一番印象に残っているのは『手紙は憶えている』で、二番目は『ゲティ家の身代金』だ。
3月公開の『ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実』は2019年に80歳で亡くなられたピーター・フォンダの遺作だが、この作品にもプラマーさんが出ていらっしゃる。
★『ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実』は、ベトナム戦争で多くの兵士の命を救った実在の米空軍兵ウィリアム・H・ピッツェンバーガーの知られざる真実を描いた社会派ドラマ。

DVD『壁あつき部屋』小林正樹監督/1956年
巣鴨拘置所。そこには戦犯達が服役している。その一人である山下は、戦時中南方で上官浜田の命令で一人の原住民を殺したのだが、その浜田の密告で重労働終身刑の判決を受けた。また横田は戦時中米俘虜収容所の通訳だっただけで巣鴨に入れられた。
『私は貝になりたい』と同じ設定だ。印象に残った場面や台詞があった。山下の母が死んだ知らせで、時限をきめて出所を許された。そのとき同じ村の憎い上官・浜田を殺そうとまでおもっていたが、会ってみると殺す気は無くなってしまった。
彼も自分のやった罪におびえている一人の人間であることに気づいたのだろう。浜田が女2人だけの山下の家を邪険していた事で怒りがムラムラとこみあげてきたが、殺す気は失せていた。たった一人の妹は「これからどうする?」という山下の問いかけに「生きて行くわ」とポツリと答えた。この「生きていくわ」がずっしりと響いた。
DVD『からみ合い』小林正樹監督/1962年

大会社社長河原専造は癌になり、後三カ月しか生きられないことを知った。三億に及ぶ私有財産を、以前に関係あった女達の子供どもに分割しようと思い、妻里枝、秘書課長藤井、秘書やす子、顧問弁護士の吉田と、その部下の古川が専造の前に呼び集められた。
妻里枝に三分の一、残りの三分の二が行方不明の子供三人に渡されることになった。
秘書やす子は社長の病の世話で一日中付き添っていたが、暴風雨の晩、河原に挑まれて体の関係を持った。やす子には、体だけの関係の男があった。その男はやす子に子供ができたと知って逃げ出す。やす子はその子供を専造の子供にしたてようと考える……。
3億って今のお金にしたらどんだけだろう。やす子役は岸恵子。欲につられて肉体で誘惑をしたり、子供をでっち上げたりと大変な映画だった。どの俳優さんも安心してみていられた。特に宮口精二の語り口はも見事。