢している、きっと厳しい環境で暮らしているのだろう」と思っていた。
しかし、ある雑誌で「それしか知らない北朝鮮の人々をかわいそうな民と一方的に思うことはいけない」という文言があった。
そして、このマダム・ベーのドキュメンタリーを観て改めてそれを感じた。ベーさんのバイタリティーと持ち前の明るさ、それと彼女が「情」の深い方というドキュメンタリーの「素材」の素晴らしさが際立っている。
2021年11月13日
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