🎬『赤い原罪』ムン・シング監督/韓国/102分/10月2日より渋谷ユーロスペースにて上映
若い修道女がバスに乗っている。そこに身体の不自由な中年男がバスの前に立ちはだかり停留所でもないところから乗り込んで来た。
身体中から不穏な恐ろしさを出していた男は美しい修道女に向かって「修道女なら一生結婚もせずに神の教えに従っていくのか、それは間違いとは思わないか?ならどうして神は男と女を作った?生まれたからには自然に逆らわず結婚して子をもうけるのが神の教えじゃないか?」と酒に酔った男は言う……。
修道女は口汚い男に絡まれたが、嫌な顔一つせずに新しく赴任する村の教会に着く。教会の牧師さんも周りの人々も温かく迎えてくれて、教会が用意してくれた宿舎も狭いながら住みやすいものだった。
しかし、バスで遭遇した男とその後関わり合いができて……。
韓国ではキリスト教信者が多い。この映画の舞台になる小さ漁村にも教会があって、そこを中心に生活が回っているようだ。映画の始まりは初老の女の人(キム・サンオク)がバスに乗って、この教会にやってくるシーンからだ。懐かしそうに昔を振り返っている。
もうその教会には当時の人はいなく、現在の牧師が「あなたは伝説の修道女です」と褒め称えるが、修道女は「実はこれが真実でした」という話がなされる。
バスで遭遇した身体の不自由な男には、癲癇持ちの娘がいて二人で極貧の生活を送っていた。その様子を見て修道女は教会でできることはないかといろいろ牧師に相談するが「前からこちらも援助を持ちかけたが一切受け付けない」といい「これ以上は踏み込めない」というばかりだった。
だが修道女は娘と親しく接するようになる。父親(ペク・スンチョル)も、その修道女の行動に無関心ではいられなくなって行く。父親は修道女の宿舎に忍び込んで唇に紅をぬったり、娘に介護と見せかけて下半身をさわらせたりして、村には変な噂が流れ、ついに事件が起こり父娘は死んでしまう。
真実の話は、父親の「身体の一部」についての秘密。
しかし事件が起こった時の医者や警察、死んだ時に身体を清める人の口から、狭い村には噂は広がり、すでに秘密は「秘密」ではなくなっているはず。何故に40年後にわざわざ言いにくるという意味が理解できなかった。
真実は神様だけわかっていればいいのではないかとも思うが……。
★これは騒動のあった第二回熱海国際映画祭で上映された。数年の時を経て公開となったが、納得のいく作品ではなかった。
2021年09月19日
この記事へのコメント
コメントを書く