サンドラ(クレア・ダン)は、暴力を振う夫のもとから2人の幼い娘と共に逃げ出したが、公営住宅には長い順番待ちで、手配されたホテルでの仮住まいの日々が続いていた。
そんなある日、ひょんなことから手頃な家を自分で建てようというアイデアを思いつく。土地、資金、人材……足りないものだらけで途方に暮れていたサンドラだったが、幸運なことに土地と資金の提供を申し出てくれた雇い主のペギー(ハリエット・ウォルター)、偶然出会った建設業者のエイド(コンリース・ヒル)、仕事仲間やその友人たちと少しずつ仲間が増えていって……。

いつも暴力を振るったり家庭をかえりみない夫婦が映画にたくさん出てくるが、お付き合いしている時や結婚してしばらくしてから「それ」とわからないものだろうかと疑問に思う。きっと「私のやり方が悪いから」とか「子どもが生まれたら変わるかも」とか思うのだろう。
このサンドラの場合は夫が「カウンセルに行っている」「自分の両親と同居するから帰ってきてくれ」など低身低頭謝るがそれを断ると、すぐその場で暴力を振るうので信用はできない男だ。
だから家庭裁判所でも徐々にサンドラの味方になってくれていた。
サンドラが夫から逃れて、役所から借りてもらったホテルに住んでいる時に、ロビーを疲れた姿で子供の手を引いて通ると、ボーイがロビーを通らないでくれと注意する。
生活に疲れた親子がホテルの雰囲気を壊すだろうが、疲れているサンドラ親子が外階段は辛いだろう。しまいにはサンドラも「荷物もあるし、子どももいるから、ここを通らせてもらう」とはっきり言っていた。
国の施作の遅れでのホテル暮らしだから当然のことだが「弱者」にはなかなかこうもはっきり言えない。母は強しだ。