町人文化がはなやかな江戸。町の片隅に一人の貧乏絵師がいた。その名は勝川春朗。後の葛飾北斎(若き日を柳楽優弥、老人時代を田中泯)である。傍若無人なふるまいが元で師匠から破門を受け、食うことすらもままならない毎日を送っていた。
そんなある日、歌麿や写楽を世に出した目利きの版元・蔦屋重三郎(阿部寛)が北斎の才能を見出した。重三郎の元で革新的な絵を次々と打ち出し、一躍、人気絵師となる。それが次第に幕府の反感を招くことになって……。

19世紀にフランスにジャポニズムブームを巻き起こし、ゴッホ、モネ、ドガなど数々の画家にインスピレーションを与えた葛飾北斎。
若き日の柳楽優弥、老人時代を田中泯の目力としゃべり(特に語尾)が似ていて、役者選びに監督の力量を感じた。
映画中、元絵から版画、刷師等々の工程が終わり、一枚の絵になる2分ほどの映像が見事で、公開になったら再度みたいシーンだった。