2020 年は配信で映画鑑賞をする機会が飛躍的に増えた年となったので、配信で鑑賞した 作品もベスト 10 内に選んでいます。
1位『PMC ザ・バンカー』
「テロ・ライブ」のキム・ビョンウ監督作。前作同様に臨場感溢れるカメラワークはさ らに磨きがかかり、巨大地下基地バンカーからの命がけの脱出劇を描く。
無事に局面を乗り超え、物語は終わるのかと思われたが、そこからのラスト約 15 分があ まりにも見事。空中で彼を救い出した輸送機は爆破される。落下する主人公(ハ・ジョンウ) たちをカメラはひたすらに追い続ける。地上に落ちた彼とともに救出された北の男。互い のいびつな友情が揺れるカメラワークとともに劇的に描かれてゆく。この一連のシーンが 作品の完成度を上げているように感じた。
2位『ストレイ・ドッグ』
主演ニコール・キッドマンの役作りが素晴らしい。 時間軸は現在と過去とを交互に進行してゆくが、わかりづらさはさほどでもなく、その先 どうなってゆくのか興味を惹かれ、次々と物語は展開してゆく。
映画のラストで明らかなる結末は最初のシーンとつながっていて、見事な伏線でハッと させられた。主役の名演とミステリアスで良質な脚本がうまく合わさった傑作。

3位『初恋』
三池崇史監督が放つ久々の会心撃!スクリーン狭しと個性的なキャラクターたちが己の 欲望のまま、ハイテンションに跋扈する。
なかでも組員の彼氏を殺され復讐に燃える女を演じたベッキーの暴走ぶりが素晴らしい。 振り切れていた。観ていて爆笑の連続でたまらない。出落ちで終わらず、作品の最後まで 各キャストが魅力的に絡みまくる。最後まで楽しい作品。大満足。
4位『1917 命をかけた伝令』
サム・メンデス監督は祖父から聞いた戦争中のエピソードを映画内に盛り込んでいる。 本編の監督の熱量はここにあるのだろう。全編 1 カット風に撮影され、戦場に投入される かのような没入間は凄かった。戦場で仲間の突然の死が描かれこともあり、唖然とさせら れた。映画のスタート風景と、最後シーンの風景がとても穏やかで美しい。
5位『レディ・オア・ノット』
6 月に先行配信された劇場未公開が惜しい怪作。ブラックなユーモアが光るスプラッター 作品。製作は 20 世紀フォックスだったがディズニーとの合流もあり、R-15 相当ながらディ ズニーからソフトが発売されている(笑)
大富豪の一族に嫁いだヒロインが一族の悪趣味なゲームに巻き込まれる。それはボーガ ンや刃物で襲撃を受ける血まみれのかくれんぼ。最初は困惑し逃げ惑うヒロインも、中盤 からは逆襲モードへシフトチェンジ!(かくれんぼなのに。) 最後にはあっと驚く結末が用 意されている。必見!!
6位『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
仲間との出会い。強敵が現れ修行を積む。そして撃破する。友情、努力、勝利。ジャン プ作品の黄金パターンだがやはり面白い。キャラクターたちが個性豊かで素敵。
主人公一行が敵の策に嵌り、深い眠りに陥れられる。彼らの深層心理が描写されるシー ンが各人物の個性を際立たせて描かれている。なかでも我妻善逸、伊之助の両名のエピソ ードが面白かった。心の中をホラー的にダークでクレイジーに描写。それをコミカルにみ せ笑いを誘う。コロナ禍での記録的な興行は映画のチカラを魅せつけた。
7位『ライブリポート』
誘拐事件の発生から事件の結末までを上映時間の 99 分、一気に描写してゆく。事件追跡 中の無鉄砲で熱血漢の警察官(アーロン・エッカート)の行動を配信サイトのレポーターの 少女が密着生配信。場面も街中のカーチェイスから、ヘリコプターで空からの追跡まで、 多彩なシチュエーションで怒涛の展開。誘拐された少女が数十分後には死ぬと宣告されて からは、迫り来るタイムリミットに、クライマックスまでテンションは爆上り。誰もがラ イブ配信可能な世の中に誕生した体感型ムービーの秀作。
8位『his』
今泉力哉監督作品。それぞれに問題を抱える人々の人間模様を描いている。
『his』は 19 年のドラマから数年後を描く劇場版。BL 作品と括られるドラマからさらに発 展し、登場人物それぞれお互いが分かり合うことの第一歩が物語後半に描かれる。「分かり合えない人や価値観を理解しあうこと」ラストのグラウンドのシーンが印象的で、素敵で 感動的な結末が描かれている。
9位『ボルケーノ・パーク』
リゾート島の火山が大噴火!島から脱出せよ!!があらすじ。シンプル!上映時間も 94 分とコンパクト。だがやり過ぎ描写が多く盛り上がる!
スクリーンにはド派手な火山の噴火や火砕流に落石、巨大建造物の破壊が描写されてゆ く。そんな行動とったらダメだろうと、逃げ惑う人々には予想の上をゆく悲劇的な死が的 確に訪れ、場内には笑いが起こる。監督はハリウッドで活躍したサイモン・ウェスト。中 国映画界でも無双の活躍を見せている。
10位『ミッドウェイ』
アメリカでは公開済のため、無事に日本でも公開された『インディペンデンス・デイ』 のローランド・エメリッヒ監督が手がけたハリウッド大作。(米・中・香港・カナダ合作)
映画のオープニングはパールハーバーでの真珠湾攻撃で幕を開ける。鑑賞したのは、昨 年 11 月に閉館してしまった TOHO シネマズ名古屋ベイシティ。2 番スクリーン 300 席以上の 大劇場に、スコープでスクリーンいっぱいに表現されたスケール感あふれる描写。ああっ 大作映画って最高!と感激。クライマックスのミッドウェイ海戦まで怒涛の描写は続く。大 迫力の力作。