せっかくのこどもの日なのに朝から雨。こういう時はオンラインでいただいている試写を消化しないといけないのに……。なかなか自宅にいると雑事に目がいって思うようにならない。だが、この作品は公開が少し先だがいち早く見たくなった。オンラインで続けて2回見てしまった。
🎬『野良人間 獣に育てられた子どもたち』アンドレス・カイザー監督、脚本/メキシコ/101分/5月21日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他にて全国ロードショー公開
1987年、メキシコ南西部の都市オアハカ郊外の山岳地帯の民家で火災が発生、家屋は全焼した。焼け跡から家主のファンと3名の子どもらの遺体と1本のビデオテープが発見される。そのテープは紛失するが、2017年に見つかる。
テープに映っていたのはまるで野獣のように野生化した子どもたちだった!約30年前、何が起きたのか……。
目を疑いながら見入ってしまった。「このフィルムは当時の実録か?」「誘拐されて森に捨てられたのか?」等々疑問は残るが、どこにも届けずに子どもらを根気よく自力で育てた様子が映し出されていた。
ファンの遺体を引き取った隣家の男や遠巻きに見ていながら「ちょうどその時はここにいなくて……」と話すのを嫌がる町の人などでなかなか真実は見えてこない。
ファンは元聖職者であったが「信仰を証明するために精神分析医の診断」を受けた結果、異端視扱いされて修道院を追われた。彼自身は母親からの強烈な支配が過去にあって「神に仕える」以外の経験はなく成長した。
テープには、ファンが深い森の洞穴で獣に育てられた少年を発見、どこにも届けないで隣家の人に他言しないように頼み、その男の子に言葉を教え、教育する様子が映されていた。泥まみれから多少こざっぱりするまで相当な日が経っているようだ。食べ物も犬食いだったが手掴みになり、コップから水を飲めるようになり、火が熱いこと、温めてくれること、燃えてしまうと物がなくなってしまうことなども映されていた。
ようやく落ち着いた二人の関係は、新たに森で2人の少年少女を保護したことで力関係が狂ってくるのだ。この少年少女の洞窟住処は獣に育てられた子ではなく、明らかに時々人が来ているように感じた。
観ているうちに「ホラー」がミッキーの頭からすっ飛んで「ドキュメンタリー」に変化していた。
2021年05月05日
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