🎬『ハニーランド 永遠の谷』リューボ・ステファノフ、タマラ・コテフスカ監督/北マケドニア/86分
北マケドニアの首都スコピエから20キロほど離れた電気も水道もない荒地で、目の見えない85歳の老母と暮らす自然養蜂を生活の糧にしている女性は、無闇に蜂蜜を取らず、自然を守るため「半分は自分に、半分は蜂に」と養蜂を続けている。
そんな彼女が暮らす場所に、牛の放牧をする見知らぬ家族とその子どもたちがやってきた。彼女のやっている養蜂が儲かると見てすぐそばで養蜂も始める始末だ。子どもたちは彼女に懐いて親しくなるが、金儲けに走った父親とは険悪になる。
第92回アカデミー賞では、長編ドキュメンタリー賞とあわせて国際映画賞(旧・外国語映画賞)の2部門でノミネートされたドキュメンタリー。
北マケドニアの位置を調べて見た。
ドキュメンタリーとは思えないほど人間ドラマが凝縮されている。彼女の取る蜂蜜を町に出て市場で売る。高価だが売れ行きはいい。そこで必要なものを(自分の髪を染めるもの、母親に鏡)も買い求める。
蜂蜜は高い岩をよじ登って岩穴にある蜂蜜を取る。必ず半分残して、また元通りにして家に帰ってくる。薄暗い粗末な小屋ではいつも老母が寝ている。
そんな彼女の楽しみは電波の調子の良い時だけ聴こえる音楽。
突然お隣に来た一家にも初めは警戒する気持ちは一切なくて、小さな赤ん坊をあやしたり頬を寄せたりしていた。彼女の果たせなかった夢や、人恋しい気持ちが溢れ出る瞬間が観ている者に深い感動を与えていた。
2020年07月22日
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