2021年11月08日
第34回東京国際映画祭(9)『ちょっと思い出しただけ』『オマージュ』
昨日まで9日間の東京ホテル暮らしを終え、伊豆高原にきた。しばらくぶりにきたので草ぼうぼう、枯れ葉ざくざく。これがみんな一万札なら二軒ぐらい家が建つなぁと、映画ボケした頭で思った。家の中は誰もいじってないのでほぼきれいなまま。弱った蜘蛛さんとムカデさんが出迎えてくれた。
腰をおろしてしまうと寝てしまいそうなので、外に出て枯れ葉拾い、あっという間ゴミ袋二つがいっぱいになった。後は明日にした。
落ち葉拾いしている時に、すごく立派で教育されていそうな大型犬二頭を散歩中の初老の男の方と十分ほど立ち話。その間も犬たちはじっとしていた。
話したのは犬たちの行儀のよさと真冬の暖房はどうしているかの話題。お互いマスクなしで5メートル離れて話したが普通に会話ができるのは何ヵ月ぶりかなと嬉しくなった。
🎬『ちょっと思い出しただけ』松居大悟監督、脚本/115分/コンペティション
怪我でダンサーをあきらめた照生(池松壮亮)とタクシー運転手をする葉(伊藤沙莉)は過去に付き合っていた。付き合いはじめの日から別れの時までを葉は断片的に思い出しながら、仕事のタクシー運転をしていた。
以前付き合っていて、それを思い出している作品にロングヒットしていた『花束みたいな恋をした』を思い出した。
出会った時のドキドキやワクワクはそう長く続くわけもないが、それが無くなったらもう「関係」が崩れるだけの道しか残ってないのか……、思い出すだけの存在でしかなくなるのだろうか。
確かに池松さんも沙莉さんもとっても良かったし、2人の醸し出す雰囲気も最高だった。
ミッキー年代、後期高齢者の世代は「ウキウキ感が無くなってからは大人の知恵」で乗り気ってほしいと思う。『花束〜』の最後のところで「別れたくない。恋愛感情がなくなっても長年連れ添った夫婦のように暮らしたい」と言った台詞が忘れられない。
★照生と葉の住んでいた近くにある公園のベンチにずっと座って、妻を待つ男(永瀬正敏)が印象に残った。
🎬『オマージュ』シン・スウォン監督、脚本、プロデューサー/韓国/108分/コンペティション
女性監督のジワン(イ・ジョンウン)は夫と大学生の息子の三人暮らし。自作の映画の評判も良くなく行き詰まっていた。そんな時に古い映画の修復の仕事が舞い込んできた。お金にも困っていたので即座に引き受けた。
それは1960年代の女性監督ホン・ウノンの作品『女判事』で35mmフィルムで撮られたものだったが、一部音声が消えていたり、検問でシーンが欠落していたものだった。ジワンはその欠落した部分をいろんな手をつくして繋げていく。
映画祭が始まる前に、コンペティション作品の簡単な説明を読んだが、その中で一番気を引かなかった作品だった。だが、コンペティションの中でも監督さんの個性がピカッと光る作品だった。
是非とも公開してほしい作品だから内容は書かないが、女性監督を演じたイ・ジョンウン、『女判事』を撮ったホン・ウノン監督、そしてこの映画を撮ったシン・スウォンの「女性監督三人力」に身体が熱くなった。
★イ・ジョンウンの出ている『パラサイト半地下の家族』をNetflixですぐに見た。
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