1939年、長い刑務所生活を終えたカポネ(トム・ハーディ)はフロリダの大邸宅で家族や友人に囲まれながら暮らしていた。若い時に罹った梅毒の影響で認知症が進んで、昔のカリスマ性は見る影もなかった。
一方、FBIのクロフォード捜査官はカポネが仮病を装っていると疑り、1000万ドルの隠し財産の所在を探るために邸宅の外で監視や盗聴を続けていた。
カポネの病状は悪化して、蘇ってくる過去の悪夢と現実の狭間で奇行を繰り返すようになっていく。

トム・ハーディが伝説のギャング、アル・カポネを演じている。「伝記映画」となっているが半分は監督ジョシュ・トランクのカポネの知られざる最晩年を新たな視点で描いているドラマと見たほうがいいと感じた。
下もゆるくなってところ構わずたれ流し、フッと思い出すのは昔の残虐な行い……ボケたとはいえ、自分を監視する「目」にはとても敏感だ。信頼するのはずっと添い遂げた妻とひとり息子とほんの数人の友人だけ。ボケても信頼に足る人物を見抜く力は生来備わっていたのだろう。
★この作品の見どころはメイキャップとクラシック音楽(特にオペラ)の質の高さだ。