内モンゴルの草原に暮らす若い夫婦チョクトとサロール。夫のチョクトは都会での生活を強く望んでいた。妻のサロールは今の暮らしに満足しているが、時々ふらりといなくなる夫に腹を立てている。
そんなある日、夫婦は大きな喪失を経験したことで、ともに草原で生きようと決めるが……。

是非大画面で見ていただきたい。
お互いに愛し合っているのに、相手の存在自体を必要としているのに、男はふっといなくなってしまう。この草原で女一人で生活するのは至難なことだ。そんなことなど知っているはずなのに、男はまたふっと戻ってきて妻の機嫌をとって喜びそうな土産を渡す。
妻は何回か我慢するがついに離れていく……。男は女はいつまでも自分を待っていてくれると思っていたのか、妻がいなくなった荒れたパオを呆然と見ていたが、最後はどうなるかは描かれていなかった。
★妻が歌うシーンがあったり、モンゴル独特の発声ホーミーが入った男声合唱があったり音楽がとても上質だった。
★中国のワン・ルイ監督が、内モンゴルの草原に暮らす一組の夫婦の姿を、現地出身の俳優やスタッフとともに描いた人間ドラマ。夫婦を演じた方は遊牧民の家庭で育った俳優のジリムトゥと歌手のタナ。第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀芸術貢献賞を受賞。