内戦の続くシリアから脱出して難民となったサム(ヤヤ・マヘイニ)は、現代アートの巨匠から驚くべき提案を受ける。それは、サム自身がアート作品になるというものだった。
大金と自由を手に入れる代わりに背中にタトゥーを施し「アート作品」となったサムは展示品として高額で取引される身となった。展示品として国境を越えたサムはやがて恋人に会いに行くが……。

これは去年の東京国際映画祭で一番印象深い作品。興味深い題名だけに早くからマスコミ試写の列には人が並んでいた。
「皮膚」といえばホラーの金字塔『羊飼いの沈黙』だが、『皮膚を売った男』は皮膚をどう売ったかは書かない。ただ言えることは、男はお金、自由を手にしたように見えるがそう簡単ではなかったという顛末が描かれている。
奇異なストーリーと最後まで緊張感が続く作品が、女性監督の手によるものとは思いもよらなかった。
★エージェントのソラヤ役にはモニカ・ベルッチさんが、金髪ロングヘアに黒いスーツを見事に着こなし演じていた。
★第77回ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門男優賞受賞。第93回アカデミー国際長編映画賞ノミネート作品。