🎬『ナディア、バタフライ』パスカル・プランテ/カナダ/107分/日本初上映
東京オリンピックにカナダ代表の水泳選手として来日したナディア(カトリーヌ・サヴァール)は、これを最後に引退を決めていた。競技種目の女子メドレーは見事銅メダルを取り満足のいく結果だった。周りは引退を撤回して4年後もなどと言うが……。

1年延期になった「東京オリンピック2020」を舞台。だからというわけではないが「日本」「東京」はそっちのけ。東京のホテルの一室、競技プール、東京繁華街のディスコなどで外国人どうしの会話だけだ。それがどう展開していくのか(東京や日本の人との交流なしで)自分勝手だがちょっと不安になる。
しかし彼女の不安は観ている者に迫ってくる。ナディアは引退してから医学の道を今後約十年かけていく進んでいく不安、メドレーの仲間たちとの別れの寂しさ……彼女は言う「もう引退という気持ちが揺らがない。水泳で世界各国に行って良いねって思われるかもしれないけど、自分で飛行機チケット買ったこともないし、その国に行ってもホテルとプールだけの毎日……」
10歳ぐらいにコーチに見出されてから今に至るまで、世間的に育ち切れていない自分に焦りがあったのだろう。この台詞でこの作品の重みが伝わってきた。
彼女が日本のホテルを去る時、ドアを閉める前に、今までいた室内をじっと眺めていた。この1シーンが印象的だった。
★水泳選手は水の摩擦を最小限にするためにショートカットだと思うが、なぜか、選手は皆んなロング髪だった。
★ 19歳まで競泳選手だったパスカル・プラント監督自身の経験が基になっている。ナディア役のカトリーヌ・サヴァールは現役の競泳選手であり、リオデジャネイロ・オリンピック2016女子4×200メートルリレーの銅メダリスト。ナディアのチームメイトの3人も同じく競泳選手が演じている。
🎬『あなたを私のものにする』リン・チェン監督、脚本アメリカ79分海外初上映
夫の浮気に悩む裕福な専業主婦のレイチェル(リン・チェン)。キャリアと子育ての間でもがく大学教授のエリカ(藤谷文子)。ミュージシャンになる夢を追いながらフリーターを続けるイェアミン(イェアミン・チェン)。立場も性格もまるきり違う3人に共通するのは、ゴー(ゴー・中村)という男性との過去の関係だった。
ゴーという男は昔はかっこいい若者だったろうが、今では中年太りのおっさん(失礼!)
そんなゴーと、高校時代にプラトニックで両想いだったが別れたレイチェル。エリカはゴーの元妻で、サチという女の子がいて時々預かったりしている。イェアミンはゴーに想いを寄せていたが昔、エリカと結婚すると聞いて失恋の歌を作った女性。
ことの始まりは元妻の父親の葬式に故郷に帰ってきたことから始まる。40代ならもう一度やり直すことは可能な年代、しかしそれができるのはほんのひと握りではないだろうかと思った。
★ちょっとうつらうつらしたので関係性が間違っているかもしれないが全般的にふんわりムードな作品だった。
★音楽より「音」自体が美しく整音されていた。