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🎬『幸運の女神』フェルザン・オズベテク監督/114分/2019年/日本初上映
15年以上一緒に暮らしていた同性カップルのアレッサンドロとアルトゥーロ(エドアルド・レオとステファノ・アッコルシ)の関係はマンネリもあって危機的状況にあった。そんな時、2人を巡り合わせた女性アンナマリア(ジャスミン・トリンカ)が子連れで訪ねてきた。
アンナマリアは身体の具合が悪く検査入院中、2人に子どもの世話を頼むが……。

ゲイカップルのアレッサンドロは腕のいい水道工事人、アントゥーロの夢は大学教授だったが今は定職がないようだ。そんなところに子ともらの世話、3日ならなんとかなると引き受けるし、ご近所さんもよくしてくれる。
これでママの病気が治れば問題なかったが……この先は是非オンラインでお楽しみいただきたい。
★お名前はわからないがアンナマリアのお子たちがとても良かった。姉はマルティーナでお利口さん。カップルの危機に「年寄りになるまで仲良くくらしたかったのに」とアントゥーロが言うと「もう、年寄りだよ」とシレッとした表情でいう。弟くんのアレッサンドロ(カップルの一人と同じ名前)はおチビさんなのに礼儀正しい言葉使いでこの子も頭がいい。
★「幸運の女神」のおまじないは一生忘れない。オズべテク監督さん、ありがとう。
🎬『処女の誓い』ラウラ・ビスプリ監督/90分/2015年
女性の地位が低いアルバニア北部の山村。姉妹として育ったハナ(アルバ・ロルヴァケル)とリラ(フロンヤ・コデリ)。
女性として生きるには制限が多い村を、リラは恋人と駆け落ち、ハナは育ての親の仕事でもある木の伐採などをする為に、伝統的な掟に従って「終生処女」の誓いをする。ハナから男性名マルクになる。だが、成長するにつれて抑えきれない感情が生まれイタリアに旅立つ。そしてリラの家を訪ねていく。

アルバニアとイタリア、過去と現在、男性と女性と選んだ道も対照なストーリーの中でハナの人生が静かに展開する。
一見、地味な作品。生きるためとはいえ胸のふくらみを隠し短髪にして、ズボンをはき腕時計をして、男性と生きていくハナ(マルク)に「これからは石となって生きよ」と耳元でささやく母親の言葉がとても印象深かった。
★監督さんは脚本段階からアルバ・ロルヴァケルさんを頭に浮かべていた。ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選ばれた作品。