🎬『アンティークの祝祭』ジュリー・ベルトゥチェリ監督、脚本/フランス/94分/6月5日公開
70歳を過ぎたクレール(カトリーヌ・ドヌーブ)はある朝突然「今日は私の最期の日」と直感した。一人住まいの屋敷で潤沢な財産で集めたアンティークの数々を人を頼んで前庭に出してもらい、惜し気もなく売る手筈をする。
前庭には近隣の人たちが捨て値同様の時計、置物、絵画、家具などを買い求めに来た。それを聞いた娘の幼なじみで親友のマルティーヌ(ロール・カラミー)は奇妙に思い、すぐマリーに連絡する。
駆けつける娘マリー(キアラ・マストロヤンニ)は母が相当意識や記憶がおぼろげなことを知り驚くが……。
『やさしい嘘』の女性監督さん。
ミッキーにとって他人事ではない。自分は寝る時に心の中で「1日ありがとうございました」と健康に産んで育てくれた亡き両親にお礼を言う。そして目覚めたら(朝4時半ぐらい)今日死ぬ日かもしれないと本当に思う。
死にはしないが事故で帰れないかもしれないと思うので、喫茶店に行くのも、マッサージに行くのも、試写に行くのも「他人が自宅に入ってもあまり恥ずかしくない家」にして出かける。それだからこのクレールの行動がちょっと急激だが理解できる。
添付のチラシを見てもわかるように惜し気もなく売り払うアンティークが驚くほど素晴らしい。それを二束三文で売ってしまう。
そうこうするうちに娘が駆け込んできて客たちに帰ってくれと言い一段落するが、母娘の確執、母の過去の痛手や後悔があらわになってくるのだ。
一日か二日の時間軸なのでクレールの洋服は一着と夜着とショールだけ。この二つだけ。それが色目といい模様といい、とっても良かった。これは時間的なこともあるが多色のアンティークとのバランスもいい。
いちゃもんをつけるなら最後がちょっと大袈裟だったと感じた。しかしカトリーヌ・ドヌーブ前作『真実』よりずっと良い。
★『やさしい嘘』をDVDで是非ご覧いただきたい。新作との共通することが浮かび上がってくる。
2020年04月29日
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