2021年10月12日

山形国際ドキュメンタリー映画祭をオンラインで(5)『ルオルオの怖れ』『武漢、わたしはここにいる』『ナオト、いまもひとりっきり2020』

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詳しくは http://yidff.jp/

🎬『ルオルオの怖れ』洛洛(ルオルオ)監督/中国/84分/2020年/アジア千波万波

中国・米易県(四川省)に90歳になる実父と暮らすルオルオ(監督さん)は、コロナ禍の不安に怯えていた。

父親は自分史を読んだり付け加えたりして過ごしている。ルオルオは「散歩は家の周りだけで、人とはしゃべらないでね」と何回も念をおす。父親が帰ってくると足を上げさせて靴共々アルコール消毒。文句も言わず従う父親。

ルオルオは時折、マスクをして画面に向かって「体より心がくじけそう、ゴミを捨てに庭先10メートルでさえ体が震える」と不安そうな声と目指しで訴えてくる。

そんな彼女もネットで仲間たちと交流するようになって少しずつ笑顔が戻ってくる。

★ルオルオの背伸びしていない作風が気に入った。オンラインで知り合った先生や友人の住んでいるところを「呉先生はここに住んでいるんだ。○○のそばだわ。皆の中で私が一番近いわ」と嬉しそうに地図を指す。そうすると画面にうっすらと呉先生が散歩する姿が浮かび上がってくる……そんなルオルオ監督の工夫に味わいがあった。

★父親の歴史は中国の歴史そのもので淡々とした作品に深みを与えていた。


🎬『武漢、わたしはここにいる』ラン・ボー監督/中国/153分/2021年/特別招待作品

フィルムは武漢ロックダウン初日2020年1月23日から始まっていた。監督、カメラマン数人の撮影隊は雪が降る武漢に着くが撮影は許可がでなくて、武漢から出ることも出来なくなった。

しかし彼らの目の前で一人の女性が防護服をきてさめざめと泣いていたのだ。つかさず話しかけた監督さん。「癌の夫を入院させたいが発熱があるとダメだと断られた」「PCRの検査で陰性で、癌の診断書もあるけど発熱があれば入院できない」と言って「夫は今、家で一人で苦しんでいる」とまた泣き出した。

そんな女性をほっておけず、カメラを回しながらあちこちに電話して力になってあげたのをきっかけに、ボランティアさんと一緒になって活動を始める。

『ルオルオの怖れ』『武漢、わたしはここにいる』は武漢やコロナに関するドキュメンタリー。この2作品は是非とも見ていただきたい。『ルオルオ〜』は一人の中年女性が新型コロナより閉塞する「心」の解放を求めて、『武漢〜』は街の様子、医療の切迫、物資の供給等々が真正面から捉えていた。


🎬『ナオト、いまもひとりっきり2020』中村真夕監督/日本/95分/2020年/ともにある CINEMA WITH US 2021

原発事故によって町全部が避難地域になった富岡町で、ただ1人、動物たちと残った松村直登さん。2015年に撮った『ナオトひとりっきり』からその後7年間を追ったドキュメンタリー。

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荒れたままの富岡町。牛、馬、イノシン、ダチョウ、豚、犬、猫たちが打ち捨てられているのを見かねて1人町中の自宅餌を与え続けている。

呼べばよってくる牛、悠然と歩くダチョウ、それぞれに話しかけてナオトは見回りをしている。言葉は時には乱暴になるが彼の行動からは常に動物に対する「愛情」が伝わって来た。

★2018年の桜並木の元でナオトは「放射能とコロナって似ている。地震の時は東京にくるなって言われた、今度はこっちが東京からなぜ来た?と言うべ」と面白おかしく話すナオトさん。また5年後、10年後にお会いしたい。


posted by ミッキー at 10:08| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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